鶴見俊輔の『ドグラ・マグラの世界』
ついでに読んでる本のことなど。
入院と同時に読みだした夢野久作『ドグラ・マグラ』(創元推理文庫)。
後半のところは、ちょっと食傷気味になりそうでしたが、読了。
これって日本近代の「オカルトサイエンス」とか「オカルト知」の世界ですね。
そういう視点からの批評とかはあるのでしょうか。
これを読み終えて、いまは『犬神博士』を読みだしました。
僕的には、こっちのほうが面白いかも。
『ドグラ・マグラ』読んでいるといったら、知り合いの編集者の方が送ってくださった本。
鶴見俊輔『ドグラ・マグラの世界』講談社文芸文庫
僕の狭い知識では、なんで戦後民主主義者でしかない鶴見俊輔が「夢野久作」を論じるのか、なんて思っていたのですが、とんでもなかった。鶴見と夢久との密接な共振関係がやっとわかってきました。
送っていただき、ありがとうございました。
『幻想と怪奇』「黒魔術特集」1973年三月号・歳月社
荒俣宏と紀田順一郎が「編集責任」している、知られざる雑誌です。
これがあるので後の『幻想文学』も刊行されたのでした。
この特集号は、ブラヴァツキーやエリファス・レヴィ、アレイスター・クロウリーが書いた「小説」が載っているので古本屋で購入したもの。
まだ読んでなかった、グスタフ・マイリンク「レオンハルト師」(翻訳は種村季弘)、読みました。これぞ怪奇幻想小説の本領、とでもいうべき作品。家の血筋とともに伝統的な宗教者とは違う「宗教者」の世界へと誘ってくれる一篇でした。
それはそうと、雑誌の編集後記の文章も面白い。
このころ出たユイスマンスの『彼方』の訳注がいかにいいかげんかとか。
なんと「エリファ・レヴィ」(読み方も違う)を「不明」としているとか、などなど。
1970年代初頭では、こうしたオカルト系の文学や思想についての知識が、
まだまだ「未開拓」であったことがわかります。
こういうのは、刊行された雑誌を読まないと、つかめない「時代感覚」ですね。
そういえば73、4年ごろには、僕の友人たちは、シュタイナーの翻訳をする「神秘学研究会」を作ってましたね。ときどきFBにも登場する武邑光裕氏です。
そのころ僕は吉本主義者の政治小僧だったので、その研究会には加わっていなかったけれど、結局、何十年もたって、いまごろになってその世界にはまってきている…。
なんて話題は書くときりがないので、また後日に。
「六月」は、来年もある
病室で「六月」を迎えました。
六月といえば、もっとも過ごしやすい、散歩やピクニックに最適な季節ですね。
その季節を病院で過ごすなんて、なんてもったいない。
まぁ、「六月」は、来年もある、ということで…。
放射線治療の効果も少しずつ、現れてきて、うれしい限りです。
でも、当時に、放射線による「副作用」も、ぼちぼち出始めているみたい。
口の中が、ぴりぴりと痛くなってくるのでした。まぁ、軽い火傷の症状なのだそうです。
昼間はほぼ校正仕事。人文書院の本に続いて、
次の某文庫の校正もまもなく到着します。
という感じで「仕事」しているほうが気もまぎれます。
看護師さんからも「在宅でできるお仕事なんですか」と。
まぁ、たしかに「在宅」ですね(笑)
夜は無料で見られる昔のテレビドラマ。『必殺仕事人』とか『燃えよ剣』とか。
前見たときはわからなかったけど、『燃えよ剣』のロケ現場って、
僕の散歩圏内が多い(笑)。それを探すのも楽しみだったり。
たった一字の校正。
しとしと雨の京都です。窓から見える街路樹も雨に濡れて、それはそれで美しい。
あさイチの放射線治療。頭を固定させる「お面」も、ようやくフィットしてきた感じ。
本日で13回目、まだまだ先は長い。
治療のあとは、耳鼻科の先生による検診。
お昼まえから、校正の続き。
資料の引用で、疑問点があったので、妻に連絡して、
新編日本古典文学全集の『日本書紀』の本文を確認してもらいました。
たった一字のことなのですが、確認してもらってよかった。感謝。
夕方には、妻の母上ともども「お見舞い」に。
といっても病室には入れないので、院内コンビニのカフェで「面会」。
なんかお見舞いに来てもらったのに、本人はまったく「病人」らしからぬ様子で、
妻に買ってもらったソフトクリームを食べてました(笑)。
いろいろとむかしの家族、親族の入院のことなどをお喋り。
写真は、お見舞いにいただいたコーヒーの大袋。ありがとうございます。
これで当分、コーヒーは大丈夫ですね。