ツイン・スプリング、0-1 G の応答 車軸固定 | Impreza GC8G STi Ver6 (213,730 km 〜) ♻︎ ⎈

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        スバル・インプレッサ WRX STi Ver.6 維持管理・改良・運転記録
        Records of Maintenance, Modifications and Driving
        About my SUBARU Impreza WRX STi Ver.6, 1999 (GC8G4ED)

ようやく、FreeMat の仕様に慣れて、バネ・マス・ダンパー系にプリロードや

ヘルパーバネを組み込み、数式に表すことができたようだ。

FreeMat の ode45(常微分方程式と初期値問題の数値解法)の機能では、方程式と初期値・経過時間を与えて計算を始めると途中で方程式を変更できない。そのためヘルパー密着までの計算結果を求め、密着時の状態を初期値としてヘルパー密着後の計算を行ない、それらの結果を連結した。

 

バネ・マス・ダンパー系の仕様

バネ定数、Main:  10 kgf/mm (10*9.8*1000 N/m)

     Helper: 3 kgf/mm (3*9.8*1000 N/m)

密着荷重、Helper: 120 kgf (120*9.8 N)

減衰係数、Low: 200 kgf s/m (200*9.8 N s/m)

     Mid: 600 kgf s/m (600*9.8 N s/m)

     High: 1000 kgf s/m (1000*9.8 N s/m)

1 輪当たり車体質量: 250 kg

プリロード、無: 0.0 mm (A 点 0-1 G stroke: 62.2; M: 26.2 + H: 36.0 mm)

      有: 7.2 mm (A 点 0-1 G stroke: 55.0; M: 24.5 + H: 30.5 mm)

(自車の 0-1 G stroke が 55 mm なので、これに合わせてみた)

 

今回の計算では圧縮方向なので、メインバネ自由長を定めていない。

初期値の位置を原点 0 として、上方を正、プラス、下方を負、マイナス量として示している。

 

 

まず、上図の1 本バネ・マス・ダンパー系でのバネ定数と減衰係数の影響について示す。上図は、1 本バネの上に質量が載っており、 バネ下は接地固定され、バネに並行してダンパーが付いている。

0 G 状態のA 点の位置を原点として、0-1 G での A 点の位置変化を下記グラフに示す。

各線色の示す項目は、下記の通りです。

青線:バネ定数 10 kgf/mm の  A 点の変位

緑線:バネ定数 10 kgf/mm の  A 点の速度

赤線:バネ定数 3 kgf/mm の  A 点の変位

シアン線:バネ定数 3 kgf/mm の  A 点の速度

マゼンダ線:合成バネ定数  2.307 kgf/mm の  A 点の変位

黄線:合成バネ定数 2.307 kgf/mm の  A 点の速度

 

減衰係数:200 kgf s/m 時の A 点の運動

速度の最低値を経て 0 に戻るまでの時間を比較すると、バネ定数が大いほど短時間になり、固有振動数が SQRT(車体質量/バネ定数) に比例する通りになった。各バネに対しては減衰係数:200 kgf s/m は小さ過ぎる。

 

減衰係数:600 kgf s/m 時の A 点の運動

バネ定数 10 kgf/mm のバネに対しては減衰係数:600 kgf s/m は程良いと思われる。

 

減衰係数:1000 kgf s/m 時の A 点の運動

各バネに対しては減衰係数:1000 kgf s/m は強過ぎると思われる。

 

メインバネの上にヘルパーを入れた場合

上図のように、ヘルパー上端を A 点、メイン上端を B 点として、これらの変位を計算した。バネの上部には車体質量が載り、下部は接地固定されている。0 G 状態の各点の位置を原点として、1 G 状態にした時の各点の変位と速度をグラフに示す。左図はプリロード無し、右図はプリロード有りである。

各線色の示す項目は、下記の通りです。

青線:ヘルパー上端 A 点の変位、  緑線:A 点の速度

赤線:メイン上端 B 点の変位、 シアン線:B 点の速度

左図:プリロード無し、      右図:プリロード有り

 

 

減衰係数:200 kgf s/m 時の「上ヘルパー」A, B 点の運動

各点の速度は、プリロードを加えることによって各点の最高速度は僅かに減少するが、最低値- 0 点までの時間にほとんど差異は無い。A 点の速度はバネ定数 2.3 kgf/mm の 1 本バネよりも速く下降する。最低値- 0 点までの時間は 0.2 s 程で、バネ定数 3 kgf/mm の 1 本バネの 0.3 s 程よりも短く、10 kgf/mm の 1.7 s 程よりも長い。

ツイン・スプリングにすると、0-1 G ストロークを長くしても A 点の下降速度が

合成バネ定数と同じ 1 本バネよりも速く、B 点の下降速度もメイン 1 本バネよりも速くなっている。しかし、静定するまでの時間は メイン 1 本バネとあまり変わらない。

 

 

減衰係数:600 kgf s/m 時の「上ヘルパー」A, B 点の運動

A 点の速度はバネ定数 10 kgf/mm の 1 本バネよりも速く深く下降するが、静定するまでの時間は 0.25 s  と僅かに長くなった。程良い減衰係数値と思われる。B 点の下降速度変化は減衰係数:200 kgf s/m 時と変わらないが、上昇速度では減衰が強く働いている。

 

 

減衰係数:1000 kgf s/m 時の「上ヘルパー」A, B 点の運動

A 点の速度はバネ定数 10 kgf/mm の 1 本バネより遅く下降するが、静定するまでの時間は 0.3 s 程と少し長くなった。B 点の下降速度変化は減衰係数:200 kgf s/m 時と変わらないが、上昇速度では減衰がより強く働いている。強過ぎる減衰係数値と思われる。

 

メインバネの下にヘルパーを入れた場合

上図のように、メイン上端を A 点、ヘルパー上端を B 点として、

これらの変位を計算した。他の仕様、表記などは「上ヘルパー」と同様です。バネの上部には車体質量が載り、下部は接地固定されている。0 G 状態の各点の位置を原点として、1 G 状態にした時の各点の変位と速度をグラフに示す。各線色の示す項目は、下記の通りです。

青線:メイン上端 A 点の変位、    緑線:A 点の速度

赤線:ヘルパー上端 B 点の変位、 シアン線:B 点の速度

左図:プリロード無し、      右図:プリロード有り

 

 

減衰係数:200 kgf s/m 時の「下ヘルパー」A, B 点の運動

各点の速度は、プリロードを加えることによって各点の最高速度は僅かに減少するが、最低値- 0 点までの時間にほとんど差異は無い。A 点の速度はバネ定数 2.3 kgf/mm の 1 本バネよりも速く下降し、最低値- 0 点までの時間等「上ヘルパー」の動きと同様である。大きく異なるのはB 点の動きで、下端を固定されており、減衰も働かないので、密着荷重まで一定速度で直線的に下降して停止する。ヘルパー密着後の A 点の動きはメイン 1 本バネの応答になるが、B 点のヘルパーの密着までの下降最大速度が「上ヘルパー」の 0.5 より大きい 0.7 程となるが、A 点より B 点の下降速度が速いことから、A 点の下降速度は B 点の下降、ヘルパーの圧縮によって生じていると考えられる。

 

 

減衰係数:600 kgf s/m 時の「下ヘルパー」A, B 点の運動

A 点の速度はバネ定数 10 kgf/mm の 1 本バネよりも速く深く下降するが、静定するまでの時間は 0.25 s 程と僅かに長くなり、「上ヘルパー」と同様である。程良い減衰係数値と思われる。B 点の下降速度変化は減衰係数:200 kgf s/m 時とあまり変わらないが、最大下降速度でヘルパーが密着して停止している。

 

 

減衰係数:1000 kgf s/m 時の「下ヘルパー」A, B 点の運動

A 点の速度はバネ定数 10 kgf/mm の 1 本バネより遅く下降するが、静定するまでの時間は減衰力により 0.4 s 程と少し長くなった。減衰係数値が強過ぎると思われる。B 点の下降速度変化は減衰係数:200 kgf s/m 時と変わらないが、最大下降速度は僅かに小さくなっている。

 

ツインスプリングにすることで、硬いバネで0-1 G ストロークを大きくし、応答も硬いバネに近くすることができる。また、減衰力は メインのバネ定数に対応することで良さそうである。

詳細は、いろいろなバネ定数の組み合わせを試してみて後日掲載します。

(下ヘルパーでは最大下降速度でヘルパーが密着するとロアシートに衝撃が生じているのでは・・・

とちょっと心配だ)