
Photo by Zhipeng Ya on Unsplash
あの時だってそうだった」
そこまで言って伯父ははっと口をつぐんだ。
場が凍り付いた。
あの時。
あの時っていつのこと?
耀はふと思いついた恐ろしい想像で
口がきけなくなった。
伯父は青ざめた顔で弱々しい微笑を浮かべた。
「行くも行かないもお前たちの自由だ。
お前たちが判断してくれ」
耀はためらうことはなかった。
「罠だという可能性はある。
だけど、やってみなければわからない。
というか、もうやるしかないんじゃないの。
まだ打つ手は残っているんだから
あきらめるのは早いよ」
「そうだよ。
僕らが取り戻しに行ってくるから
おじさんは中華街で店を守っていて」
浩もすかさず請け合った。
「そうか。頼んでもいいか。
いまさら頼めた義理ではないが
あの男を追って取り戻してきてくれるのか」
「もちろんだよ」耀は大きくうなずいた。
「心配することないよ。任せておいて。
おじさん」
伯父の前で力強く言い切ったものの
耀は内心不安だった。
はたしてこれだけの情報で一週間以内
に九鬼の消息がつかめるのだろうか。
あの神出鬼没でつかみどころのない男の事だ。
そう簡単にはいかないだろう。
しかも探しあてるだけではない。
対面して直談判までしなければならない。
今までまともに目を合わせたことも
口をきいたこともないというのに。
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