『源氏物語』谷崎潤一郎訳の試み
土曜日。
午後、佛大O.L.C.講座、大津直子さんの
「『源氏物語』を再生する ―谷崎潤一郎の試み」
を見逃し配信で聴きました。
とっても面白かったです。旧訳から新訳への展開で、源氏物語の語りの口調が現代語訳に「再生」されていた、というのは「なるほど」と。
僕も、ずいぶん昔に、中公文庫の潤一郎訳の源氏物語を読みました。
たしかに「原文」がもつ、仮名文の文体へのこだわりを感じた記憶が。
なるほど玉上琢彌の「物語音読論」の反映もあったのか…、など、いろいろと勉強になりました。
戦前の旧訳の監修者は山田孝雄。谷崎の回想で、山田が皇后と臣下との「密通」は、「必ず削除すべきである」と襟を正して申し渡されたときの態度が「いかにも古への平田篤胤などに見るような国士の風があった」なんて書いています。
山田孝雄は『平田篤胤』という著書もあります。谷崎は、これを読んだのでしようか…。
というエピソードは、僕の『折口信夫』(ミネルヴァ評伝選)でも引用してあります。大好きな谷崎潤一郎が、自分の本に登場してきて、とても嬉しかった。
折口もまた、近代における、「源氏読み」の重要なひとりです。
近代における「源氏読み」の諸相については、折口信夫論の続きで書きたいところですね。
写真は、谷崎と玉上とが打ち合わせをした「花見小路吉初」です。
谷崎源氏も飾られた部屋。
なぜここに行ったかというと、ここで重森三果さんの新内の演奏会があったからでした。昨年の二月のこと。