大恩赦刑 | 真っ赤な力でデストロイ

大恩赦刑

午前3時、外宇宙から取り寄せたぼくの邪悪な自我と意思決定権が、重油にまみれたきみの骨から響いていると思ったぼくは、絶滅したエレメンタリーパーティクルの残滓が散らばる巨大な寝具の上を土下座するように泳ぎ、その骨のありかを探しにいこうとするのだが、幽(かす)かに凶暴な香りのする隘路の幻影がちらついてどこにも行くことができず、虚言癖のある霊媒師の聲(こえ)は、燃えるようにぼくの内耳へ囁(ささ)やきつづける/限りなく愛に近く、ひんやりと冷たいものが、犯した罪たちと交(ま)ざりあってぼくの背筋を這いのぼっていく/殺される前に殺せ/自らの人生に従順でありすぎたぼくは、もはや虚言で愉(たの)しむことは何ひとつできない/救われない廃街にかつて蔓延(はびこ)った空虚な死病が始まろうとしている、逃げなくては、逃げなくてはいけないのに、この美しい心臓を、安らかな膓(はらわた)を逃さなくてはいけないのに、ぼくが吸われていく、減っていく、殖(ふ)えていく、折り重なった罪禍のろうそくが汚らしくとろけつづけている/夜の街路、荊棘(けいきょく)の絡みついた赤黒い肉体をさらけ出し、生理用ナプキンのような虚言に吸われている醜く罪深いけだものが1匹ころがっている