谷崎も通った祗園の元お茶屋で新内を聴く | 斎藤英喜の 「ぶらぶら日記」

谷崎も通った祗園の元お茶屋で新内を聴く

日曜日。

午後から祇園の元お茶屋さんで、

重森三香(新内志賀)さんによる「新内って、何?」(香綸会)第一回目を聴いてきました。

 

 

ふだんは聴けない「一谷嫩(ふたば)軍記 組討の段」を約一時間にわたるフルバージョンで演奏してくださいました。『平家物語』などでお馴染みの「敦盛の最後」の新内バージョンです。

 

前半は勇ましい戦いのシーンですが、後半の玉織姫が登場してくるところ、哀調たっぷりな新内の二上がり調子…。

 

そして演奏が終わって、この曲を選んだことを語る重森さん、

やはり海の向こうで続く戦争のことを意識されて、おもわず涙ぐまれていて、

思わず僕もジーンときてしまいました。

 

 

重森さんは、じつは昔からファンでCDとかも持っています。

何年かまえに上七軒の元お茶屋さんでの演奏を聴きに行って

そのとき図々しくもサインをしてもらいました(笑)。

 

 

四条の橋から~みやこ遊びうた~

 

 

その後、重森さんが古事記にもとづく新作を作られて、

そのことを佛大の通信の仕事がらみでインタビューさせてもらいました。

 

 

 

 

というご縁があるのですが、生の演奏を聴くのは久しぶり。

久しぶりの「再会」を喜んでくださいました。

 

それにしても、重森さんは、ふだんのお喋りの声は、とても可愛らしい感じなのですが、いざ新内の語りになると、まったく違う声色をいつくも使いわけて、ほんとに敦盛や熊谷直実、そして玉織姫そのままに。これが「語り」の芸ですね。

 

そして何よりも、この元お茶屋さん(吉初)は、谷崎のご贔屓で、

彼の「京羽二重」(『雪後庵夜話』)に登場してきます。

 

昨夜は、久しぶりにそのエッセイを読み返していたので、

なんか昭和のころの京都のお茶屋さんの雰囲気が残る、

その場所で重森さんの新内を聴けたのは、もう感動もの、なのでした。

 

 

ということで、お店のなかの谷崎にちなむ部屋を見せていただきました。

 

 

そこには谷崎訳の『源氏物語』が。

 

 

 

そして独特な中庭。階段を上っていく、女性の後ろ姿(笑)

 

 

香綸会による、このイベント。次は5月にあります。

次は「蘭蝶」のフルバージョンが聴きたいですね。