印刷職人のしごとば -8ページ目

ダレン・アーモンド写真集『The Civil Dawns』

先日、展覧会図録の記事をお届けした話題の美術家、ダレン・アーモンド。

今回はtorch pressさんから発売の写真集『The Civil Dawns』のご紹介です。


表紙



ダレン・アーモンドは満月の光のみで撮影された”Fullmoon”シリーズでも有名ですが、
今回の”Civil Dawn”は、夜明けの瞬間に差し込んだ光によって撮影されたシリーズ。

「Civil Dawn@Giverny」はクロード・モネのジヴェルニーの庭、「Civil Dawn@Hiei」は比叡山という象徴的なロケーションで撮影されました。

ジヴェルニー

対象物がまとう一瞬の光や空気感を捉える視線は、モネの絵画に通じるものがあります。

比叡山

荘厳な比叡山の夜明け。闇の世界に徐々に光が滲みわたっていきます。

どこにでも毎日訪れる夜明けの瞬間を啓示的な場面に変えてしまうのが、芸術家ダレン・アーモンドの魔術でしょうか。



どの写真も非常に繊細な色合い。

印刷時にはデザイナーの田中さんと編集者の網野さんが立ち会いに来られ、
微妙な色調を決めていきました。

印刷立ち会い

展示室

立ち会い初日終了後、弊社展示室にて。


さて、収録作品はもちろん、デザインにも独特の存在感があります。

上の画像を見ていただいた通り、本文の背景は薄い藤色と茶色のツートンカラー。
表紙は上製本としては薄手で、小口のチリが長めに設計されています。

小口



随所に「おや?」と思わせる仕掛けが施された、掘り出し物の洋書のような味のある一冊に仕上がっています。

是非、手にとってご覧ください。





『Tha Civil Dawns』は、Torch pressさんのサイトからお求めいただけます。


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ダレン・アーモンド『The Civil Dawns』
発行:torch press
デザイン:田中義久
テキスト:堀江敏幸
仕様:A4変型/ハードカバー/84P
定価:4,800円+税
ISBN978-4-907562-01-4

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サンエムカラーで写真集を作りませんか? お問い合わせはこちら。

古の贈り物 | 日本画家 西久松吉雄の世界

古の贈り物 | 日本画家 西久松吉雄の世界


6月24日(火)~6月29日(日)まで、
京都、生活あーと空間 ぱるあーとにて、西久松吉雄さんが個展を開催されます。

展覧会に併せて「古の贈り物 | 日本画家 西久松吉雄の世界」が出版されます。





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西久松吉雄展 ─日本画─ 古の贈り物IV

期間:2014年6月24日(火)~6月29日(日)
時間:11:00~18:00(最終日17:00まで)
    ※終了時刻15分前にはご来場ください
会場:生活あーと空間 ぱるあーと

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西久松吉雄(にしひさまつ・よしお)

略歴:

1952 京都府出身

1976 京都市立芸術大学美術学部日本画科卒業
1985 第11回京都春季創画展春季展賞

1990 第16回京都春季創画展春季展賞

1991 第18回創画展創画会賞

1994 第4回京都新聞日本画賞展大賞
1995 第13回山種美術館賞展優秀賞

2005 第32回創画展創画会賞
2006 第33回創画展創画会賞

現在:
創画会会員 京都日本画家協会会員 成安造形大学芸術学部教授




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ブックデザインを手がけられた浅野豪さんにお話をお伺いすることができました!


浅野豪(あさの・たけし)

1981 岡山県生まれ
2005 成安造形大学 造形学部デザイン科 メディアデザイン群 写真クラス 卒業
2005 東出清彦写真事務所勤務 (2005.7-2009.3)
2008 MIHO MUSEUM 写真集(著者:東出清彦さん)制作参加 2005-2008
2009 グラフィックデザイン、写真を軸に活動をはじめる
2009 成安造形大学 グラフィックデザインクラス ティーチングアシスタント (2009.4-2010.3)
2010 成安造形大学 芸術学部芸術学科 メディアデザイン領域 で勤務 (2010.4- )


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「質感が大事」(浅野氏)
西久松氏の希望により、本の重厚感よりも、手に取りやすさを重視。
手に取って、カバーを取り外してみたくなるような本、を意識されました。



カバーの縦幅を少し短めに。
本棚に入れたときに、背がちらりと見えます。




背は糸綴コデックス装。(糸綴を見せた状態で仕上がり)
これにより見開きいっぱい広げることができます。

魅せる背でもあるため、背丁を抜き、背に色を付けない、糸は白を選ぶなど、
用紙のままを見せるようレイアウトを調節しています。




表紙のタイトルには箔が押されています。
こちらはカバーを外すと見ることができます。







カバーは、取り外したときに、
1つの作品の小下絵と日本画を並べて見られるような仕掛けが。



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「着地点を見つけるのが難しい」(浅野氏)
西久松氏が長きに亘って創られた作品は、相当な数に上りました。
写生や資料なども含めると、その量はさらに膨らみました。

一方で、手もとに残っていない作品も多くありました。
作品を収めたモノクロ写真や、時代が移り行き、
カラープリント、データとして保存されている作品もありました。

そこから、編集方針を決め、作品集のために選び出すことは容易ではありませんでした。







本編の作品ページに入る前に、
制作風景や、旅行先での写真などの導入ページが用意されています。
導入を多く設けることにより、
読者が西久松氏の世界に入りやすいように工夫されました。













ページを開く度に新しい発見があるように、
レイアウトは単調にならないように心がけました。




糸綴コデックス装によって、ノドきわきわのレイアウトも可能に。






下絵やスケッチの図版をノドに寄せることで、
絵片がはさまっているような視覚効果をねらっています。



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日本画の場合、日本画特有の淡い色合いを表現するため、
コントラストをつけすぎないことが重要でした。

「黒」にも微妙な色味が出るよう印刷いたしました。







金箔の色味も、原本に近づけるよう忠実に表現しました。






「西久松先生の色の世界から外れないように」(浅野氏)




西久松氏の、四十年を一区切りとした集大成です。

今後どのような世界が拓けていくのか…。
また、この出版により、お手許を離れた作品と、
どこかでお目にかかれることも、ひそかに期待しております。

展覧会の成功をお祈り致します。




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「古の贈り物 | 日本画家 西久松吉雄の世界」

著者:西久松吉雄
文章:岩城見一、木村至宏、加藤賢治
デザイン:浅野豪
印刷:サンエムカラー
発売:サンライズ出版
発行:2014.6.24
定価:3,500円+税

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用紙
カバー:テイクGA-FS
表紙・裏表紙:わたがみ 雪
本文・見返:ガルバスCoc

製本
並製糸綴コデックス装

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印刷職人のしごとば-印刷女子
◆サンエムカラーでは、装丁や印刷見積もりの相談も受付中!
こちらからどうぞ。

松江泰治さん『JP-01 SPK』印刷立ち会い

写真家の松江泰治さんが、新作写真集『JP-01 SPK』の印刷立会に来られました。
ある日の朝9時の工場から、立会の様子をレポートします。




工場の準備が整ったところで、満を持して松江さんが登場。
おもむろに眼鏡を外し、本気モードです(後ろから失礼します)。

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色見本のプリント写真と印刷を見比べます。
空撮された土地のディテールが見開き画面いっぱいに迫る作品。
印刷も微妙な色味や質感に至るまで、非常に高いレベルが要求されます。

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今回の撮影地は札幌ということで、こちらは雪景色の写真のようです。
PD谷口と山内副工場長も、緊張の面持ち。

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4

何度か調整の末、この日最初のOKをいただきました!

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こうして1台1台、2日間にわたり立ち会いが行われたのでした。





そして、こちらにも激しい戦いの痕跡が。

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余白に松江さんやデザイナーさんからの修整指示がびっしりと書き込まれた校正紙。これらをとりまとめ、製版・印刷の現場へ伝わる明確な指示を出すのもPD谷口の仕事です。
下に見えるマルで囲われた部分が谷口の書き込み。明快な指示に長年の経験が凝縮されています。




『JP-01 SPK』は、札幌国際芸術祭2014にあわせて赤々舎さんより7月19日発売予定。
デザイン・装幀にも相当のこだわりが込められているようです。楽しみですね。

仕上がりは改めてご紹介します!






サンエムカラーで写真集を作ってみませんか? お問い合わせはコチラから。

横田大輔写真集 印刷立会レポート

横田大輔さんの写真集の印刷立会で、デザイナーの宇平剛史さんが来社されました。

今回の写真集は、インディペンデントの出版レーベル「Newfave」の記念すべき第一作。
サンエムカラーとしてもドキドキしながら臨んだ立ち会いの様子をご紹介します。



さっそく現場へ。
PD谷口、工場長、機長、営業マンが勢ぞろい。印刷物に顔を近づけてチェックしておられるのが宇平さんです。

宇平剛史さん1



「もう少し調子出ませんかね・・・」PDと相談しながら進めてゆきます。

宇平剛史さん2




横田大輔さんは今大注目の写真家で、モノクロ写真を加工・複製して独特のノイズを伴ったイメージを生み出す手法で知られます。

こちらは参考としてお預かりした前回の写真集。前回はざっくりとした質感のコピー本でしたが、今回はトリプルトーン+マットニスで表現します。
こうした出力方法の違いによって生まれる差異も、横田作品の一部になっていきます。

宇平剛史さん3




「印刷の現場で、仕上がりはいかようにも左右され得るため、
とくに写真集の場合は最後まで気が抜けません」 と宇平さん。

独立されて2年目、お若いながら落ち着いた物腰で、堂々とされています。


宇平剛史さん4

ひとまず1台、OKをいただきました。



立ち会いの合間は和気あいあいとした雰囲気。ベテラン営業マン飯田が印刷機について解説しています。

宇平剛史さん5




印刷の方もテンポよく進み、順調に刷りあがっていきます。

宇平剛史さん6


実は宇平さん、私こと広報担当Tと同い年とのこと。同世代が活躍している姿に、とても良い刺激をいただきました!
モノづくりの現場で若い世代が活躍している、良い風景ですよね。




さて、どんな写真集に仕上がるのでしょうか?

続編をお楽しみに!



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Newfaveのサイト http://newfavebooks.com/
横田大輔さんのサイト http://daisukeyokota.net/
宇平剛史さんのサイト http://goshiuhira.com/

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サンエムカラーでは、作品集の出版・印刷のご相談を受け付けております。お問い合わせはこちらからどうぞ。

加藤千洋さん「旅スケッチ」

先週、同志社大学教授で報道番組のコメンテーターとしてもご活躍の加藤千洋さんが本社にお越しくださいました。


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BS朝日の番組「にほん風景遺産」で、全国を旅しながらスケッチを描きためてこられた加藤さん。昨年9月から今年3月にかけて、河口湖ミューズ館・与勇輝館でスケッチ展を開催されました。
そしてこの度、倉敷でもスケッチ展を開催されることとなり、当社がお預かりしている作品から出展作を選びに来社されたのでした。

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当社大ホールにて、作品を選定される加藤さん。


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個展は倉敷の「夢空間はしまや」で、8月21日~9月15日(火曜定休)の開催予定。
8月31日には加藤さんの講演会も予定されています。
(※開催予定は暫定で、変更になる場合がございます。)

会場は由緒ある呉服店の米蔵を改装した素敵なギャラリーカフェで、加藤さんも大変お気に召されているとのこと。ぜひお出かけください。




こちらは、「にほん風景遺産」から加藤さんのスケッチをまとめた冊子『旅スケッチ』(BS朝日、2013年11月28日発行)。
サンエムカラーが制作・印刷・製本を担当させていただきました。

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温かみのある用紙を使った和綴じ製本で、手に良くなじみます。



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印刷はFMスクリーンで、味わい深い色鉛筆のタッチやメモ書きもそのまま再現しています。

元新聞記者でいらっしゃる加藤さんの観察眼もさることながら、訪れた土地への愛情を感じ取ることができ、心がほっと和みます。


この夏は、スケッチブックを片手に旅に出てみてはいかがでしょうか?



サンエムカラーでは、作品集の出版・印刷のご相談を受け付けております。お問い合わせはこちらからどうぞ。

吉江淳 『地方都市』

本日は、6月6日発行の写真集をご紹介いたします。


いつも素敵な写真集を発行されている蒼穹舎様。
新刊は吉江淳さんの 『地方都市』 です。

地方都市1

表紙は写真を前面に配し、マットPP+箔押し。
シンプルかつ大胆なデザインが目を引きます。


地方都市2

ブロック塀、用水路、店の看板―どの写真も初めて見るはずなのに、昔住んでいたような、すぐそこにありそうな風景。

吉江さんは、出身地の群馬県をはじめ全国の地方都市をフィルムカメラで撮影していらっしゃいます。なんの変哲もない、少し寂しい風景が多いのですが、フィルム撮影独特のしっとりとした質感がなんとも郷愁を誘います。



LED-UV印刷でどっしりとインキの乗った本文。傾きかかった陽の光と陰影の対比が美しく再現されています。



撮影地がわかるような要素はほとんど見当たらず、全国どこにでもありそうという意味では無個性な風景かもしれません。しかし、一枚一枚の写真をじっくりと見ていくと、その絶妙の「普通さ」こそが、そこにしかない奇跡の風景であることがわかってきます。

お求めは、蒼穹舎様までどうぞ。

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『地方都市』
著者:吉江淳
装幀:原耕一
発行:蒼穹舎
印刷:サンエムカラー

仕様:糸かがり上製本、244mm×225mm、128頁
表紙:Mr.B ホワイト、マットPP加工、箔押し
見返し・本文:B7トラネクスト
印刷:LED-UV 200線

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サンエムカラーでは、写真集の出版・印刷のご相談を受け付けております。お問い合わせはこちらからどうぞ。

『ダレン・アーモンド|追考』発売!

赤々舎様より発売の、話題の新刊のご紹介です!

『ダレン・アーモンド|追考』

ダレン・アーモンドは、近代・自然・宗教などの切り口で時間感覚や死生観について幅広い表現手法で問いかけるイギリスの作家です。
本書は、2013年11月から2014年2月にかけて水戸芸術館現代美術センターで開催された展覧会のカタログです。

アーモンド1

アーモンド2


6冊の冊子がスリーブケースに収められています。展覧会のチャプターに沿って作品主体で構成されたbook01~05と展示風景と解説を収録したbook06で、1冊ずつ装丁が異なります。
デザインは森大志郎さんです。

アーモンド3




本日は、サンエムカラーが印刷・製本を担当しましたbook03とbook06を中心にご紹介させていただきます。

アーモンド4
book03(左)、book06(右)





book03―Sometimes Still

蛇腹折りの造本のbook03は、比叡山で行われる「千日回峰行」を題材にした映像作品《Sometimes Still》を収録。
アーモンド5

アーモンド6

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この製本は「経本折り」と呼ばれ、その名の通りお坊さんが使う経本に使用されます。ページに分断されていないので、ひとつながりの映像をコマ送りで観るように繰っていくことができ、反対側から開くと裏面にも映像が続きます。
時間の連続性やメビウスの輪のような「ねじれ」を感じさせます。


book06―The Exhibition Catalogue

book06には、展覧会の展示風景が収録されています。

アーモンド8

アーモンド9

先ほどの映像作品のインスタレーションは、こちらで見るとまた圧巻です。

アーモンド10

アーモンド11

後半は解説と後付けですが、こちら、文字色が違うことにお気づきでしょうか・・・?
銀インキとスミインキの混合割合を段階的に変えて印刷することで、後ろのページにいくにしたがって文字が黒からシルバーに変わってゆくというデザイン。
一見シンプルなデザインながら、細部までさまざまな意図が込められていることが感じられます。





最後に、弊社営業担当の臼井のコメントです。

難しい製本だったため、デザイナーの森大志郎さんと頻繁にやり取りをしながら進めました。
Book03は経本折りですが、両面スミベタという加工上のリスクの高い仕様だったことで、まずこれを引き受けてくれる加工業者さんを探すことに苦労しました。最終的に非常に美しく仕上がり、満足しています。
表紙にチップボールを使用していますが、book06では本文との接着部がこの重みに耐えきれず、製本設計に苦労しました。製本会社さんに知恵をお借りし、糸かがり製本と精密な貼り位置合わせによって今の形に仕上がりました。
クオリティの高い製品にこだわる森さんの姿勢になんとかお応えしようと頑張りました。多くの方に手に取っていただけると嬉しいです!


アーモンド12

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ダレン・アーモンド|追考
Darren Almond | Second Thoughts

発 行:赤々舎
デザイン:森大志郎
印 刷:サンエムカラー(book03, 06)
展覧会:水戸芸術館現代美術センター
2013/11/16~2014/2/2

book03―Sometimes Still
仕 様:経本折に表紙貼り付け 162頁
表 紙:3枚合紙(MAG プレーン+チップボール+MAG プレーン)
本 文:シルバーダイヤ
印 刷:LED-UV 230線

book06―The Exhibition Catalogue
仕 様:糸かがり並製本に表紙貼り付け 88頁
表 紙:3枚合紙(MAG プレーン+チップボール+MAG プレーン)
本 文:シルバーダイヤ
印 刷:LED-UV 230線






印刷・装丁についてのご相談はこちら!

宮廻正明 図録 2014 -Tourbillion- / -BEPPIN-

宮𢌞正明展 図録

宮𢌞正明さんの展覧会図録の印刷を、サンエムカラーが手がけさせていただいております。





宮𢌞正明 国際巡回展図録 2014
-Tourbillion-



宮𢌞正明 高輪会図録 2014
-BEPPIN-



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-Tourbillion- MASAAKI MIYASAKO 2014
イタリア巡回展
Firenze,Palazzo Pitti,Galleria d’arte moderna
5月20日(火)~6月29日(日)

-BEPPIN- 宮𢌞正明展 2014
第67回《高輪会》大阪会場 リーガロイヤルホテル
2014年6月6日(金)~6月8日(日)
第87回《高輪会》東京会場 グランドプリンスホテル高輪
2014年6月13日(金)~6月15日(日)

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宮𢌞正明氏は、東京藝術大学デザイン科卒業、同大学院保存修復技術日本画科修了。
院展でご活躍とともに、東京藝術大学大学院でのご指導にも携わっておられます。
今回の図録のデザインも、宮𢌞氏のアートディレクションを受け、制作・進行いたしました。
細部までこだわりが行き届いており、
ご覧になられる方に楽しんでいただけるよう仕上がっております。

宮𢌞正明氏の作品の技法である「裏彩色」。
裏彩色で描かれた作品を、印刷で表現するにあたり、
ヴァンヌーボを用紙として選択されております。




  — 裏彩色 —
 私が生まれた島根県松江市では、冬は鼠色をした重苦しい雲が辺り一面を覆い、頬と耳だけが
 津田蕪(赤蕪)の様に真っ赤に染まります。そのため、この地域を「裏日本」と呼ぶことがあ
 ります。
 学生時代、古画の模写と修理、表現を学ぶなかで、最も興味を持ったものがありました。平安、
 鎌倉期の絹本に描かれた仏画が、「うら」からも彩色されているということでした。私はこの
 裏からの彩色を、なんとか自分のものにできないかと考えました。そのとき、1.8匁の薄美濃紙
 に出会いました。この和紙は裏からの彩色に最適なものでした。こうして、裏から7割、表から
 2割、残りの一割は自然が育ててくれるという技法が生まれました。          
                        <宮𢌞正明 日本美術院 同人コラムより>








国際巡回展 図録 イタリア語版
Tourbillion [(仏)螺旋 ]
昨年より国際巡回展が催されております。
(ポルトガル、ハンガリー展開催済)
今回の開催国であるイタリアと、日本の国旗がモチーフになっております。



国旗の色、赤・緑が1色1色微妙に異なっています。
表紙は見返しより小さく、見返しの赤が見えるようになっております。



タイトル部分は、空押し加工



綴じは、和綴じ。
手作業で行われます。
この緑は、氏のご指定で、にごりのない特色印刷。



左綴じ部分を背として(真左にして)開きます。














こちらの掲載作品に画像加工を施して、表1、表4にデザインしました。



表4



ポートレイトも画像加工を施してあります。









つづきまして、こちらのご紹介です。





高輪会 図録
BEPPIN



表紙の古裂地は、氏のコレクションです。
表紙は見返しより右端が5mm短く、見返しの一部がのぞいています。



こちらもタイトル箇所は空押し加工



片袖小口折り



宮𢌞氏文章は、アートディレクションに従い、螺旋状にレイアウト






氏の別ショットの写真が掲載されております。







ぜひ会場でご覧になってください!



国際巡回展図録 -Tourbillion-
表 紙:ヴァンヌーボVスノーホワイト
遊び扉:クラシコトレーシングFS  
本 文:ヴァンヌーボVナチュラル
装 丁:丁合い後、和綴じ仕上げ
印 刷:FMスクリーン

高輪会図録 -BEPPIN-
表 紙:ヴァンヌーボVスノーホワイト
本紙・本文:ヴァンヌーボVナチュラル
装 丁:並製無線、片袖小口折
印 刷:FMスクリーン



2012年の図録についてはこちら





印刷職人のしごとば-印刷女子
◆サンエムカラーでは、装丁や印刷見積もりの相談も受付中!


第48回造本装幀コンクール 2作品受賞!!

第48回造本装幀コンクールにおいて

サンエムカラーが印刷を手がけさせて頂いた
2作品が受賞いたしました!!







日本印刷産業連合会会長賞
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書名 杉田一弥活花作品集 香玉
出版 青幻舎
装幀 西岡 勉
印刷 サンエムカラー
製本 新日本製本

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審査員奨励賞
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書名 大竹伸朗”憶速”特別版
出版 エディション・ノルト
装幀 秋山 伸
印刷 サンエムカラー
製本 サンエムカラー

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関係者の皆様、おめでとうございます!!!
サンエムカラー一同よろこびでいっぱいです!




「香玉」は、
前回ブログでご紹介させて頂きましたので
こちらをご参照ください!

今回は「大竹伸朗”憶速”特別版」についてご紹介します!




大竹伸朗”憶速”特別版
2013年夏に高松市美術館で開催された同展のカタログです。





今までやったことがない製本だったため、
形の想像がつかず、完成形が見えない中での試行錯誤でした。


デザイナーのイメージを形にするために、やりとりを繰り返し、
印刷会社であるサンエムカラーと加工屋さんが協力して
なんとか完成させました!




 図版冊子 セクション1~7
 インスタレーション・ビュー冊子
 テキスト・資料冊子
 瀬戸内の大竹伸朗さん作品に関するポスター
 映像作品DVD







図版冊子はすべて最終ページだけ用紙が違います。

セクション2~5は中綴じのため一緒には綴じることができず、
前のページに糊でくっつけております!





セクション1・6・7は上からホッチキスで綴じたため、少し開きにくくなりました。
なので、本文レイアウトを通常よりも外側に設定して印刷しております。






また、通常中綴じの場合、紙はしを断裁し揃えるのですが、
今回はあえて断裁せずにそのままの状態にしました。







こちらは背固めと言って、背を糊で固定する綴じ方ですが、
仮表紙をつけて製本した後、その表紙を剥がすことで、あえて背をびりびりに仕上げています。






なお、すべての応募作品は7月2~5日に開催される
「東京国際ブックフェア2014」内の特設会場で展示されます。

また、展示後には国立国会図書館の原装保存コレクションとして収蔵される予定です。

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東京国際ブックフェア2014

展示:  日時 7月2日(水)~5日(土)
     会場 東京ビッグサイト

表彰式: 日時 7月4日(金)16:30~
     会場 東京ビッグサイト 会議棟102

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ぜひご来場くださいませ!





造本装幀コンクールなどの過去の受賞作はこちら。

サンエムカラーでは、装丁や印刷見積もりの相談も受付中!
こちらからどうぞ。

KYOTO GRAPHIE その2

みなさま、KYOTO GRAPHIEにはもう行かれましたか?

今週いっぱいまで開催されております。
まだ行かれてないという方は、ぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか!




さて、今回はKYOTO GRAPHIEのなかでも、
日本の写真集にスポットを当てた展示会をご紹介します!

実は、サンエムカラーともとてもゆかりのある内容となっております。




Japanese Photobooks Then and Now




日本の写真集史を作り上げた、1960年代から現代までの写真集を展示しております。
オリジナルの写真の複製物である写真集ですが、
戦後の日本では写真集そのものがひとつの作品として価値を生み出します。

展示作品は現在では出版されていないものばかりです。

これらを一度に見ることが出来る機会はそうそうございません!



会場は祇園、ASPHODEL

1Fでは、1960-70年代の写真家とグラフィックデザイナーによって作られた伝説の写真集の展示
2Fは、その伝統の上に成り立つ現代の写真集を、その場でご覧頂けます。
3Fではワークショップが開催されております!







2Fの写真集の中には、サンエムカラーで印刷させていただいたものが多数ございます。
ぜひ、時間が許す限りお手に取ってご覧下さい!


あいさつおよび解説文も、読み応えありです!






先日、ASPHODELでパフォーマンスを行われた写真家の横田大輔さん。
5月に新作が出版される予定です!
サンエムカラーで印刷をさせていただきました。
追ってご紹介させていただきます!
乞うご期待です!




前回のブログで紹介させて頂いた図録も各会場にございます。
こちらも、ぜひご覧下さいませ!


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Japanese Photobooks Then and Now
会 場 ASPHODEL
住 所 京都市東山区八坂新地末吉町99–10
    (四条縄手通りを北へ11軒目東側)
時 間 12:00-20:00
休 館 水曜日
入場料 一般¥500/大学・中高生¥300

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第2回 KYOTOGRAPHIE 国際写真フェスティバル
開 催  4/19~5/11
会 場  京都市内各所 
     (京都駅・京都文化博物館・京都芸術センター・下鴨神社など)
入場料  各会場:一般 無料~¥500/パスポート¥2000

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