アメリカで戦わない批判に対し、井上尚弥が
「今や軽量級の本場はここ日本にある」
と発信した事がニュースになった。
この言葉に嘘はない。見事な返し。
ノニト・ドネア初戦の後、某会長が
「もう尚弥は日本で見れないかもしれない」
と語った。
トップランクと契約を結んだ発表の後での発言………だった気がする。結果として嘘になったが当時は本気だった………かもしれない。
その後、配信バブルが始まり、日本は井上の言う通り軽量級の本場になった。
2024年上半期の日本国内開催の世界戦は以下の通り。
⚫ミニマム級 2試合(重岡兄弟)
⚫ライトフライ級 1試合(寺地拳四朗)
⚫フライ級 2試合(ユーリ阿久井×2)
⚫Sフライ級 1試合(田中恒成)
⚫バンタム級 5試合(井上拓真×2、中谷潤人、西田凌佑、武居由樹)
⚫Sバンタム級 1試合(井上尚弥)
計12試合。
一番、重くてSバンタム級。まさに軽量級の本場。
しかし………である。
虚しさを感じるのは何故だろう?
軽量級の本場でありながら、世界戦のリングに上がれるのは日本人が絡んだ試合だけ。
世界ヘビー級王者を生んだ国が
「軽量級の本場」
と言うなら胸を張れる。
だが、Sミドル級以上に縁のない国が言うと何だか虚しさを感じる。
東海岸での軽量級の扱いは本当に酷い。
先般、ニューヨークで行われたデビン・ヘイニーVSライアン・ガルシア興行。
アンダーカードでジョン・ラミレスVSダビ・ヒメネスのWBA暫定Sフライ級タイトルマッチが行われたじゃないか?
と言う人がいるかもしれない。
だがこの興行で2番目に軽いクラスはライト級。
また、1月にカナダで行われたアルツール・ベテルビエフVSカラム・スミスのアンダーカードでジェイソン・マロニーがWBOバンタム級防衛戦を行ったじゃないか?
と言う人もいるかもしれない。
だがこの興行で2番目に軽いクラスはSフェザー級。更に3番目に軽いクラスはSミドル級。
重量級ボクサーが充実しつつも、軽量級の世界戦を日本で頻繁に行うなら誇らしい。
だが今の状態はイソップ童話の「すっぱい葡萄」と変わらない気がする。
かつての軽量級大国 メキシコはミドル級以上にも優秀な人材を多く排出し、軽量級の人気が無くなってきていると聞く。
日本が軽量級王座を独占しているのもメキシカンが大きくなった事、韓国の衰退と無関係ではない。
何だか………やるせない。