ロッキードからのF2後継機開発提案持ち掛けに対してどう答えるべきか? | 朱雀ひのでのブログ

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航空自衛隊の主力戦闘機の一つである、F2戦闘機は、日米共同開発の元、2000年から部隊配備されて、現在に至っています。

この戦闘機の退役が始まるのは、2030年ころからになると見られており、その頃に間に合うよう、後継機開発の話が出ています。

 

国産開発の可能性を探るため、昨年まで戦闘機の技術開発のため、先進技術実証機として、試験機X-2(旧名:ATD-X)の飛行試験が繰り返し行われてきたことは、これまでの記事で何度も取り上げてきました。

 

日本政府は万難を排し、国産ステルス戦闘機開発を進めよ 

純国産ステルス実証機、ついにベールを脱ぐ 

ATD-X、2015年1月に初飛行の方針 

将来の戦闘機選定は、国民の後押し次第で国産か共同開発かが決まるだろう 

ATD-X納品延期~更なる安全性を目指して 

日本政府が「国産ステルス戦闘機」開発を隠さない理由は?

国産戦闘機開発の最後のピースを得た日本

 

過去の記事でも触れてきたように、今年末には次期防衛大綱の選定が行われる予定で、それに合わせてF2戦闘機の後継機を国産開発にするのか、それとも外国とコラボして共同開発にするのか、決定されると見られています。

 

それを見越してか、次期主力戦闘機開発に対して、横槍が入り始めているのでは?と見られる記事も散見されるようになり、それも取り上げてきました。

 

次期主力戦闘機の開発遅延を報じる記事は真実なのか?

次期戦闘機開発に妨害工作が入り始める?

 

それに関連した動きかどうかまでは分かりませんが、ロッキード・マーティン社から、共同開発の持ちかけがあった模様です。

(リンク切れの際は注目記事218参照)

 

世界最強の戦闘機と見られているF22のハイパワーと高いステルス性を持ち、F35が持つ高いアビオニクスを持った技術がすべて日本に開示され、戦闘機開発に自由に使えるなら、これほどいい話はないでしょう。

 

独自の国産開発はロマンであり、自立した安全保障技術を持つことは、いざというときの安全保障体制を支える重要なファクターではありますが、戦後国産機開発において世界トップレベルと言えるだけの機体をまだ作れるだけのノウハウについては、まだ不足していますので、独自開発に不安要素がある事も、また事実ですから。

(哨戒機に関しては、2013年にP1開発に成功し、アメリカが開発したP8(ポセイドン)と、さほど遜色のない機体が開発されている)

 

アビオニクス:航空(Aviation)と電子機器(electronics)を組み合わせた造語。

飛行・戦闘時における、電子機器と、その制御技術をさす。

航空機を操縦するには、パイロットに高い能力を求められるが、航空機の進化と飛行の過密化に伴い、飛行中にパイロットが把握し、処理していかなければならない情報は、時代を追うごとに増加した。

 

民間航空機、軍用航空機を問わず、コクピットの計器の数が増大し、一人のパイロットで把握して処理しなければならない情報が、とてもさばききれない程になっていきました。

このため旅客機に必ず機長以外に副機長が搭乗し、更に航法士が複数つくこともあったぐらいだった。(かつての通称ジャンボジェット機など)

まもなく航空自衛隊から退役するF4戦闘機(ファントム)が二人乗りであるのも、パイロットが処理しきれない情報を、後方の搭乗者がサポートする体制を取っていたからです。

 

そうした状況を改善するため、進化してきたエレクトロニクス技術を駆使して、コンピューターでその情報処理を行い、パイロットの負担を軽減する方向になってきた。

これによって、コクピットの計器類が徐々になくなり、代わってグラスコクピット化(ディスプレーなど)が図られ、パイロットが把握すべき情報が格段に減った。

 

これによって、現在の最新鋭旅客機では、機長と副機長のみでも操縦できるようになった。

技術的には機長一人でも操縦可能ですが、長距離飛行による疲労に配慮する事と、機長に万一の事態が発生しても対応できるように、副機長が必ず搭乗する体制は、変わっていない。

アメリカの最新鋭戦闘機F35に至っては、コクピットのほぼ全面がディスプレーで埋め尽くされるほどとなり、相当高いアビオニクス技術が盛り込まれたことが伺える。

(詳細は軍事機密のため、明らかにされていない面が多い)

 

すべての技術やソースコードが開示され、生産に制限が加えられないなら、悪い話ではないのですが、引用記事でも触れられている通り、30年前の戦闘機共同開発では、アメリカの重要技術がほとんど開示されませんでした。

逆に当時は日本独自の技術だった、AESAレーダー、ステルス塗料技術、炭素繊維一体成型技術などが、無償でアメリカに流出しました。

そのような轍を踏むことにならないように、しっかり交渉していただきたいですね。

30年前と異なり、今回はその気になれば、戦闘機の全パーツを国産出来ることがX-2で証明できているのですから。

あの時のような不利な契約をせざるを得なかった状況には、もはやないのですから。

 

そして30年前の轍を踏まないために、ロッキード・マーティン社と、アメリカ政府、議会には、以下の事を要求し、承知させるべきです。

それが出来ないというのなら、少なくともアメリカとの共同開発は、行うべきではないと思います。

 

1.戦闘機の共同開発するにあたり、持ち込まれる技術に関しては、すべて開示し、その開発、生産、その後の改良やアフターケアでの利用に対して、一切の制限を加え無い事。

2.それをロッキード・マーティン社、アメリカ政府、アメリカ議会が認めること。

3.共同開発に際して持ち寄られた技術に関しては、双方が戦闘機生産時、改造、アフターケア時、更には別の戦闘機等の開発等に用いる場合には、相手方のそれに関するパテントを、それぞれが正規に支払う事。

4.それぞれの技術に対するパテント料は、戦闘機開発終了時までに、双方が話し合って決める事。

5.開発された戦闘機に関して、生産、改造やアフターケアについてはもちろん、輸出を行う場合であっても、一切の制限を加え無い事。

6.輸出する際の技術流出に関しては、必要であれば双方間で協議し、輸出する国別にそのレベルを決めるものとする。

ただしあくまで技術流出を防ぐ観点のみで協議を行い、不当に輸出制限する協議であってはならない。

7.戦闘機開発に際して使用する技術は、日本政府と開発担当者(企業)の主体的判断で決められるものとし、共同開発国(この場合はアメリカ)の意向で左右されないものとする。

8.以上の項目に関して、将来にわたり、それを違えない事を確約すると、契約書に盛り込む事。

それを行ったことを、ロッキード・マーティン社、アメリカ政府、アメリカ議会それぞれが公の場で宣言すること。

 

これを要求し、一項目でも拒否するようなら、どんないい提案でも蹴るべきでしょう。

正式にロッキード・マーティン社、またはアメリカ政府から共同開発を持ち掛けられたら、日本はこういう方針で行いますと、公表すべきでしょう。

 

決してこれらの要求は、無茶なものではないと思います。

むしろ主体開発者なら、当然要求すべき内容でしょう。

アメリカによる30年前の理不尽な要求と、一方的に日本の技術を吸い上げるような行為は、二度とさせるべきではありません。

 

これが理不尽だと思うなら、レーガン政権を恨め。

アメリカはそういう事をしてきたのです。

日本がそれを警戒するのは、当然のことです。