昭和57年名古屋場所六日目〜中日 | 三代目WEB桟敷

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中盤戦(六日目〜中日)

六日目

若獅子がおっつけて組み合わず、玉龍が焦れて叩いたところを付け込んだが、右へかわしばな上手を掴んでの投げ。今日も荒技が飛び出した。

 

徹底して右差しで攻めた佐田の海、王湖を土俵下まで吹き飛ばした。

 

高望山も右差しを狙いつつの前進。圧力で勝って神幸を押し出した。

 

大潮、左覗かせしゃにむに前へ、大寿山腰から落ちて1敗。

 

突っ張りから左差した若の富士。右上手投げで栃光を潰した。

 

少し動いて右前みつ狙いの東洋だが、左差しで走る大錦は力強い。一方的だった。

 

右差しの青葉城、左でおっつけていたが、闘竜が左巻き替え、右巻き替えと先手を打ち、右差しの形を作って寄り切った。

 

富士櫻に突っ張りで応戦した若嶋津。うまく組み止めて寄り切った。

 

右変化の小結黒瀬川。軽く右手で頭を叩くと、勇んで突っ込んだ朝汐ゴロリ。地力、体格差を考えるとなぜそこまで突っ込んだのか。焦りが悪循環を呼び、3勝3敗。大関取り黄信号。

 

北天佑の突き押しを凌いで右四つに組み止めた隆の里。力強い吊りで制した。

 

頭で行った騏ノ嵐、しかしスルッと右四つに組み止めた琴風が廻しを引きつけガブリ寄り。土俵際粘ったが、大関の出足止まらず寄り倒し。

 

両者得意の両前みつ浅く引き合い、右下手を深くした出羽の花が寄って出たが、下がりながらも吊り気味に引きつけた千代の富士、上手投げで体を入れ替わって出羽、俵の外。こちらも大関取りが苦しくなる3敗目。先場所も横綱総なめを防がれた天敵にはこれでカード3勝16敗。

 

結びは均整の取れた美男力士対決。相四つでやはりすぐに左四つになったが、廻し引き合う前に若乃花が蔵間の左差し手を手繰りつつ後ろに回りつつ右で深い上手を取っての投げ。目標を失った蔵間は善戦にも至らず。やはり同タイプ対決は格上が順当に勝ちやすく、横綱の11勝1敗。

 

七日目

幕下付け出し3場所目の市ノ渡、恵那櫻を破ってストレートの勝ち越し。

 

栃赤城、右下手半身から右足で跳ね上げて豪快に十両・魄龍をひっくり返した。

 

突っ張り合いから右四つ左上手の神幸。舛田山も両廻し取って堪えたが、ジリジリと寄り切った。

 

王湖左を差し勝って一気に出たが、多賀竜の下がりながらの小手投げにバッタリ。

 

両手突きの斉須、左四つ右上手で食いつくが、鳳凰右で抱えて堪え、強引に投げ切った。

 

細かく突っ張る栃剣、しかし相手を正面に置いて落ち着いて捌いた天ノ山が体力に勝り、押し出した。

 

左喉輪の伸びた高望山、いっぺんに出て大潮を土俵下まで突き飛ばした。

 

十分の右差し合った両者、大寿山が左で抱えて腹を突きつけて巨砲を寄り切った。6勝1敗。

 

大錦、右四つで反撃、という出鼻に仕切り線で足を滑らせ、腰が入る癖が出てつき膝。

 

今場所から鮮やかな紫の締め込みに変えた若の富士、蔵間に組ませず、ハズで押し出した。

 

若島津が素早く懐に入って騏ノ嵐を双差しで寄り切った。5勝2敗。

 

完全にドツボにハマった朝汐、よく見てぶちかまし、突き放しと繰り出しているが、魁輝の叩きにつんのめって黒星先行。

 

こちらも歯車が噛み合わない出羽の花。黒瀬川のいなしからの右差し速攻にあっけなく屈した。なぜか黒瀬川が苦手で先場所に続いて敗れた。

 

富士櫻のぶちかましを弾き返した琴風、押し出して1敗キープ。

 

高見山の張り差しに一瞬たじろいだ隆の里、しかし下がりながらも組み止めて左掬い投げで転がした。

 

右肩から当たった闘竜、差し手争いとなり、若乃花がおっつけから左を差し勝つ。そして上手に掛かるや否や寄った出たが、闘竜右を巻き替えて、右へうっちゃる。引きつけの甘かった横綱、完全に体が浮いて放り出された。闘竜初金星。

 

結びも同じく北天佑が巻き替えたが、そこを両上手引きつけた千代の富士が走る。弓形になって堪える北天佑。しかし右へ右へと詰められて土俵を割った。前の相撲の若乃花との引きつけの強さの違いを見せ、下手の側へ寄る定石どおりの詰め。

 

中日

ひときわ大きな新序出世力士、ハワイ出身の「サリー」が高見山の化粧廻しを借りて登場。いきなり明治の横綱・小錦のしこ名を与えられる。

 

十両の魄龍が左へ飛ぶと、目標を失った王湖は止まれず土俵下へ突っ込んだ。立ち合い変化に落ちることはあっても相手土俵の俵を飛び出すのは珍しい。足腰に問題か。

 

大寿山の腕を何度も何度も引っ張って、東洋とったりの勝ち。

 

栃剣、蹲踞で左足を曲げられないのに気魄で一気に若獅子を押し出した。

 

突っ張り残されるといなした麒麟児、泳ぐ青葉城を送り出した。

 

スパッと二本入った巨砲、多賀竜を一方的に寄り切った。

 

深く入った右からすくい投げを決めた若の富士。巨漢天ノ山を問題にせず。

 

得意の左四つで両廻し引き付けた騏ノ嵐、堂々の寄りで高望山を下した。高望2敗。

 

北天佑、左上手捻りと右突き落としの合せ技と見えたが、最後上手は取っておらず、決まり手係は変則の腕捻りを取った。

 

富士櫻の突き押しを右から跳ね除け、横から入った黒瀬川が寄り切り。新小結、五分で折り返す健闘ぶり。

 

前ミツ狙いから右上手左で胸を押した出羽の花。若島津の逆転うっちゃりにあうが、若島津のかかとが踏み切っていた様子。

 

徹底して突っ張って距離を取る魁輝。力尽きて下がり、隆の里に押し返されたが、強引に抱えて被さってきたところを倒れ込みながらうっちゃり。同体に。今度はしのいだ隆の里が右前ミツ。攻め急ぎの反省を活かして疲労困憊の相手を寄り切った。

 

闘竜の見事な銀星。右で掬い投げに琴風が股割りのように足が伸び切って開き、何とか踏ん張ったが形勢逆転。ここぞと力で寄り立てた闘竜、鋭い反撃で最後は両差しになって寄り切った。琴風2敗に後退。

 

低く当たった千代の富士、左前ミツに掛り、中に入ると高見山を攻め立て寄り切った。ひとり全勝ターン。

 

良い当たりから左四つ右上手で朝汐が出たが、若乃花の巧みな下手投げに足を送る場所がなく、あえなく宙を舞った。5敗目を喫し、二桁勝って来場所につなぐことすら難しくなった。

 

 

優勝争い折返し

全勝 千代の富士

2敗 隆の里、琴風、闘竜、大寿山、高望山

 

中日に1敗力士3人が敗れ、千代の富士が後続に2差をつけての首位ターン。3連覇へ、独走か。

大関取りに期待がかかった両関脇は白星先行すらままならず。