あなたの傍で優しさに包まれて暮らせば


幸せな時が過ごせることは 私もわかっているの


でも 消せない アイツのことが・・



アイツの不器用な生き方


ちょっとしたときに見せる 子どもみたいな笑顔


乱暴な言葉のその後ろに隠れている優しさ


全部捨てようと思った


全部捨てきったと思った



手をつないだときの暖かさ


抱きしめられたとのドキドキ


そっと触れただけのKISS


私の身体が覚えている


小さなこと その一つ一つ



届かなくても あなたとは生きられない



亮太が八つの時、祖父は病院のベッドの上で還らぬ人となった。


美紀は息子二人を抱きしめては泣き、弔問に訪れた人と言葉を交わしては泣き、夫の胸の中で肩を震わせてはまた泣いた。


(お母さんはもう二度と笑わないかもしれない。)


亮太は幼い心でそう思った。


「お母さん、泣かないで。」


そう言いながらギュッと結んだ口で美紀を見つめた。


「ごめんね。


たくさん心配させちゃったね。


亮太がいてくれるから、お母さんはもう泣かないよ。」


あの日以来、美紀は亮太の前で涙を見せたことはない。


そういう意味では、八歳の亮太との約束を今も変わらず守り続けているといえる。


あれから、それほど辛いことや哀しいことが無かったといえばその通りではあるのだが。



「俺のおふくろって楽天家だと思うんだ。


このキズ見たって、俺の不注意だと思うんだぜ。


わざとかそうじゃないかくらいのこと、わかったってイイと思わないか?」


「ふ~ん。


でも、まさか言えないだろ?


自分を傷つけたかった・・なんてこと。」


そう将人が言う。


誰にも言えなかったことが将人には何の躊躇いもなく・・。


そして気持ちが軽くなったような感じすらしていた。


「破裂寸前。


ああでもしなきゃ、俺の中のわけのわからないモノに自分を乗っ取られそうだった。」


「それで、どうだった?」


「痛みと引き換えに何か手にしたかと聞かれても、上手く答えられない。


でも、何となくここに来て・・将人に巡り合えた。


俺の心を理解してくれるオマエに会えた。」

学校は無条件に楽しかった。


テストも勉強も嫌いだったが、朝目が覚めると新しいエネルギーが身体の中を流れ始めるのを当然のこととして感じた。


自分勝手な楽しさでいっぱいだった。


しょうもないことでばか笑いをし、どうでもイイようなことでケンカをした。


ドロドロになったズボンやTシャツを汚そうに親指と人差し指でつまむようにして持ち洗濯機の中に投げ入れる母の姿。


あれからどれくらい時間が過ぎたというのだろうか。


家を出る前に母が左腕に巻きつけてくれた包帯の下の保冷剤も暑さのせいで効果がなくなってきた。


恐る恐るほどいた包帯。


「痛っ!。」


真っ赤になった皮膚が亮太の目に飛び込む。


「自分でそんなことをするヤツの気が知れないよ。」


後ろから突然、無神経に声をかけてきた。


激しく睨みつけた亮太に向かって彼は言った。


「ゴメン。


驚かせてしまったな。


でも、間違ってたかな、僕の言ったこと。


僕は将人。


ゆうれいなんだ。


驚かせついでに、かき氷、一緒にどう?」


「ああ、俺も食いたい。


ちょっと待ってろ、そこで買ってくる。」


「氷イチゴ、ミルクもかけて。」


将人は走る亮太の背中に向かって大声で叫ぶ。


ゆうれいだと言いながら、こんなに堂々としていて、しかも驚くほどずうずうしい。


おかしなヤツだと思いながら亮太の心が彼の存在を認めた。


それは・・、このキズがわざとだと見抜いたから。




学校での毎日が無意味に感じられる。


退屈な授業。


机に向かって学んでいるふりを続ける。


嫌だと言ったところで、それは最初からわかっていたこと。


それでも仲間と過ごす時間は楽しかった。


そんなある日、仲間の一人が交通事故に遭ってあっけなく逝ってしまった。


彼女の死を知らされた時も、葬儀の席でも不思議と涙は出なかった。


顔がいつもより青白く、頬に手を当てると冷たい。


ただ眠っているだけだと思いたかった。


だけどそれは夢ではなく現実の哀しい出来事だった。


彼女がいなくなったというのに、何も変わらない時間の流れや社会。


まあ、それは仕方がないこと。


今まで一緒に過ごしてきた仲間たちも新しい時間の中にいていつの間にか彼女のことを気にかける様子もなくなった。


「俺は、アイツと過ごす時間がとても好きだったことにさえ気付かすにいた。


そんな自分が大嫌いだった。


気分はいつもイライラしているか無気力でいるか、その両極端だった。」


「だけど、誰にも言えなかった。


全部を自分の中に・・、そうだろ?


だから、こんなことを。」


亮太は自分の心の中で起きていることを外に向けて吐き出すことが苦手だった。


とても辛いことに直面した時、ほとんどの人は何らかの形で気持ちを吐き出す。


そうすることによって少しづつ気持ちにケリをつけていく。


「亮太、もう少しラクに生きてみろよ。


オマエを見ているだけで僕は哀しくて泣きそうになるよ。」


「俺はいつもイイ子でいたかったから。


おふくろの笑顔が大好きだったから。」


七月二十四日、せみの声が身体に張りつくような暑さの中、亮太は自分の身体を傷つけた。

熱くなったアイロンは彼自身の手で左腕に押し当てられた。

思わずピクッと腕が動く。

思わず大きな声が出る。

母親はその声に驚いて騒がしく階段を駆け上がってきた。

「どうしたの?

何やってるのよ。

ほら、見せてごらんなさい。

ヤケド??」

亮太はズキズキする腕を見せた。

「いつもしないことをするからよ。
早く下に降りて水で冷やしなさい。」

美紀はアイロンを片づけながらまだブツブツ言っている。


十七歳の亮太と三十九歳の美紀。

二人が並んで歩いている姿は、親子には見えないかもしれない。

美紀の童顔と華奢な身体つき、亮太の長身と父親譲りの上品な顔立ち。

恋人同士にはさすがに無理があるが、姉弟ならうなずける。


彼女は今まで何不自由なく生きてきた。

亮太の父親と映画のような甘く熱い恋をして結婚し、二人の男の子の母になった。

長男の賢は、今年の春から一人暮らしを始め東京の大学に通ってる。

夫はと言うと、大手電機メーカーに勤めている。

忙しい日々にもかかわらず、結婚記念日と美紀の誕生日には花束をプレゼントしてくれる。

十九年間ずっと。

親子関係も、息子たちが幼かった頃と同じようにはいかないにしても、肝心なところでは繋がっていると信じている。


小学校のグランドには、子どもたちが一人二人と集まって来た。

どうやらソフトボールの練習が始まるらしい。

上級生の掛け声でグランドを何周か走り、簡単な準備体操、そしてキャッチボール。

一年生から六年生までだから身体の大きさにも差が目立つ。

お揃いのチームの帽子をかぶり、グローブを手に走っている姿は自然と見ている側の微笑みを誘う。

どこへ行くというあてもなく家を出た亮太は、何年か前に卒業した小学校にいた。

ブランコに腰かけてそんな小学生たちをぼんやりと見ていた。

彼らを見ていると自分がひどく大人になったように感じた。

(小学生かぁ・・。)


昔々に書いたモノですが、記録として残せたら~そう思ってここに。
よろしかったら、お付き合いください。


暖かくなってきましたね。


桜もそろそろ・・お目覚めでしょうか?


いろいろ気になってることをやろうと思っていましたが、予定通りには進まないものです。



k-kyokoのブログ

k-kyokoのブログ

友達の友達が貸してくれました。


ほら、こんな嬉しいことが舞い込んでくると、意識はそっちに飛んでしまって戻ってきません。


テレビ番組は特番ばかりなのでこっちを見ることが出来ます。


部屋の片づけもやりたいことの中の1つです。


大型テレビを置く場所を確保しなければ、買えないんです。


片づけるって・・これが大変、捨てられないし~段ボールに入れてしまって物置いきか?


大きなテレビで見たらもっと素敵なんだろうけどな~。



4月がそこまでやって来ていて新年度だし・・って私にはあまり関係ないですけど~。


もう1年の4分の1が終わろうとしてるなんて時間が過ぎるのは早いですね。


過ごしやすい季節に向かっていくから、気分はイイです。