今回は骨髄移植後の「生着」について書こうと思う。

 

骨髄移植を行ったあと、その移植が成功したかどうかは「生着」したかどうかで決まる。

生着とは、ドナーから採取された造血幹細胞が私の骨髄に根を下ろし、新たに白血球や赤血球、血小板などの血液を作り始めることだ。

骨髄移植における最初の大きな関門となる。

 

生着しなかったら…

生着しなかったらどうなるんだろう…

恐ろしくて調べたことはなかった。

骨髄移植前に主治医から、

「今まで当病院で骨髄移植を行って、生着しなかった人は一人もいません。」

と言われていた。

生着率100%だ(;゚Д゚)

だから、この時点ではそれほど不安には思っていなかった。

 

骨髄移植から一週間ほど経った。

しかし、生着については誰も何も言わない。

後になって、生着までは2~3週間ほどかかることが多いと知った。

だが、この頃の私はそんなことを知らない。

 

日に日に、

「まだ生着していないのかな…」

と不安になっていった。

聞くのも怖かった。

 

「生着したみたいです!」

そんなある日のこと。

担当看護師が病室へやって来て言った。

 

「生着したみたいです!

おめでとうございます!」

そう言われた瞬間、

「ありがとうございます!!!」

と答えた。

 

ドナーが見つかったときとは違う。

この時は心から喜んだ。

 

とはいえ、まだ安心は出来なかった。

次に怖いのは急性GVHDと感染症だ。

骨髄移植後に命を落とす原因の多くは、このどちらかだと聞いていた。

生着はした。

次はこの二つを乗り越えなければならない。

 

ガラス越しの面会

この頃、家族が何度か面会に来てくれた。

以前も書いたように、面会といってもガラス越しだ。

家族は病棟の屋外側の廊下。

私はクリーンルームの中。

 

直接話すことは出来ないので、部屋の電話と廊下の電話を使って会話をする。

「体調どう?」

「毎日熱出てるけど、まぁ大丈夫。」

会話はそれぐらいだった。

家族はかなり遠くから来てくれていたが、数分話すだけで帰っていった。

 

体調が悪すぎて、電話で話すことすら出来なかった日もあった。

それでも家族は来てくれた。

会話をすることが目的ではなかったのだろう。

いつどうなるかわからない状況だった。

お互いに少しでも顔を見ることに意味があったのだ。

 

これだけ家族に迷惑をかけておいて、死ぬわけにはいかない。

そう思いながら、一向に治まらない発熱や腹痛に耐える日々が続いていた。

 

 

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