【栗の花の匂いにみちて】

 荒れるとされていた3日間がそれほどでもなく、緊急アラームが鳴った地震なども全く関知せずに過ぎた。そして、今朝の朝はまばゆい光に満ちていた。栗の花が咲き始めたし、もうほとんど夏なのである。

 クワゴとグミはうんざりするほど実っているが、鳥たちが群がるということがない。我が家に中学生となった豚児がいるのだが、彼は全く興味を示さない。そんなものよりスーパーの菓子やコンビニのアイスがいいのかもしれない。21世紀の鳥たちも同じで、埃まみれの果実よりもごみ捨て場の残飯、ということなのかもしれない。

 地面に落ちるだけの実をもったいないと思う昭和生まれだけが、背を伸ばして枝にしがみついている。

【福の沢から渋い沢に】

 さて、7月に紙幣が変更されるという。福沢諭吉から渋沢栄一になるのは歓迎だが、野口英世から北里芝三郎になるのは少し残念である。この切り替えに関して、「NRI研究員の時事解説」という記事がある。それによると、1兆6300億円の経済効果があり、GDPを0.27%ほど押し上げることになるという。じゃあ、年間1%ほどしか成長しない日本経済なのだから、年に4回ほど切り替えて2%成長を実現すればいいではないか、などと妄想してしまう。

【効果と言い換えられる無駄遣い】

 しかし、賛成する人は少ないだろう。なぜなら、経済効果とは新紙幣に対応するための自販機入替えやシステム回収などの支出増加のことであり、国民の負担に他ならないからだ。切り替えがなかったら支払わなくともいい支出、つまりは無駄な出費なのである。その効果として、タンス預金だけでなく、国民の貯蓄を強制的に吐き出させることはできる。貯蓄を減らして消費を拡大させる。経済効果の背景とはそのようなものなのである。

 古い機器は壊れていなくとも撤去され、廃棄される。古い上着を流行遅れというだけで捨てるようなものである。いずれにしてもエコではない。

【予約済みの未来】

 NRI研究員は、キャッシュレス化の進展と予定されるデジタル通貨の発行によって、紙幣の流通量は激減すると予測している。通貨の主役を務める最後の紙幣になるだろうというのである。未来は、紙幣切り替えによる無駄な出費など生じない社会らしい。その分、経済効果狙いの切り替えもできなくなる。もっとも狡猾な政府のことである。いずれ、国民に負担させる新たな工夫を考え出すことだろう。デジタルとなればデノミなど一発である。

 野村の予約がとれた。というわけで明日は、証券会社のお姉さまとのお話である。