2021年、3月3日、約束の時間を少し回った頃レッスンに通えていない生徒1君がレッスン室に入ってきた。

 

お母さんからは「一度子供が会って話をしたいと言っている」というような内容のLINEが届いていたが、内容がわからないため一体どんな話があるのかと思っていたら、要約すると「音楽発表会には出演したいが、中学生となりスポーツの試合がその日あるかもしれない。もし、スポーツの試合があればそちらに出場するため、音楽発表会には出られないからどうすれば・・・」という話だった。

 

この話を聞いたCさんは「発表会に出る出ないはもう少し先でもいいから、とにかく練習しなくては発表会には出られないから、まずは発表会に出ると思って練習を開始する」と説明した。

 

すると生徒さんも練習を再開することを望み、直ぐに発表曲の選定を始めた。

 

前回の発表曲ショパンの〈幻想即興曲〉を踏まえたうえで、Cさんは直ぐに「今から3ヵ月で人前で発表できるまでに仕上がりそうな曲を3曲選ぶから、その中から自分で1曲選んで」と言ってAさんに作曲者と曲名を言い「Aさん、この3曲どう思う?」とCさんはAさんの意見を聞き、Aさんも「そんな感じだよねぇ~」と言ったので、CさんはAさんに楽譜を出してくれるよう頼んだ。

 

しかし、Aさんは「どこにやったかなぁ~」と言ってなかなか楽譜が出てこない。

 

Cさんは「Aさん、落ち着いて楽譜は本棚にあるの?」と言いながら本棚を探すが、整理が行き届いていない状態だったため、なかなか探しきれない。

 

Aさんがあっちへ行ったり、こっちへ行ったりとして、なんとか1曲目の楽譜が見つかった。

 

するとCさんは「こんな感じの曲」と言ってさらっと演奏して見せた。その間もAさんは「あ~わかんない」と言いながら楽譜を探していて、私は生徒さんに渡す音楽発表会の申込書等の書類を準備した。

 

なんとか2曲目の楽譜も見つかり、Cさんが演奏していったが、3曲目の楽譜がどうしても見つからない。

 

そこで、Cさんは「楽譜がないから何となくだけど、どんな曲かはわかると思うから・・・」と言って楽譜なしでピアノ演奏をしているとAさんが「見つかった!」と言って楽譜を出してきた。

 

Cさんが3曲とも演奏し、「今日楽譜持ち帰って自分で演奏してみてどれにするか決めてきて。来週からレッスン開始ね。」と言うと、生徒さんは「はい、わかりました。」と言って楽譜と発表会の申込み用紙等を持って帰って行った。

 

そして、CさんはAさんに『まずはレッスン室の片付けからだね。必要ないものは片付けないと、「生徒さんがなかなか帰ってくれない」ってAさんは言うけど、こんなに漫画や雑誌が置いてあったら生徒も帰らないよ』と言ってレッスン室の片付けをすることを提案したのでした。