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砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

本屋大賞ノミネート作は後日まとめて書いたいと思ってます。

TAP (奇想コレクション) (奇想コレクション)
グレッグ・イーガン
河出書房新社
発売日:2008-12-02

近未来SF短編集。頭の中で永遠にリフレインする音楽。僕たちが使う言語では表現しきれない、あらゆる概念・感情を一言であらわす脳内言語。自分を幽体離脱したような真上からの視点でしか世界を見ることができなくなった男。アイデンティティをゆるがすテーマが、人間・人生の本質を問い直す。イーガンはいつ読んでも素晴らしい。

なみのひとなみのいとなみ
宮田珠己
朝日新聞出版
発売日:2008-09-19

脱力系エッセイ集。「くだらなさ」を的確に表現する語り口と文章力。『晴れた日は巨大仏を』でも同じで、あまりの馬鹿らしさに笑って見過ごしがちだが、この人の観察眼に素晴らしいと思う。


1972年にこういう小説が書かれていたとことに驚く。タランティーノ監督で映画化して欲しい。いかれた人間ばかりが次から次に登場してくる。もともとあやういのに、途中から完全に正気を無くしていく爆走する主人公の女。胃潰瘍の痛みに捕らわれて、目的か見失っていくが、殺し屋としての判断力だけ優秀な男。ハリウッド映画かというほど派手な展開になっていく物語は、小説としての完成度などどうてもよくなる、バイオレンス小説。

茗荷谷の猫
木内昇
平凡社
発売日:2008-09-06


茗荷谷という土地を中心として移り変わる時代を描く連作短編集。群像劇が好きな人は必読。昨年でた小説のなかではトップクラスの出来だと思う。「何かを得ることは何かを失うこと」という根底に流れるテーマは、新潮クレストブックのベスト短編集『記憶に残っていること』に通じる。人生のなかで得るものと失うものがあるように、土地の景色も移ろいゆく。時代とともに人が消え、新しい人が現れる。全てが入れ替わっているようでも、その土地には全てが刻み込まれている。人間の持つ業の残滓と、人間の持つ夢の名残と。

部屋の向こうまでの長い旅
ティボール・フィッシャー
ヴィレッジブックス
発売日:2008-12-10

資金力にモノを言わせて、引きこもりながらも活動的な生活を送る女性。マンションの住人たちに文句をいいながらも、自由気ままな毎日だが、ある時、一通の手紙が届く。そこから女性の場面は変わり、過去に数年間働いていたストリップ劇場での赤裸々な生活が語られる。完成度の高い小説もいいけれど、楽しく好き放題に書いていることが伝わってくる小説というのも好きだ。読んでいるこちらも楽しくなる(気が合えばだが)。飛んでいるヘリが墜落するほどの色気をだす美女とか、もう大変。

テンペスト  上 若夏の巻
池上永一
角川グループパブリッシング
発売日:2008-08-28

テンペスト 下 花風の巻
池上永一
角川グループパブリッシング
発売日:2008-08-28


琉球王朝絵巻。2009年本屋大賞ノミネート作。読みやすい文体と読みどころ満載の派手な展開はコバルト文庫風とか韓流ドラマ風などと評されている。主人公が男装の麗人というところが評判の「萌え」要素だと思うのだが、うーんわからん。

関西本の新刊を押さえる必要があったために読む。西川きよし参院選出馬をめぐる混乱を描く。横山やすしに興味のある方にはおすすめ。西川きよしファンの人には・・・。

必死のパッチ
桂雀々
幻冬舎
発売日:2008-10


関西本第2弾。落語家・桂雀々の少年時代の自伝。この過酷な状況と比べると、ホームレス中学生がいかに楽で幸せだったか分かります。ギャンブル好きの父親のため借金の山→見栄っ張りで金遣いの荒かった母親が失踪→借金の取立てに怯えながら父親との生活→なんとか軌道に乗ってきた頃に将来高く売れると飼育していたピラニアが死亡→絶望した父親に一緒に死のうと包丁を突きつけられる・・・。ホームレス中学生より読みどころ満載だから、もっと売れてもいいと思うのだが。過酷すぎ?
本屋大賞ノミネート作の本読みに時間を取られていたので、ものすごい時差が発生しております。。

草祭
恒川光太郎
新潮社
発売日:2008-11

異界と隣接している美奥という土地を舞台にした連作短編集。獣へと変化していく友人。町の守り神となる女学生。空想の町のなかへと誘われる女性。など。美奥という固有名詞を持たせることによって、異界という漠然としたものの輪郭が際立ち、存在感と親近感が持てる存在になっている。本を読んでいる間は、本当に異界に迷い込んでいるかのように、自分の周りの空気が変わっているような気がした。

ミュージック・ブレス・ユー!!
津村記久子
角川グループパブリッシング
発売日:2008-07-01


野間文芸新人賞受賞ということで読んだ。元気が取り得で洋楽オタクの女子高生が、恋に進路に悩みながら我が道をいく日常を描いている。学園物が苦手な僕でも珍しく楽しく読めた。歯の矯正でやたら盛り上がる高校生たちの姿がほほえましかった(好々爺視点)。芥川賞受賞おめでとうございます。

小さな男 * 静かな声
吉田篤弘
マガジンハウス
発売日:2008-11-20

主人公の二人は日常に様々なこだわりを持つ。日常の動作も道具も思考も全て「言葉」でできているので、日常にこだわるということは「言葉」にこだわるということになる。言葉の意味を考えることが日常と自分自身について考えることに繋がっていく。「ついに」と「遂に」の違いのように。言葉の持つ様々なイメージが、二人の日常に鮮やかな彩りを与え、言葉を選ぶことで日常の景色が変わっていく。


残される者たちへ
小路幸也
小学館
発売日:2008-12-18

団地ミステリー。大きく間違ってはいないのだが、何かが足りない・・・。


プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?
メアリアン・ウルフ
インターシフト
発売日:2008-10-02


読書によって脳がどう変化するかの解説。もともと脳に読字の機能はないため、さまざまな部分が繋がることによって、読字の能力を得ることができる。読字の習得度によっても脳の活動レベルも高くなることを証明するなど、読書の価値を高める一冊。


著者が講師として行っていた批評講座を文字にしたもの。僕はいまいち批評というものが何か分かっていなかったので興味深く読んだ。批評の書き方のコツなども少しあって役に立ちそう。
やっとこさ本屋大賞ノミネート作を読み終えたので、今更ながら1月の気になる文庫を並べてみる。いいラインナップだ。

ここ数年、僕が好きな雑誌ばかりが休刊になっていて、なんだか僕が呪われているような気がする。「エスクァイア」「インビテーション」「編集会議」「月刊プレイボーイ」「Lマガジン」「論座」「ダカーポ」。僕がチェックしていた雑誌の半分近くが消えてしまった。誰か呪いの解き方を教えてください。


増補 虚構の時代の果て (ちくま学芸文庫)
大澤真幸
筑摩書房
発売日:2009-01-07

78 (小学館文庫)
吉田篤弘
小学館
発売日:2009-01-08

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)
平山夢明
光文社
発売日:2009-01-08

だまされた女/すげかえられた首 (光文社古典新訳文庫)

愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)

空ばかり見ていた (文春文庫)
吉田篤弘
文藝春秋
発売日:2009-01-09

脳のなかの文学 (文春文庫)
茂木健一郎
文藝春秋
発売日:2009-01-09

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
三浦しをん
文藝春秋
発売日:2009-01-09

どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫)
西村賢太
講談社
発売日:2009-01-15

犬のしっぽを撫でながら (集英社文庫)
小川洋子
集英社
発売日:2009-01-20

安徳天皇漂海記 (中公文庫)
宇月原晴明
中央公論新社
発売日:2009-01

考える人 (新潮文庫)
坪内祐三
新潮社
発売日:2009-01-28

Story Seller (新潮文庫)
ストーリーセラー編集部
新潮社
発売日:2009-01-28

移動祝祭日 (新潮文庫)
アーネスト・ヘミングウェイ
新潮社
発売日:2009-01-28

麗しのオルタンス (創元推理文庫)
ジャック・ルーポ
東京創元社
発売日:2009-01-28

肩胛骨は翼のなごり (創元推理文庫)
デイヴィッド・アーモンド
東京創元社
発売日:2009-01-22

WEB本の雑誌の「林カケ子の新刊番台 」をチェックしてたら、いつもの倍の量になってしまった。ありがとうございます。


ブロデックの報告書
フィリップ・クローデル
みすず書房
発売日:2009-01-08

カリスマ編集者の「読む技術」 (新書y)
川辺秀美
洋泉社
発売日:2009-01-07

創刊の社会史 (ちくま新書)
難波功士
筑摩書房
発売日:2009-01

芥川賞を取らなかった名作たち (朝日新書)
佐伯一麦
朝日新聞出版社
発売日:2009-01-13

これだけは読んでおきたい 名作時代小説100選 (アスキー新書 93) (アスキー新書)
杉江松恋
アスキー・メディアワークス
発売日:2009-01-13

生きのびろ、ことば
小池昌代,吉田文憲, 林 浩平
三省堂
発売日:2009-01

濃縮四方田―The Greatest Hits of Yomota Inuhiko
四方田犬彦
彩流社
発売日:2009-01

想い出のブックカフェ 巽孝之書評集成
巽孝之
研究社
発売日:2009-01-24

猫を抱いて象と泳ぐ
小川洋子
文藝春秋
発売日:2009-01-09

女の庭
鹿島田真希
河出書房新社
発売日:2009-01-10

砂漠
J・M・G・ル・クレジオ
河出書房新社
発売日:2009-01-20

勝てる読書 (14歳の世渡り術) (14歳の世渡り術)
豊崎由美
河出書房新社
発売日:2009-01-23

雪男たちの国
ノーマン・ロック 著 柴田 元幸 訳
河出書房新社
発売日:2009-01-24

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)
湊 かなえ
早川書房
発売日:2009-01-23

シャムロック・ティー (海外文学セレクション)
キアラン・カーソン
東京創元社
発売日:2009-01

ぼくたちは大人になる
佐川光晴
双葉社
発売日:2009-01

めしもり山のまねっこ木
椎名誠:及川賢治
国書刊行会
発売日:2009-01-27

愛の世界―ボウエン・コレクション (ボウエン・コレクション)
エリザベス・ボウエン
国書刊行会
発売日:2009-01

日本列島プチ改造論
パオロ・マッツァリーノ
大和書房
発売日:2009-01-21

この胸に深々と突き刺さる矢を抜け〈上〉
白石一文
講談社
発売日:2009-01


生まれてすみません 太宰治 一五〇の言葉
山口 智司
PHP研究所
発売日:2009-01-29

ディビザデロ通り (新潮クレスト・ブックス)
マイケル オンダーチェ
新潮社
発売日:2009-01

ロシア文学の食卓 (NHKブックス)
沼野 恭子
日本放送出版協会
発売日:2009-01

アフター・レイン
ウィリアム トレヴァー
彩流社
発売日:2009-01

ハサウェイ・ジョウンズの恋
カティア ベーレンス
白水社
発売日:2009-01-24

本漫画
和田 誠
毎日新聞社
発売日:2009-01-24

作家のおやつ (コロナ・ブックス)
平凡社
発売日:2009-01

幼年時代
レフ・ニコラエヴィッチ トルストイ
講談社
発売日:2009-01

少年時代
レフ・ニコラエヴィッチ トルストイ
講談社
発売日:2009-01

青年時代
レフ・ニコラエヴィッチ トルストイ
講談社
発売日:2009-01

私はなぜアジアの映画を見つづけるか
佐藤 忠男
平凡社
発売日:2009-01

マジックランタンサーカス
一村 征吾
ランダムハウス講談社
発売日:2009-01-22

名作は隠れている (ミネルヴァ評論叢書「文学の在り処」)
千石 英世,千葉 一幹
ミネルヴァ書房
発売日:2009-01

世界は感情で動く (行動経済学からみる脳のトラップ)
マッテオ・モッテルリーニ
紀伊國屋書店
発売日:2009-01-21

音さがしの本 ≪増補版≫ リトル・サウンド・エデュケーション
R.マリー シェーファー
春秋社
発売日:2009-01-15

ギンガ (P-Vine BOOks) (P‐Vine Books)
山本精一
ブルース・インターアクションズ
発売日:2009-01-16

狂気な作家のつくり方
平山夢明,吉野朔実
本の雑誌社
発売日:2009-01-15

詩的モダニティの舞台
〓 秀実
論創社
発売日:2009-01

イエス・キリストの生涯を読む
小川 国夫
河出書房新社
発売日:2009-01-24

アンリ・マティス ジャズ (岩波アート・ライブラリー)



編集会議休刊
なぜ僕の好きな雑誌ばかりが・・・。リニューアルするということで新雑誌に期待したいと思います。これは撤退でなく転進なのだ。







一個人2009年3月号 の特集「人生、最高に面白い本大賞BEST284」が充実した内容になっています。カリスマ書店員15人がジャンルごとにおすすめ本を選んだり、人気作家の書斎の写真があったり。佐藤優と鈴木光司のくつろいだ服装が必見。



大阪人 2009年 03月号 [雑誌]
大阪市都市工学情報センター
発売日:2009-02-02



大阪人2009年3月号 の特集「続々古本愛」は老舗古本屋から新世代古本屋まで幅広く押さえていて、これは買いです。Lマガジンが無くなったいま、頼れるのは大阪人しかないのかもしれない。以下、目次。

天満天神・古本愛ツアー
矢野書房/天五古書Simple Twist of Fate/ハナ書房/駄楽屋書房/天満天神プチ古書即売会/天四文庫&エンゼル書房/書苑よしむら/厚生書店/常盤書房
商店街への出店の先陣を切った新世代のリーダー。1点集中で商品を薦める新スタイル。審美眼鋭い美術書専門店に、化学反応を起こし続ける昭和史専門店――。天神橋筋商店街に集う古書店を一挙紹介。

古書店ヌーヴェルヴァーグ
MILBOOKS/iTohen/Berlin Books/珈琲舎書肆アラビク/books&café LOW/メガネヤ/colombo cornershop/週末古本書庫suwaru
カフェやギャラリーを併設、近代建築を再生、独自のホームページとデータベースを構築。長屋にマンション、オフィス街の路面店まで。多種多彩、異業種混合の新世代古書店を巡る。

天満天神・古書店残映 南陀楼綾繁
かつて、天神橋筋4丁目に、古本マニアを翻弄する老夫婦がいた。古本と古書店を愛した先人たちの足跡と、消えた古書店の記憶。猟書の奇才は、今日も本の山と格闘し続ける――。

老舗古書店・2世紀目の挑戦 天牛書店
創業1907年(明治50)。蔵書は常時10万冊。大阪で古書店といえば「天牛書店」。初代天牛新一郎の革新と信念とは。不動の地位を気付いた老舗古書店の激動の100年を追う。

古書店・設計プロジェクト 高山文庫
3階建のビルをまるごと古書店に改装しよう――。増え続ける蔵書をいかに管理するか。営業時間をいかに快適に過ごすか。店主と建築家の共同プロジェクトが始まった。

オダギリ・ムライの製本教室体験入学 小田切聡・村井英晃
思い出の1冊をよみがえらせたい。オリジナルの1冊を完成させたい。世界で1冊だけのお気に入りを作ろう。おっかなびっくりの製本体験とは。

その他、「古本市ルポ 阿倍野古本まつり/谷町月いち古書即売会」「マニアのためのブックガイド 真中耕平」など、熱を帯びる大阪の古書店が満載です。