第3位 The Age Of Adz/Sufjan Stevens
正直何度も聴いたアルバムとは言い難い。独特かつ繊細なサウンドコラージュ,25分を超える大曲,様々なジャンルがシームレスに繋がれ目まぐるしく変化する様・・・決して敷居の低い作品ではない。しかし, 何でもありのカオティックなサウンドながら,最終的には彼の誠実な歌へと帰結していく。情報過多とも思えるサウンドに負けず,むしろそれらを従えた上で響く歌,その力のすごさはロックのマジックをこれ以上ないくらいに感じさせるものだった。
結局たくさん聴いたNY,ブルックリン系の作品のなかでも破格のアルバムだと思う。親しみやすいメロディー,トロピカルで明るい音色,風通しのよいサウンド・・・どこまでもポップに純化したアルバムであるが,下世話な感じが全くない。それは,世間に迎合しようとしたのではなくて,混迷した世界を軽やかに超えていこうという意思が,音に表れているからだ。そんなタフなことをVWは人々を虜にするようなポップサウンドで成し遂げようとしたのではないだろうか。何度聴いても楽しく,感動する。
- VWとどちらを1位にするかさんざん悩みましたが,より衝撃の強かったこちらを。研ぎ澄まされた感覚でもって鳴らされた16曲。オープニング「The Suburbs」のイントロがなった瞬間,聴き手はその世界の中にいるような感覚を受けるが,これだけバラエティーに富みながら,緩慢,散漫を全く感じさせず,逆に骨太な世界観を聴き手に味わわせることができる。バンドの音楽性~咀嚼力,血肉化する力が半端ではないことを十二分に提示した作品であるが,まだまだ完成の域に達していないような印象もあったりするのだ。つまりは,まだまだ成長が期待できるバンドだということ。Ready To Startなのだ。
次回は総括と、ある思いがあってベスト10に入れなかったものを紹介したいと思います。