第5位 Swanlights/Antony And The Johnsons
- 「表現力が豊か」という次元を超えた,歌ものアルバム。アントニーの歌の存在感,それに尽きる作品である。俗世間から遠く離れた所にある,喜び,悲しみ,驚き,痛み。全く怯むことなく,そういうものを真摯な姿勢で感じ取ることができるからこそ,彼の歌には圧倒的な強さがある。そこには重苦しいものもあるが,あふれんばかりの愛があることも事実。サウンド的にも前作より敷居を低くし,ある種の聴きやすさが出たことで,より万人に聴かれそうなアルバムになったと思う。実際自分もよく聴いた。
- NY出身のロックンロールバンドということで,単にクールな印象を受けるかもしれない。かつてのような荒々しさはかなり後退しているが,剥き出しのロマンチシズムを感じさせるメロディーラインとハミルトンの歌,これが不思議な暖かみを感じさせてくれる。枯れたような味わいを見せつつも,陰のあるギターロックとしてのかっこよさは,かつて以上に輝いていると思う。あまりにも注目されなかったことへのちょっとした異議申し立て,ということでこの順位に。
次回,一気に1位まで紹介します。