真っ赤な力でデストロイ
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大恩赦刑

午前3時、外宇宙から取り寄せたぼくの邪悪な自我と意思決定権が、重油にまみれたきみの骨から響いていると思ったぼくは、絶滅したエレメンタリーパーティクルの残滓が散らばる巨大な寝具の上を土下座するように泳ぎ、その骨のありかを探しにいこうとするのだが、幽(かす)かに凶暴な香りのする隘路の幻影がちらついてどこにも行くことができず、虚言癖のある霊媒師の聲(こえ)は、燃えるようにぼくの内耳へ囁(ささ)やきつづける/限りなく愛に近く、ひんやりと冷たいものが、犯した罪たちと交(ま)ざりあってぼくの背筋を這いのぼっていく/殺される前に殺せ/自らの人生に従順でありすぎたぼくは、もはや虚言で愉(たの)しむことは何ひとつできない/救われない廃街にかつて蔓延(はびこ)った空虚な死病が始まろうとしている、逃げなくては、逃げなくてはいけないのに、この美しい心臓を、安らかな膓(はらわた)を逃さなくてはいけないのに、ぼくが吸われていく、減っていく、殖(ふ)えていく、折り重なった罪禍のろうそくが汚らしくとろけつづけている/夜の街路、荊棘(けいきょく)の絡みついた赤黒い肉体をさらけ出し、生理用ナプキンのような虚言に吸われている醜く罪深いけだものが1匹ころがっている

壊劫の死者

死んだ鮫「貴様のような奴が許されると思うな、罪人風情が。この世界は貴様のような連中を閉じ込めるための牢獄だ。死ぬまで我々に贖罪を続けろ」

死んだ鰐「不安の原点は心臓の純粋さに起因する。その血が透明に近いほど心の湖底の奥深くの禍々しさがよく見えると言うものだ。世の有象無象が私の血を黝(あおぐろ)くしていく」

死んだ鱏「ああ、空が飛べたらな!空が飛べたなら、ぼく達の目、ぼく達の耳、ぼく達の呼吸すべてが地の底に落ちていくのを眺めることができるのに」

夕(ゆう)となり、また朝となった。
五大劫(mahakalpa)である。

balcony no clab

‪死の交ざる明朝の冷えた鉄水腐(あざ)れて/血膿の黄染めに筆(ひっ)され/棄てられた溶融を泳ぐ万象が身を照らす/室外機に放られた心臓の家鳴り/命尽きる怪音の悪(あ)がかり/内耳の奥底で爆発する胎児たち/きみの焼け爆ぜる香り/ぼくの喀痰のような射精
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