NHKの「がん治療」云々シリーズ。
治療方法や体制については何か言える立場ではない。
地域格差については、ちょっと強調しすぎだとは思うが。どうみても20年以上臨床されていると思われるドクターでも、診たのは500例という病気に、TV局のような外部が全国規模の展開を云々言うのはいかがかと。
外科の指導医は年間100例だか200例以上執刀しなくては資格を保持できないはず。臨床20年としてオペ通算2000~4000件、そのうち500件経験されたのであれば第一人者として納得できるが、それを全国にばらしたらどうなるか?患者さんには不便なのはわかるが、珍しい病気こそ一極集中にしてたくさん症例を見ることが専門医育成に必要かと。
まー、すると珍しい病気を見たことがない町医者どころかある程度の大病院でも見逃す、それはどうみても藪医者です(ry といいたいのだろうな。どうやら医者はエスパーでないとできない理屈。そこを知らせるのが専門医とマスコミの仕事では。
そーじゃなくてさ。(すぐに話題が本題からずれてどっかいくわしの馬鹿)わしが言いたいのはそこではない。
リハビリの人なんでね、治療法よりも気になるのは病院での過ごし方やらQOL(生活の質)だ。
難治性の若いがん患者さんのケース。(観た人はお分かりでしょうが、病名は伏せます)
日本人が開発したのに日本では試験にすら入っていないというドラッグラグが取り上げられていたが、それよりも何よりも、わしが辛いなあと思ったのは彼が、
「頑張れと言われるけど、歩くとか食べるとかで頑張るのも違うし」
(そのままのセリフではないと思うけどこんな感じ)
画面では、それが楽にできているかどうかは何ともいえないが、現状できていることで頑張るというのも確かにおかしい。かといって特効薬のない現在、本人の努力でどうなるものでないのに「治るよう頑張れ」というのもおかしかろう。
じゃあ何に頑張れと言うのか。
どこに向かって頑張ればいいのか。
そこに答えを持たないで、やみくもに頑張れと言うのも無責任な話だと思うのよ。
という訳で、死にはしないが治らない病気のわしらに「じゃ、これで頑張ってくださいねー」という今の主治医はあまり好きではない。
何を頑張れと言うのか。そのぐらいの痛みは耐えろ、ということ?
副作用の吐き気もまあ我慢しとけってこと?
そして、同病の患者さんの「ドラッグフリーまで頑張る」というのもよく聞くが、別に今止めればいいじゃんと思ったりもする。医者にどうこう言われようと、飲みたくないなら病院に行かなきゃいいだけの話。それでよくなれば自然治癒含めて自己努力だろうし、悪くても自己責任の上で納得できればよかろうよ。
大体「治療頑張る」の意味が不明瞭。医者の指示通りに薬飲むだけが治療なら、頑張っているのは患者じゃなくて、薬。
生活の何を変えているのか(変えるつもりなのか)全く見えないケースも珍しくない。薬減らしたいが、痛いから増やしても仕方ない、でも頑張る、って意味わかんない。
わしは自分の患者さんが同病であったら、当然リハ目標を立てる訳だが、それを自分と患者さんで共有するまでは「頑張れ」と言う言葉を使いたくはない。見えない敵と戦うのはたくさんだ。