近未来SF短編集。頭の中で永遠にリフレインする音楽。僕たちが使う言語では表現しきれない、あらゆる概念・感情を一言であらわす脳内言語。自分を幽体離脱したような真上からの視点でしか世界を見ることができなくなった男。アイデンティティをゆるがすテーマが、人間・人生の本質を問い直す。イーガンはいつ読んでも素晴らしい。
脱力系エッセイ集。「くだらなさ」を的確に表現する語り口と文章力。『晴れた日は巨大仏を』でも同じで、あまりの馬鹿らしさに笑って見過ごしがちだが、この人の観察眼に素晴らしいと思う。
1972年にこういう小説が書かれていたとことに驚く。タランティーノ監督で映画化して欲しい。いかれた人間ばかりが次から次に登場してくる。もともとあやういのに、途中から完全に正気を無くしていく爆走する主人公の女。胃潰瘍の痛みに捕らわれて、目的か見失っていくが、殺し屋としての判断力だけ優秀な男。ハリウッド映画かというほど派手な展開になっていく物語は、小説としての完成度などどうてもよくなる、バイオレンス小説。
茗荷谷という土地を中心として移り変わる時代を描く連作短編集。群像劇が好きな人は必読。昨年でた小説のなかではトップクラスの出来だと思う。「何かを得ることは何かを失うこと」という根底に流れるテーマは、新潮クレストブックのベスト短編集『記憶に残っていること』に通じる。人生のなかで得るものと失うものがあるように、土地の景色も移ろいゆく。時代とともに人が消え、新しい人が現れる。全てが入れ替わっているようでも、その土地には全てが刻み込まれている。人間の持つ業の残滓と、人間の持つ夢の名残と。
資金力にモノを言わせて、引きこもりながらも活動的な生活を送る女性。マンションの住人たちに文句をいいながらも、自由気ままな毎日だが、ある時、一通の手紙が届く。そこから女性の場面は変わり、過去に数年間働いていたストリップ劇場での赤裸々な生活が語られる。完成度の高い小説もいいけれど、楽しく好き放題に書いていることが伝わってくる小説というのも好きだ。読んでいるこちらも楽しくなる(気が合えばだが)。飛んでいるヘリが墜落するほどの色気をだす美女とか、もう大変。
琉球王朝絵巻。2009年本屋大賞ノミネート作。読みやすい文体と読みどころ満載の派手な展開はコバルト文庫風とか韓流ドラマ風などと評されている。主人公が男装の麗人というところが評判の「萌え」要素だと思うのだが、うーんわからん。
ランダムハウス講談社
発売日:2008-12-10
関西本第2弾。落語家・桂雀々の少年時代の自伝。この過酷な状況と比べると、ホームレス中学生がいかに楽で幸せだったか分かります。ギャンブル好きの父親のため借金の山→見栄っ張りで金遣いの荒かった母親が失踪→借金の取立てに怯えながら父親との生活→なんとか軌道に乗ってきた頃に将来高く売れると飼育していたピラニアが死亡→絶望した父親に一緒に死のうと包丁を突きつけられる・・・。ホームレス中学生より読みどころ満載だから、もっと売れてもいいと思うのだが。過酷すぎ?








