昭和57年名古屋場所三日目〜五日目 | 三代目WEB桟敷

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三日目

麒麟児が舛田山に、栃光は多賀竜に、それぞれ突き押し、四つ相撲で一日の長あり。熟練の技を見せつけて勝つ。

 

上手取って振り回そうという北天佑に、大寿山冷静な外掛けを合わせて重ね餅。

 

富士櫻、栃光の抵抗に遭うも、叩いて3連勝。高見山は若の富士を良く見て迫力の突き押しで土俵下へ。高砂部屋のベテラン両前頭筆頭好調。

 

朝潮は巨砲との、いなし、いなされ合いの末に左四つ。太い腕を返して寄り、またもや土俵際左へ回り込まれたが、のめりながらも右肘を突きつけて許さず。

 

がんばれ、がんばれの大声援に応え、出羽の花が左差し、魁輝の叩きに落ちずに頭をつけて寄り切った。

 

がぶり寄り炸裂の琴風。蔵間に土俵際粘られ、がぶり切って棒立ちになったがなおもガブッて腹を押し付け、最後はもたれかかるように寄り切り。

 

なかな差せない隆の里、しぶとい黒瀬川についに中に入られたが、腕を振り回すような強引な首投げに黒瀬宙を舞った。

 

脅威のぶちかましを見せる騏乃嵐に対し、若乃花は頭で当たって右に動くとすぐ上手投げで泳がせ、送り出し。

 

立ち合い左前ミツの若島津、ならばと右上手、左下手前ミツで頭を付けて出た千代の富士。若島津回り込み、千代の富士が強引に頭を抑えて投げにかかるのを外す。そのうちに千代両下手前ミツ。若島津堪えて左コジ入れる。右前ミツで頭をつける千代の富士。若島津左下手で右を絞る。ようやく動きが落ち着いてきたが、ここで千代の富士右上手を深めに取り直すと引き付けて走る。土俵際も止まらずそのまま走って俵の外へ。勇み足気味にも見えて落ちながら蛇の目を見つめる若島津だが、物言いなし。

 

四日目

十両に落ちた玉龍だが思い切りの良さは変わらず、変化して取った右上手から派手に王湖を投げ転がした。

 

負けじと栃赤城、右差しから背中を向けて逆とったりも、東洋掛からず踏ん張り逆に投げを返すと、バネが逆回転するかのように栃赤城ひっくり返った。

 

神幸も飛んで思い切った小手投げで蔵玉錦を転がす。

 

舛田山、天ノ山に捕まり掛けたが、引かずに右ハズを伸ばして巨体を横様にひっくり返した。

 

大技が派手に決まる前半戦。

 

若島津が上手を切りにきたところを下手だけで出た北天佑だが、投げの打ち合いで両者土俵したに突っ込んだが、先に手をついてしまった。対戦成績6勝6敗の五分に。

 

前ミツ引き付けて出羽の花必死の寄り、堪える蔵間を捻り気味の上手投げで下した。過去14戦して3勝の苦手破って連敗のあと連勝。

 

朝潮に挑むは新鋭騏ノ嵐。当たりで少し後退させたが、朝汐に左を深く差されて劣勢。朝汐、結び目の向こう側まで深く取った下手引き付けて豪快な吊り。しかしこれが失敗。巨体を持ち上げ損なうと、強引に首を巻いて強引に反撃する相手の圧力に腰が入って逆転負け。あまり見せない吊りは力を見せつけようとしたのか。勿体ない相撲で痛い土がついた。

 

両大関は問題なく勝利。

 

3連勝と好調の富士櫻、勢いそのままに千代の富士にも突き押しを繰り出すが、廻し許すと反撃の間もなく下手出し投げであっさり這わせた。

 

大錦左覗かせ右おっつけて走る。回り込む若乃花だが頼むものがなく出足に屈して腰から落ち、微妙なタイミングだったが大錦に軍配。若早くも2敗。大錦は一時は幕下転落も経験したが、2年半ぶりの入幕から大復活。約7年ぶりの金星から1年で4つ獲得した。これ以降打ち止めとなるが、なんとこの5年後にも金星を得ることになる。

 

五日目

あんこ型の新入幕王湖、十両逆鉾の立合い変化に足首が入って突っ伏すと思いきや、ググッと踏ん張った。そして向き直るとお株を奪う双差し。逆鉾が一か八かの逆転を狙うが土俵の外。全敗同士は新入幕に軍配。

 

当たり良く、前捌きも良い高望山、栃赤城を押し出して4勝目。

 

長身神幸組み止めて吊りを仕掛けたが、東洋堪えて持ち上がらない。逆に吊って出たところ、うっちゃりに足が飛び出したが、神幸の踵が蛇の目に触れていた。

 

若獅子は腕たぐって叩いてと動いたが、落ち着いて対処した多賀竜が押し出した。若獅子に土。

 

腰の重さと思い切った技を持つ両者。栃光が頭をつけて拝む正攻法で鳳凰を寄り切った。

 

舛田山は珍しく左上手がっちり、右喉輪が外れたがなおも外掛け、寄りと攻めて下手出し投げで青葉城を破った。

 

全敗同士は懐に入った佐田の海が胸を押して若の富士を寄り切り。

 

若島津左四つの寄りを、巨砲再三出し投げで回り込んで堪えていたが、胸合わせて引きつけついに寄り切った。

 

朝汐、頭で当たり切れず、右肩から入った闘竜を左突き落とし。しかし乗じて押して出られて防戦一方で土俵を割った。痛恨の序盤連敗。

富士櫻の突き押しにも、顎を上げずに前みつに手をかけた出羽の花。3連勝で白星先行。

 

琴風の前みつ狙い。北天佑が突き放そうとしたが、両廻し引きつけた琴風が寄り切った。

 

左肩から当たってあてがいながら組み止めようとする隆の里。しかし騏乃嵐の圧力に堪りかねて引き、出足を呼び込んで土俵を割った。

 

左変化を見せた黒瀬川、左四つで前に出たが、流石に懐の深い若乃花、残して右覗かせ寄り切った。

 

結び、千代の富士は蔵間に先に上手を許したが、遅れて上手を引くと体を開いて投げを決めた。

 

序盤戦を終えて、全勝は千代の富士と前頭8枚目の大寿山。

1敗も琴風と平幕下位の4人と、三役陣は星を分け合っている。