2030年頃には、就職氷河期世代の多くが50代を迎え、8050問題がさらに深刻化する可能性が高いです。8050問題は、50代の未婚の子どもが親の介護や生活支援を受け続ける状況を指します。
特に就職氷河期世代は、バブル崩壊後の厳しい経済状況により、安定した職業に就けなかったり、低所得で長期間働かざるを得なかったりした背景があり、貯蓄や年金が不足しがちな世代です。結果として、自身の生活も厳しい中、親の介護や生活支援に追われる可能性があります。
これらの問題がピークを迎えると、親子ともに経済的・精神的に非常に厳しい状況に陥るリスクが高まるため、社会全体での支援策や政策の見直しが必要です。例えば、介護支援の強化や、世代間のサポートの拡充が求められています。特に就職氷河期世代を中心とした社会参加促進策が、重要な課題になっていくでしょう。
AIやロボット技術に頼るにも限界が
2030年には、高齢化がさらに進行し、介護を中心とした課題が深刻化する中で、介護リソースや社会基盤を支えるリソースが顕著に不足することが予測されます。これにより、社会全体でこれらの負担を支えきれない状況に直面する可能性が高いです。
AIやロボット技術の導入は、確かに一部の労働力や介護の補完手段として役立つことが期待されていますが、限界もあります。例えば、AIやロボットは機械的な作業を自動化したり、介護ロボットが一部の身体的サポートを提供したりすることができるかもしれません。しかし、感情的なサポートや個別のニーズに応じたケア、倫理的判断が必要な場面では、これらの技術は人間の代わりにはなりにくいです。また、現在の技術水準では、多くの介護現場における複雑なケアを完全に自動化することは難しく、技術開発にも時間がかかるため、すぐに解決策となるわけではありません。
さらに、社会基盤を支える労働力不足も深刻な問題です。介護だけでなく、物流やインフラ整備、福祉サービス、医療といった広範な分野でのリソース不足が懸念されています。特に日本は少子化に直面しており、労働力人口の減少が進んでいるため、若年層の労働力が減少し、高齢者を支える社会の基盤そのものが揺らぎつつあります。
現状のままでは、AIやロボットの進化だけではこれらの問題に対処しきれないため、以下のような多面的な対応が必要になるでしょう:
1. **介護人材の増強**: 外国人労働者の受け入れ拡大や、介護職の待遇改善を通じて人材確保を促進する。また、リタイア後の高齢者を再雇用するなど、多様な働き手を活用する仕組みも検討する必要があります。
2. **コミュニティケアの強化**: 地域社会で互いに支え合う仕組みを構築し、家族や近隣住民が協力して高齢者の生活を支える形を進める。これにより、個人に過度な負担がかからないようにすることが重要です。
3. **社会保障制度の改革**: 財政的な持続可能性を確保するために、年金や医療保険制度の見直しや、現役世代からの負担を分散させる方法を検討することが求められます。
4. **技術と人間の融合**: AIやロボット技術を補完的に活用し、効率化できる部分は機械に任せつつ、感情的なケアや複雑な判断が必要な部分には人間が介在する「ハイブリッドケア」を目指す。
持続可能な社会を築くには、AIやロボットだけでなく、社会全体での協力や制度改革が不可欠です。