相方みかんは時々銀座の古き良きバーに飲みに行く。
そこに「7年ぶりだねえ」とやって来たお馴染みさんの話。
7年間妻の介護をしていたんだ。働いてた時は家のことは妻に任せっきりだったからね、俺1人で家で見たんだよ。自分じゃトイレに行けないけどオムツにしないで布パンツで。
(注:今は多少漏れても大丈夫なようにリハビリパンツ=紙=がありますが、布パンツということは汚さないうちに介助でトイレに行かせてあげてるわけです)
最後は痰が自分で出せなくなったから窒息しないよう吸引を習って吸引器も備えた。最近俺が腰を痛めて、トイレにも行かせられなくなった。オムツにしたが交換するのに腰がもたなくていよいよヘルパーさんに来週から来てもらうことにしたんだ。手配が決まったその日に妻は静かに息を引き取った。
わし「ふむ」
みかん「おっさん、”妻が’もうええよ’って言ってくれたんやろなあ、二人で過ごせて良かった”って」
わし「いい話だな」
みかん「帰り際”長々と話してすまんかったな”言ってた。”私もそう言えるようにしたいです”と、」
わし「待て、わしが先に死ぬのか」
翌日カンファで独居の患者様の行き先をどうするかという話になった。
わし「身につまされるなあ、私も最後は独居だろうし」
するとMSW(医療相談員)が
「若いうちに有料老人ホームを押さえておくといいですよ」
わし「・・・そうなの?」
MSW「行く所がなくて困っていた患者様が、認知症になる前に申し込んでたのがわかって助かったことがあります」
わし「そういえば認知症にもなりそうな気がする」
MSW「早めに成年後見人を立ててください」
わし「・・・ご助言ありがとう」嬉しくない。
ご参考になれば幸いです。
話変わるが、みかんの会社の女性社員が祖父母の介護のために辞職したとか。
みかん「彼女の両親は海外赴任中で”お前が面倒見ろ”って言うんだって。無責任だよな」
彼女は以前同様の理由で大学中退したことがある。その後祖父母の兄が引き継いで面倒をみていたが、自分が動けなくなって助けを求めてきたとか。
在宅で重介助から軽介助に回復する例は少ないし、老人に任せていたということは軽介助、つまり下手に働くよか楽で小遣い付きなのでは?と言ったらみかんが白けた。
本当に重介助だったら謝るしかないが、それなら資源の使い方をお伝えしたい。