斎藤英喜の 「ぶらぶら日記」 -17ページ目

鶴見俊輔の『ドグラ・マグラの世界』

ついでに読んでる本のことなど。

入院と同時に読みだした夢野久作『ドグラ・マグラ』(創元推理文庫)。

後半のところは、ちょっと食傷気味になりそうでしたが、読了。

 

これって日本近代の「オカルトサイエンス」とか「オカルト知」の世界ですね。

そういう視点からの批評とかはあるのでしょうか。

 

これを読み終えて、いまは『犬神博士』を読みだしました。

僕的には、こっちのほうが面白いかも。

 

『ドグラ・マグラ』読んでいるといったら、知り合いの編集者の方が送ってくださった本。

鶴見俊輔『ドグラ・マグラの世界』講談社文芸文庫

 

僕の狭い知識では、なんで戦後民主主義者でしかない鶴見俊輔が「夢野久作」を論じるのか、なんて思っていたのですが、とんでもなかった。鶴見と夢久との密接な共振関係がやっとわかってきました。

送っていただき、ありがとうございました。

 

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『幻想と怪奇』「黒魔術特集」1973年三月号・歳月社

荒俣宏と紀田順一郎が「編集責任」している、知られざる雑誌です。

これがあるので後の『幻想文学』も刊行されたのでした。

 

この特集号は、ブラヴァツキーやエリファス・レヴィ、アレイスター・クロウリーが書いた「小説」が載っているので古本屋で購入したもの。

 

まだ読んでなかった、グスタフ・マイリンク「レオンハルト師」(翻訳は種村季弘)、読みました。これぞ怪奇幻想小説の本領、とでもいうべき作品。家の血筋とともに伝統的な宗教者とは違う「宗教者」の世界へと誘ってくれる一篇でした。

 

それはそうと、雑誌の編集後記の文章も面白い。

このころ出たユイスマンスの『彼方』の訳注がいかにいいかげんかとか。

なんと「エリファ・レヴィ」(読み方も違う)を「不明」としているとか、などなど。

 

1970年代初頭では、こうしたオカルト系の文学や思想についての知識が、

まだまだ「未開拓」であったことがわかります。

こういうのは、刊行された雑誌を読まないと、つかめない「時代感覚」ですね。

 

そういえば73、4年ごろには、僕の友人たちは、シュタイナーの翻訳をする「神秘学研究会」を作ってましたね。ときどきFBにも登場する武邑光裕氏です。

 

そのころ僕は吉本主義者の政治小僧だったので、その研究会には加わっていなかったけれど、結局、何十年もたって、いまごろになってその世界にはまってきている…。

なんて話題は書くときりがないので、また後日に。

 

 

 

ドグラ・マグラの世界/夢野久作 迷宮の住人 (講談社文芸文庫)

 

 

「六月」は、来年もある

病室で「六月」を迎えました。

六月といえば、もっとも過ごしやすい、散歩やピクニックに最適な季節ですね。

その季節を病院で過ごすなんて、なんてもったいない。

 

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まぁ、「六月」は、来年もある、ということで…。

 

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放射線治療の効果も少しずつ、現れてきて、うれしい限りです。

でも、当時に、放射線による「副作用」も、ぼちぼち出始めているみたい。

口の中が、ぴりぴりと痛くなってくるのでした。まぁ、軽い火傷の症状なのだそうです。

 

昼間はほぼ校正仕事。人文書院の本に続いて、

次の某文庫の校正もまもなく到着します。

という感じで「仕事」しているほうが気もまぎれます。

 

看護師さんからも「在宅でできるお仕事なんですか」と。

まぁ、たしかに「在宅」ですね(笑)

 

夜は無料で見られる昔のテレビドラマ。『必殺仕事人』とか『燃えよ剣』とか。

前見たときはわからなかったけど、『燃えよ剣』のロケ現場って、

僕の散歩圏内が多い(笑)。それを探すのも楽しみだったり。

 

 

 

 

 

 

 

たった一字の校正。

しとしと雨の京都です。窓から見える街路樹も雨に濡れて、それはそれで美しい。

 

あさイチの放射線治療。頭を固定させる「お面」も、ようやくフィットしてきた感じ。

本日で13回目、まだまだ先は長い。

治療のあとは、耳鼻科の先生による検診。

 

お昼まえから、校正の続き。

資料の引用で、疑問点があったので、妻に連絡して、

新編日本古典文学全集の『日本書紀』の本文を確認してもらいました。

たった一字のことなのですが、確認してもらってよかった。感謝。

 

夕方には、妻の母上ともども「お見舞い」に。

といっても病室には入れないので、院内コンビニのカフェで「面会」。

 

なんかお見舞いに来てもらったのに、本人はまったく「病人」らしからぬ様子で、

妻に買ってもらったソフトクリームを食べてました(笑)。

いろいろとむかしの家族、親族の入院のことなどをお喋り。

 

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写真は、お見舞いにいただいたコーヒーの大袋。ありがとうございます。

これで当分、コーヒーは大丈夫ですね。