【後編】利き腕のアッパー | ボクシングライフW

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趣味と言うよりライフワークになっているボクシングについてとりとめもなく感じたままに

覚えてくださる方がどれだけいらっしゃるか分からないがこの続き↓

すっかり書き終えたつもりでいたが完結していなかった事に気が付いた。と言うより御指摘を頂いた。


これまでの簡単な要点。

①日本人は利き腕のアッパーをあまり使わない


②利き腕のアッパーは左フックに対するガードが空く。危険が伴う為、あまり使われない


③利き腕のアッパーの射程距離は短い


④身長差のある相手に対し有効


⑤右ストレートの様な美しさ、左フックの様な狂暴さはないが、危険と紙一重なだけに利き腕のアッパーは美しい


さて4ヶ月半ぶりの続き。


上記の②が当てはまらないケースがある。それはサウスポーとオーソドックスが対決する時だ。


サウスポーとオーソドックスが向かい合う画像を見てみよう。


サンプルは井上尚弥VSファン・パヤノ。
お分かりだろうか?

どちらが利き腕ののアッパーを打っても届かない。また、仮に打って空振りをしても相手の拳は遠くにあるので対処しやすい。
おまけにアッパーは踏み込みながら打ちにくい。
ファン・マルチン・コッジの様に踏み込みとロングアッパーを同時に出来る名手もいる。



これは学んで出来るパンチではない。肩と肘の間接の可動域が広く、かつ柔軟な筋肉が無いと打てないだろう。まさにラティゴ。

サウスポーVSオーソドックスにおいて利き腕のアッパーは前の手が逆になる為………つまりオーソドックス同士なら左フックを貰う心配がない………リスクが少ない。

ではオーソドックスVSサウスポーで利き腕のアッパーは使われないかと言うとそんな事はない。
攻めるパンチと言うより、迎え打つパンチとして有効。

踏み込んでくる相手に合わせるパンチとして使う。相手からすれば視界の外から来るので避けにくい。

昨日書いた観戦記、IBFSライト級タイトルマッチにおいて新王者 リアム・パロはサウスポーならではの左アッパーをファイター型の王者に上手くヒットさせていた。
他の現役世界王者ではWBAブリッジャー級王者 イブギニー・ティシェチェンコも左アッパーが上手い。

ファン・マルチン・コッジもそうだがオーソドックスVSサウスポーでは利き腕のアッパーはサウスポーに名手が多い。

日本ではあまり見かけない、と言うより教わらない利き腕のアッパー。特にロングアッパーは日本人の名手が思い付かない程、馴染みの少ないパンチ。

だが日本人ボクサーのサウスポー比率が年々高くなっている現状なら、遠からず日本からもアッパーの名手が誕生するかもしれない。