子思う父に、父思う子と | にゅ~スロ庫@ファイブ.jp

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 確か発売日が2月末でしたっけか。たかが感想の半年近く何してんの?って感じですよね。そもそも前巻である第11巻の感想が実は去年9月。実に1年の月日を経て感想を書くって。
今回の感想も第11巻の続いている話となっているので、以前の記事も一読されてもらえると幸いです。言う必要は無いだろうが、「当て屋の椿」第12巻の感想とネタバレについてです。

以下、感想とネタバレ。
『チシャ』の射抜いた矢は『秋海』に命中し、倒れこむ。チシャの暴走は止まらずに屋敷にいた役人を次々殺す。鳳仙は秋海を手当の為に屋敷に運ぼうとするが、重症の秋海から鳳仙に向けて「見るな」と言う忠告で意識を失う。と、同時に夜泣く音が虫干し部屋から聞こえる音に反応して鳳仙が向かう。
その声の正体は椿の言う魔の者、秋海一門に仇為す「ぬえ」、天稟の才能を持つ秋海の息子『白茅(チガヤ)』だった。二本の腕は骨が剥き出しの鉤爪状態になっており、一目見た椿は危険を感じ取る程であった。
姿を現した白茅に襲いかかるチシャ。弓を携えて虫干し部屋に向かった鳳仙は、虫干し部屋の床下の空間で殺された桷を発見する。そんな桷の傍には無数の死体があった。

話は移り変わり過去へ。
虫干し部屋は風通りを良くする為に階下との間に空きの空間が作られ、そこは大人が入る事が出来ない場所であった。糸葱と白茅は隠れん坊部屋と呼び、二人の秘密の場であった。
白茅は紙に枯れた花を押し付けて絵を描いたとして糸葱に見せた。作業場に入った事無い白茅は絵を良く知らず、糸葱はそれは絵で無い事を教え、紙に筆で描く事を絵だと教える。花を描いて見せると白茅は「そんな事でいいの?」と答えた。糸葱はそう言う白茅の顔は口が裂けた様な違和感を感じる。
秋海は御用絵師として御殿の襖絵を描こうとしていた。彼は弟子の『空木』がいないと筆すら洗えない程の絵師の鏡であり、秋海の側にいるだけで良いと言う弟子の空木は弟子鏡だと秋海の妻の奥方は言う。

そんな時に作業場から柾の叫び声が屋敷に響き渡る。そこには白茅が襖に描いた絵があった。その絵は墨で描かれた1本の「樹」の様な絵であった。その描かれた樹は雄大で様々な要素を含んだ見る者を魅了するほどの出来栄えであった。
その絵を見た空木は秋海に対して「私は今まで何をしていたのでしょう」と涙ながらに伝えた。白茅が気づき振り返ると秋海に見えていたのは息子である白茅ではなく、絵師に見える鵺が住み着いて、もはや息子では無く、かれにはそれしか見えていなかった。白茅に向けて矢を射抜こうとする秋海。その場から白茅と母は共に逃げ去るのだった。その日の内に空木を含む秋海の弟子4名が自害した。そんな中、弟子の一人が矢が1本の失われていた事に気がつくのであった。
母と白茅は隠れん坊部屋でしばらく身を隠す事にして食事は糸葱が持っていく事になる。糸葱に母が角が生えた様な錯覚を目にするが白茅の裂けた口を見た事もあり幻だと思いその場を去った。いまはまだ何も失っていないのに全てが失われてしまう様な感覚に、糸葱は怯えていた。そして平太郎を思いながら涙を流して泣くのであった。白茅は母が泣いていると訴えているが、その頭は矢で射抜かれ母は既に亡くなっていた。

その事件以来、秋海は破魔矢を作り続け絵を描かなくなった。白茅は死んだ事を知らず、死んだ母が日々変わる事、それを描く事が唯一の事になった。筆も絵の具も無い部屋で使うのは硬い床に自らの手と指で描く事。ある日、糸葱はその現状に気がつく。母は死に見る姿も無い、白茅の手は大きく膨れ上がり骨が見える状態。そんな状況に耐えられず平太郎の元へ助けを求めに向かうが、平太郎の家の門は閉ざされ顔を見ることも合う事も叶わなかった。
糸葱は白茅の膿んだ手を切り落とし、そして糸葱は決断する「生きる」と。この屋敷と共に生きるのだと、そのために柾に秋海として絵を描く事を強要する、自らの指示で。自らの変わった姿に次に会ったら気付かないだろうと平太郎を思いながら。ただ、白茅は手が腐れ落ちても描く事をやめずにはいられなかった。

話は戻り現在へ。
鳳仙が見た死体は全て床に描かれた無数の死体の絵だった。見晴らし台の上に表れた白茅。彼は鳳仙に言う「人は死ぬとゴロゴロと鳴く」のだと。鳳仙は聞く、遠くの方で遠雷を。雷の様に鳴くのは奪われた傲慢だと白茅は言う。それに対し鳳仙は「どうして奪ったのか?」と問う。「違う」とその問いに割って入る糸葱。全ては自ら招いた物、柾を追いつめた事、に付け入れられた事、白茅から筆を取り上げた事、母を閉じ込め死なせた事。涙ながらに「私が守らないといけないのに」と言う糸葱に対し、イラつきを見せながら鳳仙は「だったら言えばいいだろ、俺に描けって!ここで秋海として描けって言えばいいだろう」と怒鳴る。そんな鳳仙の言葉に糸葱は「ダメよ、だって私、あなたの春画好きだもの」と言う。糸葱の本心は本当は飼い殺すつもりだった。

役人の応援が付き死体の山に屋敷での事件が公になる中で見晴らし台に登る椿。生きると決めていた姉弟は屋敷も父も救いが無いと言う。そんな糸葱に対して「あんたの気持ちなんかどうだっていいんだよ。先生が糸葱を助けたいと言った、それ以上に理由があるのかい?」と言うのだった。
役人殺しに応援に来た役人が鉤爪を捕らえようと見晴らし台へ迫る。そんな姿に白茅は傲慢と怒り、縄梯子の縄を切り椿もろとも落とす。落下する椿に対して鳳仙が近くにあった弓矢で椿の着物に矢を射抜き間一髪で椿は無事だった。

縄梯子が無い中で傷ついた身体で見晴らし台へ登り姉弟へ詰め寄る秋海。そして持っていた矢で自らの身体に傷をつける。それは秋海の決意である。彼曰く、幾年も絵に費やしたのに幼子の絵に弟子の前で天分にひれ伏す事を認める事が出来なかった。そこで全て失い、何一つ取り戻すことが出来なかった。そんな秋海の決意に椿は乗り、役人共に殺しは秋海の仕業だと印象つける。

そんな椿の行動に鳳仙は自らが見た本当の鉤爪の正体を言おうとするが、椿は『本当』の意味とは本来の道筋、あるべき姿と言う意味だと言う。そんな言葉に対して鳳仙は「父親が子供を庇うのが?」と問うと椿は笑いながら「はは、自己犠牲かい?まさか、救うも何も知ったこっちゃないさ。父親共(ヤツら)が傲慢なのは至極本当だろう?」言うのだった。
そんな言葉に鳳仙は実の父親の最後の眼差しの本当の意味、真意に気が付き、笑みと涙が込み上げる。
「生きよ糸葱、白茅」
「生きよ平太郎」
そして見晴らし台から降りるよう姉弟に呼びかける。
正気を取り戻した父と弟に台から降りるよう諭す。そんな父に対して不満をこぼすが秋海は謝る。台から降りようとする糸葱に白茅は一緒に降りようとせずに謝る。そして父に対して願いを言う。そんな茶番に愛想を尽かしたチシャは本来の目的が達成し損ねると見るや秋海に矢を当て白茅を要求する。白茅の願いは秋海に肩車をされて自分の空の色を描くことだった。空には雷が鳴り響き、今にも雷が落ちそうな空、それが彼の空の色。彼が絵を描き続けたのは、父に認められたいゆえであったのだった。白茅の絵に秋海は素晴らしいと褒め称え天と地に響かせるが如く自らの仔と自慢すると同時に親子に対して雷が落ちるのだった。

父と弟の死に様を見て取り乱す糸葱。目的の達成が不可能になったと見るやイラつき持っていた弓矢で糸葱を射抜くチシャ。見晴らし台の中部付近から落下する糸葱を間一髪落下から守る鳳仙。糸葱からは血が流れ出ているのを見るや怒りを露わにする鳳仙。そんな鳳仙に対して追撃を食らわそうとするチシャ。そんなチシャに対して冷静な態度で弓矢を射抜く椿。射抜かれた矢は、チシャに当たる事なく落下。チシャを守ったのは棕櫚。棕櫚の姿を見た椿はどういうことだい、棕櫚。どういうことだい、篝」と叫ぶのだった。

以上が絵師の屋敷編の結末。
多々、誤字脱字があるのは勘弁な。なるべく修正はしたいが・・・。以前は合間に感想を書いていたが今回は若干違う形式の感想とネタバレです。そもそもこの『絵師の屋敷』編が長いのは過去のエピソードが2つ存在するから。前巻の記事でも描いた「鳳仙の過去」と今回の「秋海一門の過去」ですね。実は接点はほとんど無い様に思えるが実際にはほぼ同時期に事が起こった事実。思うのはこの2つの過去の共通する部分はこのエピソード根幹であるテーマ『父と子』にあると思うんですよね。鳳仙は秋海を見て、実の父が残した最後の眼差しの本当の意味に気がつくのですが、やはりそこに納得し得る材料が私に無いんですよ。私自身、その事実を見てなお、前回の記事で感想として書いた気持ちが拭い去る事が出来ない。そこに理屈を得るには、自らで納得する材料を得ない限り一生わからない気持ちなのかもしれない。まあ、なんというか感想を書く意味でもわからない気持ちを書くのには苦痛しかったり。結論として思うに私が「父」と言う存在を理解出来ないからなのかもしれない。その辺は私自身を知らないといけないわけで本来ならば、この後に私自身のエピソードを言いたかったのですが・・・。私の事はどうでも良いですね。いつか時間が取れたらお話できればとか言っておく。

その後は椿と棕櫚が相対した事で生まれた謎が謎を呼ぶ展開へ。傷ついた糸葱の行方、黒幕らしき上方の医家の男、突如と消えた竜胆と日輪。物語は椿の過去のエピソードへ。ここまで読む人が本当にいるのか定かじゃないが今回は無駄に長いので次の記事にて。
まあ、次巻第13巻が9月29日発売してしまうので、何とも言えませんね。とりあえず私自身は単行本派で連載雑誌の方は一切未読である事。また、この漫画の内容を書くに関してはネタバレをする事がメインではなく、この漫画を読んで思う『感想』がメインですからね。色々と言い訳臭い感じですが、本当にこの漫画が沢山の方々に購入して読んで欲しい物であります。(ただし、18歳未満の子供はダメです。)

とりあえず、次巻は年内に感想を書く!!