最近は入退院ラッシュだ。
隣の班は暇で、ほぼ毎日わしらの班から患者さんを奪い取っていく。
そんなだったらはなっから人員1人こっちにまわせばいいじゃんか。
なんならわし1人と若いの2人と両替するぞ。
年齢的には山ピー(仮名の新人:これがすごい)2人と両替するか。
と夜9時近くなのに半数近くが残ったわが班、というか報告書作成に追われるわが班ばかり残ったスタッフルームで吠える。
若い(つか、わし1人が年寄り)スタッフが微妙な顔をする。
暇な隣の班のスタッフが「山ピーはレベル2か3で40階辺りを彷徨うようなものです」
と、何やらいうゲームに例えている。
「ゴンザレス(仮名:23歳新人)どうするよ、山ピーがうちの班に来たら」
「どうもできません。さんでーさん1人でいいです」
お局OTが「怒りますよ」と言うので止める。
前述の患者様であるメッツ(運動強度)を「ゲッツ」(ダンディかよ)と言っていたミネさん(仮名)も疾病理解が進み、無事ご退院の運びとなった。
仕上げに外出訓練をする。混んでいるバスの中で立てるか、自分でお金を払えるか、駅のエスカレーターは乗れるか、などチェックする。
「シャバにでたらミネさんレベルなら周りは障害があるとは思ってくれません」と注意を促す。
「そうだよね。杖持った方がいいかなあ」
「身体機能的には持たなくても大丈夫ですが、視野(の欠損)は困りますねえ。どうしても怖かったら買ってください」
「杖代わりにバットを持つってのはどうかな?」
「危なくはなくなるかもしれませんが、周りに危ない人と思われるでしょうね」
「じゃあ、ゴルフのクラブは?」
「多分通報されます」
「○○病院のさんでいさんが持ってもいいって言った、って言う」
「私の理学療法士免許が危なくなるから止めてください」
次の日に来院されたミネさんの奥様に結果報告する。
「普段バスに乗られないそうなので、整理券の取り忘れなどがありますが、慣れたら大丈夫でしょう。エスカレー
ターも大丈夫でした」
喜ぶ奥様。
「ただ、1人で外に出ると買い食いすると思うので、人についてもらった方がいいですね」
「・・・そこですか。」
「そこです。」
50近い大人に対して失礼だが、お体に気をつけて長生きしてくださいね。
「全くここは監獄だよ」と言っていたミネさんに二度と戻ってくるんじゃありませんよ、と心から祈る今日この頃。