真剣に家の近くのホテルを取ろうと思ったのだが、突然思い出した。
わしの実家がわしの家から30分のところにあるではないか。
しかも研修先には家よりも近い。
親に連絡するのは半年ぶりぐらいである。まだ日を越すには3時間以上あるじゃん、よく考えれば明日はわしの誕生日、むしろ親孝行かもと思って喜んで電話する。
出ない。
・・・何かあったのだろうか。
以前にも書いたが親父は糖尿をこじらせている。母は介護疲れしているかもしれん。
・・・何かあったのかも。
地図アプリを使ったせいで携帯は充電切れする。もうどうしようもない。
とりあえず実家に向かう。しかし鍵はもっていないのだ。たまたまマンションから出てきた人に便乗して中に忍び込む。で、何とか家の前にたどりつく。
ベルを押す。
ぴんぽーん。
・・・出ない。
2回鳴らすが反応なし。
・・・やっぱり何かあったのだろうか。だが耳をすますと何となくテレビの音が聞こえる気がする。
もう1度ベルを押す
ややあって
「・・はい?」
父ちゃんだ!
「父ちゃん?さんでいだよう、開けてよう(半泣き)」
「さんでい?さんでいか?ちょっと待て」
という訳で糖尿病でボケかけて来客には絶対反応しないという親父が今回は反応してくれてマッサージ器をかけたまま寝ていた母親を起こしてなんとか実家に入れてもらえたわしであった。
「鍵をどっかに置いてきちゃったんだよう、今日は泊めておくれよう、晩御飯はいらないよう(当然晩御飯は食べていない)」
親に遠慮しまくりご飯をくれとは言えず、母親にマッサージをしてからシャワーを浴び眠りにつくわしなのであった。しかも明けた次ぐ日は誕生日。
こんな4X歳はいやだ、と心から思った。
そんな夜を過ごして親に朝ごはんを作ってもらって(ごめんね、母ちゃん。そしてくず親父、わしに気付いてくれてありがとう)研修2日目も何とか終わった。
家に電話したら同窓会から帰った相方が「鍵忘れてったみたいよ」
・・・落としたんじゃなかったのね?
かわいそうにね、ということで相方に鉄板焼をおごってもらうことにする。携帯の充電が切れていたので、久々に時間を決めて待ち合わせをするというクラシカルな方法であった。
しかしなんという誕生日。この4X歳は困難な年になりそうだな、という予感を持った一日であった。