愛されずに、愛するに | にゅ~スロ庫@ファイブ.jp

にゅ~スロ庫@ファイブ.jp

日常系から自分の趣味、ニュースまで思った事や気になった事などなど様々な事柄を語る日記風ブログです。
基本的に1日1投稿。

 前回と言うか、前日の記事『その身は近き者の為に』から続きになります。「当て屋の椿」第11巻の感想の後半部分です。

以下ネタバレと感想の続きです。
糸葱との一見により母を思い出した鳳仙。話は移り変わり鳳仙の過去へ。
鳳仙、幼名と言うか本名(?)は平太郎。武家の家系で父と母、弟がいた。母はころころとよく笑う美しい人、父は部下に向かって謝る平太郎に対し殴り、武士の頭を下げるのは主のみだと言う程の自分にも他人に厳しい人。平太郎はそんな父の姿を見て白刃の様な美しさに憧れも畏怖抱きながら好いていた。母は平太郎が父に殴られた時には優しく接してくれていた。
ある日、母は出入りしていた下人と共に姿を消した。母のその様な行動に動揺も見せず父の心に変化は無い様に見え、いつもと変わらない暮らしを過ごしていた。そしてある時、母が見つかる。平太郎は父と幼い弟と共に会いに行くことになった。父は間男との間は、慣例となっている対話による金で解決する。平太郎はそうと思っていた。慣わしに従う事が当たり前、平太郎はそれが父らしいと思いながら感心していた。また、母と別れることで会えなくなるさみしさも感じていた。だが、事件は起こる。

母のいる宿に着くと父は平太郎らに目の前にて間男に間髪を入れずに太刀を浴びせ殺害。その光景とその時の父の形相を見た平太郎は、実は父が平穏を装っていただけだったと悟る。父の内心では底知れぬ怒りに震え上がっていたのだ。そんな父の姿を見た母は、狂気し、取り乱す。錯乱状態の母は父や弟を見ながらも平太郎に助けを求めた。母は平太郎に父を殺す様に懇願、さらに平太郎の逸物を服の上から咥え様とする。正気の状態では無く父殺しを懇願する母の姿はもはや美しい姿はなかった。母が語る言葉は一番好きだったのは息子である平太郎だと言う事。起こる出来事に混乱する平太郎に母は言葉を投げかけながら、平太郎の逸物を挿入しようする。その時、後ろから刃を突き付けられる母。狂乱する母の姿に誰よりも怒りに震えていたのは幼い弟であった。母の行動を見た弟は殺す程の憎しみを抱き、持っていた太刀を母に突き付けたのだった。母を殺し抱きつく弟の姿を見た父は幼い弟を自らの手にかけ殺す。その後父は自分の首に刃を当て、平太郎に何かを訴えかける目で見つめながら自らの首を斬りつけた。一家の惨状を突き付けられた平太郎は「殺したい程愛しもせずに、殺したい程愛されていなかった」と悟るのだった。
結局、公で公開された情報は母の不義を見咎めた父は間男と相対し、間男と母により弟が人質になり犠牲になる。そして父は間男と相打ち死。父と弟殺しの共謀した母に怒りを覚え、平太郎が自分の母を斬り殺したと言う事になった。

放心状態の平太郎は事実とは違うがそれを了承。また元服前であった為に御家跡継ぎがいなくなった為に家名没収される事になることも了承する。間違いを犯したのは、平太郎以外の一家全員。全ては母の行動が間違いの元であり、やり直しの機会はあった。父に許しを懇願すれば・・・、幼い弟を先に抱きしめれば・・・、自分を選んでしまった為の悲劇。
この事件は平太郎の胸に大きくな染みを付けた出来事。起きた出来事にやり直しは出来ない。一度絵具を垂らした染みが消えない様に、その染みが色あせるのを待つしか無いと、平太郎は屋敷で泣くのだった。
その後、平太郎は絵師への道に進む事を決め、名を「鳳仙」と改める。その名前の由来は母と見た鳳仙花の花である。母から知らされたその花の花言葉は『私に触れないで』であった。

以上が、鳳仙の過去の話です。
『親の心子知らず』では、全く違うし『子の心親知らず』とでは何か違う。私自身の言葉で言うと「深い愛情無き親心に子は何を思えばいいのか?」と思うんですよね。そして『親の因果、子に報う』、結果的に親の不義が子に深い深い傷を埋め込むのは明白。それが愛なき感情でも深すぎる愛であったとしても、同様に親と子の関係は死ぬまで切れない縁である。
本音を言えば、母の平太郎に対する態度は本性かはわからない。狂気した母の戯言かもしれないし、安易な命乞いとも取れるんですよね。父の方は、その態度や行動を考えたら、母を深く愛していたとも考えられるし、もしかしたら父の一番憎い相手は平太郎だったのかもしれないとも思えるんですよね。そもそも母の気持ちを悟っていた可能性も低くは無いと感じる。両親の名前すら出ない程ですから生い立ちも不明ですから本当に何と無くとしか思えませんが。
全然関係無い話だが、昔の糸葱も登場している。現在の特徴的な長い髪では無く、おかっぱな短め、でもかわいいです。そんな糸葱は平太郎の事件後に屋敷を訪れ、助けを求めていたのが意味深です。結局、平太郎と会う事叶わずに平太郎は鳳仙へとなった。

話は現在に戻って、「チシャ」と「バショウ」(顔に病気のアザの様な物がある男)は度々出ては事件の裏にいる人物である「棕櫚」一味の仲間。大元と言うか元締めは上方にいる医師らしく、チシャが秋海の屋敷へ送り込まれた目的は門弟達を狂わす「人を惑わす絵」。表向きは新たに構える医家の「百畳の襖絵」だが、真の目的は秋海の屋敷にある「人を惑わす絵の入手」であり、その為にチシャを送り込んでいたとの事。

第10巻を読んでるならば、大体は察しはつくはず。イノの傷の回で出てきた棕櫚と怪しい一味。その中の丸坊主のイカれた女がいたと思うが、チシャと同じイヤリングをしているんですよね。話し方といい同じ人物なのは明白だったが、前々回の序盤の感想ではチシャの事をあえて一切触れていなかったり。何かあるのは間違い無いからだし。椿や竜胆達と関係のあると思われる人物のシュロ一味。チシャと椿は何事も無く面と向かっているので面識は無いのか?知人ならば面識があってもいいはずだが、謎が深まるばかり。

翌朝、風呂に入る鳳仙を見つけ乗り込んで来る椿。そこで鳳仙は屋敷で起こる出来事に「どうすればいい?」と椿に問う。椿は鳳仙に向かって「先生はどうしたんだい?」と逆に問う。何だかんだと言い訳の様な発言をする鳳仙に対し、椿は鳳仙に足で風呂の湯を浴びせる。椿は鳳仙の心を見透かしている。そんな椿の心に気づいた鳳仙は一言「糸葱を助けたい」と力強く椿に言う。

椿達の裏では門弟の桷が鉤爪を持つ者と対峙し、そして殺される。鉤爪を持つ者は糸葱の弟だった。糸葱は弟に描く事を強いる。一方、椿と鳳仙は人なのか物なのか正体不明の鵺のあぶり出しを模索する。その中で、一方納めれば正体が割れると呟く。その言葉を聞いたチシャが割り込み秋海に向かって持っていた弓矢で射るのだった。
次巻へ続く。

流石に1冊分はやはり長いです。
そもそも読む前はこの巻で完結すると思っていたが、11巻では終わらずでしたからね。そういえば、鳳仙の不能の原因は今回の過去の一件でなった可能性が高いですよね。不能と言うよりも女性恐怖症だし。

前後編で1冊の漫画本の感想。前半部分の大半が後半部分を書いている時に消失している。実質先に出来上がったのは後半の今回の記事で、前半の記事の約半分は後半後。何と言うか、ここまでする意味はあるのか?と自分に疑問。

まあ、それも作品に対する深い愛ゆえです。私自身はこの作品が完結するまで応援し続けますよ。