【チップス】 真山 仁 著
ハゲタカ・シリーズは全て読んでおり、8年ぶりの鷲津政彦の登場に心躍らせて読み始めました。台湾の某半導体メーカーを巡る日台米中韓の闘いです。2023年11月から『日経ビジネス』に連載されたものを加筆修正したとありますが、高市首相の台湾発言、ワーグナー(トランプ)大統領のベネズエラ侵攻なども書かれており、一気に書き上げた感があります。登場人物が多いので、巻頭の「主な登場人物」を参照しながら読み進めました。
上巻は導入部で背景説明的とも言えますが、下巻に入ると、まるで現実に展開されているかのような国際政治の絡んだ買収劇となり、緊迫度を増して一気に読み終えました。これは、現在、本当に進行中のような内容で、M&Aに絡む問題や国際政治の舞台をよく取材していて感嘆しました。まだ続編がありそうなので、楽しみです。
「宗教や民族衝突が、国際紛争の主たる原因だと考えている人が多いですが、誤りです。紛争は、生きるか死ぬかの鍵を握る資源や技術の奪い合いから生まれます。それを手に入れるためなら、手段を選ばない」というのは今のイラン情勢にも通じそうです。ネタバレになるので書けませんが、次々と鷲津が半導体メーカーを買収するのは日本へのある思いがあってのこと。これには共感でき、結末も鷲津が単なるハゲタカではないことを証明しています。ただ、このところ旧友に会うと「はげたか?」と聞かれる昨今、シリーズ名もほかのタイトルにしてほしい一冊です。









