夏休みに何かあったのだろうとは思いながら直接聞くことはできなかった。
学校が終わって、バンドの練習にスタジオへ向かう途中、我慢できずに将太が口を開く。
「なあ、奈緒とケンカでもしたか?
オマエたち二人、何かヘンだぞ。」
「ああ、別れたんだ。」
「えっ?
どうして??」
「俺が、別れてくれと頼んだんだ。」
「何で?
納得できない。
奈緒が優斗のことをどれだけ心配していたか知らないのか?
何て事をしたんだ。
オマエってヤツは・・。」
「仕方がなかったんだ。
奈緒の真っすぐさが苦しくて重くて辛かった。
俺はアイツの前で今までの俺ではいられなくなったんだ。」
「それが嫌だと奈緒が言ったか?
そんなこと言わなかっただろ。
奈緒に言ったのか?
『オマエの気持ちが重いって。』」
「ああ。」
頭を抱える将太を見ながら優斗はハッとする。
「将太、オマエ・・。」
「ああ、そうだよ。
俺たちは幼稚園の頃からの付き合いだ。
だからわかるよ、奈緒のことなら大体何でも。
優斗と付き合うことになった時、オマエだったから俺は諦められると思ったんだ。
オマエが本気だってことも知ってたから。」
「すまない。」
優斗が頭を下げる。
「俺に謝られても、どうにもならないけどな。
わかったよ。
そのことはもう聞かない。」
いつもはそんなに多くの言葉を話すヤツじゃないのに、奈緒のことになると意外なほどに熱くなる。