耀と浩は道順を教えてもらい
夜市に向かって歩いて行った。
途中の小さな路地から三々五々合流して
通りはしだいに人が増えてきた。
ゆるゆると移動していくと
じきに目が覚めるような
眩しいオレンジ色の広場が見えてきた。
これが噂に聞く南関の夜市なのか。
耀は内心声を上げた。
喧騒の中に店舗が並び
いたるところで
客寄せの声があがり
大勢の人で賑わっている。
耀と浩は興奮して
きょろきょろと見まわしていた。
「どうしよう?かなり広いね」
夜市は伯父から渡されたメモによると
九鬼との接触可能性のある
ポイントになっている。
九鬼本人が目の前に現れるのか
使いの者がメッセージをよこすのか
露天商に紛れて
こちらの出方を伺っているのか
それはわからない。
「二手に分かれよう」
中は格子状の通路になっている。
「浩は右端から
僕は左端から当たっていくので
真ん中で落ち合うことにしよう」
そうして耀が歩き出した途端
困ったことに、どちらを向いても果物売りの
ブースが目に飛び込んでくる。
まるで耀の胸のうちを見透かし
あざ笑っているかのようだ。
派手な電飾に縁取られたガラス貼りのブース。
その中にいる若い女性たちは
ベアトップのワンピースやミニスカートなど
おおむね露出度の高い格好をしている。
彼女たちは文字どおり店の看板娘だ。
興味なさそうにただ立っているだけの娘もいるが
ほとんどの娘は音楽に合わせて
思い思いに体を揺らしたり
ダンスを踊ったりしている。
そして時おり目の合った客
気のありそうな客に
身振り手振りで何かのサインを送っているようだ。
果物売りというのは表向きにすぎないと
はっきりわかる。







