【後編】点と線 | ボクシングライフW

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趣味と言うよりライフワークになっているボクシングについてとりとめもなく感じたままに

前回、前々回の続き。

各々が素晴らしい拳歴を誇るパッキャオ、メイウェザー、デラホーヤ、モズリー。総当たりでぶつかり、見応えのあるファイトを提供したが80年代の黄金の中量級の様なライバル対決と言う感は薄い。

それは本来の主役、アメリカの生んだ金メダリスト、オスカー・デラホーヤがシュガー・レイ・レナードになれなかったからだろう。

80年代は4人のレジェンドが盛り上げたが中心にいたのはレナードだった。それはけん様のblogにある通り。
リブログさせて戴きます。

網膜剥離でブランクを作り、試合数こそ少ないが間違いなくモハメド・アリからスターのトーチを受け取ったのはレナード。そのレナードの後継者が本来はデラホーヤのはずだった。

デラホーヤはデビュー戦から引退試合まで全試合を日本で放送された唯一のボクサーかもしれない。ほとんどがWOWOWだがキャリア初期にはNHKでも放送され、来日の噂があった時は日本テレビで放送された。

だがデラホーヤは肝心な試合で勝てない。

フェリックス・トリニダード、モズリー×2、バーナード・ホプキンス、メイウェザー、パッキャオのビッグマッチで敗れ続けた。




主役がライバル対決に勝っていないストーリーは盛り上がらない。

フリオ・セサール・チャベス、パーネル・ウィテカー、ヘクター・カマチョには勝っているが、彼等のキャリアは終盤に入っていた。

旬の強豪対決でデラホーヤが勝ったのはアイク・クォーティ、フェルナンド・バルガスだろうか?

レナード、デュラン、ハーンズ、ハグラーの総当たり戦は全てWBCタイトルマッチ。これは偶然ではない。WBCとボブ・アラムが作ったモハメド・アリに代わる新たなストーリー、それが80年代黄金の中量級だ。

それに対し、ビッグマッチの数はレナードを上回るデラホーヤだがストーリーが無い。単発で大きな試合が組まれた様に感じる。

パッキャオは存在そのものが奇跡だがアメリカ人ではない。モズリーは名ライト級王者だったが名を上げたのはデラホーヤに勝ってから。メイウェザーもボクシング界のスターからスポーツ界のスターになったのはデラホーヤに勝った後。

結局は主役が活躍しないと線(物語)が点(単発のビッグマッチ)になる。

デラホーヤはGolden Boy Promotionを立ち上げ、ボクシング界への貢献はレナード以上だ。時代の違いもあり、稼いだ額もレナードを遥かに越えるだろう。

だが、デラホーヤは単発の主役ではあっても物語の主役ではない。その為、黄金の中量級と違い、2000年以降に総当たりをした4人はその場限りの対戦相手であり、運命を感じない。即ちライバル感がない。
そんな気がする。