【後編】中谷潤人と山口圭司 | ボクシングライフW

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趣味と言うよりライフワークになっているボクシングについてとりとめもなく感じたままに

前回の続き。


今の中谷潤人は山口圭司と重なって見える。


アンドリュー・マロニー戦を思い出して見よう。2ラウンドに左右アッパーで鮮やかなダウンを奪った。相当、効かせていた。


2ラウンドのダウンシーンを見て………勝負はラストラウンドまで長引くと考えた人は少数だったのではなかろうか?

私個人は長くて5ラウンドと思わせた。


しかし、逆に5ラウンドからはマロニーの突貫に手を焼いた。ジョシュア・フランコ第3戦でマロニーが見せたスタイルだが(本来はアウトボクサー)、中谷は押し込まれていた。


鮮やかなダウンシーンとKOシーンで忘れがちだが良い場面ばかりではない。


そして再三指摘している右アッパー。

見映えは良いが隙だらけだ。


3年前、田中恒成は僅かに下がった右ガードを井岡に突かれ、敗れ去った。中谷の右アッパーを打つ際のガードの下がり方は田中の比ではない。「打ってください」と言っている様なものだ。


初防衛戦は田中かもしれない。田中には井岡の様な緻密さは無いが、その代わり速くて威力ある左フックを持つ。田中の拳が中谷の顎を貫いても驚きはしない。


まだ25歳と若く、魅力的なボクシングをする中谷だが今、負けてしまっては意味がない。

今のスタイルのままでは遅かれ早かれ山口圭司と同じ道を歩みそうに危惧してならない。


何ラウンドかは忘れたがマロニーの左ジャブに右アッパーを逆右クロスで合わせようとした。


「リカルド・ロペスがアラ・ビラモアを沈めたアッパーを真似した?」


と感じたが………中谷のボクモバでの憧れのボクサーを見ると………↓

やっぱり………と思った。

中谷には非常に好感を持っている。年齢も若く、これからの日本ボクシング界を背負って立つボクサーだ。つまらない負けた方はしてほしくない。

個人的な事だが人を介して、中谷のリクエストで師である石井広三のキャリアDVDを作ってプレゼントしたこともある。

オーソドックス相手にサウスポーが右アッパーを、サウスポー相手にオーソドックスが左アッパーをロングレンジから打つ怖さ。これは試合、スパーリング、マス、何でもいいが対人練習の経験がある人ならわかるはず。

それにも関わらずアッパーを突き上げるのが中谷の魅力かもしれないが。

個人的にはネクストモンスターと呼ばれても井上尚弥には遠く及ばないと思う。だが、魅力と言う点では本家を上回っている。いつ倒されても不思議でないスリリングなスタイルだからだ。

だが………願わくば右アッパーを接近戦以外は封印し、右ジャブ、右フックを研いて長くトップ戦線で活躍してほしい。