クリーンエリアへ移動

抗がん剤投与と放射線照射を数回受けるうちに、白血球数はほとんどなくなってきた。

通常の抗がん剤治療では、白血球数が1000を切る頃には抗がん剤の投与が終わる。

その後、グランを注射して白血球数を6000程度まで回復させる。

その繰り返しだ。

 

しかし、骨髄移植の前処置では事情が違う。

白血球数は200という、それまで見たこともない数字になっていた。

感染すると命に関わる状態になったため、このタイミングでクリーンエリアへ移動することになった。

 

 

クリーンエリアの扉を開けて中へ入る。

廊下の右側にはガレージのような部屋がいくつも並んでいた。

入り口には壁がなく、代わりに電動のロールスクリーンが付いている。

普段は半分ほど閉めておき、トイレを使う時だけ完全に閉めるらしい。

 

案内された部屋には、洗面台とトイレが備え付けられていた。

正面の壁は半分ほどガラス張りになっていて、その向こうには外側の廊下(屋外)が見える。

各部屋には電話があり、廊下(屋外)にも電話が置かれていた。

どうやら家族との面会は、この電話越しに行うようだ。

家族以外の面会は禁止だった。

 

結構すごいところへ来てしまったな…

廊下から部屋の中が丸見えだし、音も普通に聞こえそうだった。

 

厳しいルール

看護師から注意事項の説明を受けた。

 

・ベッドの横に物を落としても、自分では絶対に拾わないこと

・便はすべて容器に入れて提出すること

・シャワーはクリーンエリア専用のものを使うこと

 

などなど…

感染対策が徹底されていることがよくわかる。

 

説明が終わると、すぐにシャワーを浴びるよう言われた。

シャワー室へ行くと、誰もいないのにシャワーからお湯が出続けていた。

「そういうものなんだろう。」

そう思い、そのままシャワーを浴びて部屋へ戻った。

 

しばらくすると掃除のおっちゃんがやって来た。

「今シャワー浴びてた人?」

そう聞かれたので、はいと答えた。

「シャワー出しっぱなしにしたら湿度が上がって菌が繁殖するから!

ここにいる患者さんは免疫力がほぼゼロなんだから!

ちゃんと止めてよ!!」

怒られた…(;・∀・)

いや…

入る前から出てたからそういうもんかと…

 

でも吐き気があったし、変なエネルギーを使いたくなかったので黙って聞いていた。

チクショウ!( ;≧Д≦)

誰だよ、こんなトラップ仕掛けた奴は!!!

 

感染への意識

ただ、言い返さなかった理由はもう一つある。

掃除のおっちゃんですら、感染対策に真剣だったことに驚いたからだ。

怒っていたのも、患者のことを思ってのことなのだろう。

 

そして後日…

また別の新入り患者が同じことで怒られている声が聞こえてきた。

新入り患者の初日にシャワーを出しっぱなしにしておくトラップを仕掛けている犯人が、この病院のどこかにいるんだな…(;゚Д゚)

結局それが誰なのかは最後まで謎のままだった…

 

 

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