昭和53年夏場所 概要  | 三代目WEB桟敷

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トピックス

北の湖独走時代到来

若三杉綱取りへ

優勝

北の湖

横綱

14勝1敗

決定戦

記録

2場所連続同一カード決定戦

歴史的観点

若乃花が横綱昇進

北の湖初の三連覇、二強時代抜け出す

前場所からの流れ

昭和51、52年と輪湖の寡占状態が続いたが、53年に入ると前年年間80勝をマークした北の湖が連覇。対する輪島は10勝、途中休場と陰りが見え出した。代わって大関2年目に入った若三杉が初場所13勝で次点。春場所は北の湖を破って決定戦に持ち込み、敗れたものの連続13勝。優勝経験もあったが、直前の優勝なしでは推挙は難しく、改めて賜盃と綱を取りにいく場所になった。

 

2強の争いに加わるのは、復活を期す輪島か。3大関は、旭國が連続10勝だが、三重ノ海8,10勝、貴乃花は休場明け8勝で辛うじてカド番脱出と期待薄。

 

三役、幕内上位の突き上げは弱く、荒勢が8場所連続で三役在位中だが二桁は1度だけ。新関脇玉ノ富士、新小結蔵間が勝ち越して関脇に座り、三役定着が期待される。平幕で自己最高位を更新したのは、西2枚目の尾形(のち天ノ山)、東5枚目千代の富士、そして新入幕大觥、谷嵐(山口、メジャーリーガーの父)、黒瀬川の3人だけ。

 

その中で楽しみなのは、新入幕で敢闘賞を得て9枚上昇の尾形。190センチで目方もあるホープは、幕下付け出しからややもたつくも新十両から急上昇中。9勝1敗から役力士に当てられ3連敗したが、貴乃花を破った。新入幕で大関を倒したのは、鷲羽山、大錦に続いて戦後3人目。その後は平成期に栃乃花と逸ノ城が記録しているのみの快記録だ。上位に通用するか。

この場所の成果

予想通り北若二強がデッドヒート。これを輪島、三重ノ海が追う。11日目に三重ノ海が若三杉に土をつけるが北の湖には敵わず。若三杉に敗れた輪島も脱落。またもや一騎打ちとなり、先場所同様本割は若三杉、決定戦は北の湖が制して決着した。

 

北の湖は初の3連覇で輪湖時代を抜け出し一強時代を築く勢い。これに食い下がる若三杉は3場所連続13勝以上。優勝こそ届かないが新たな対抗馬にのし上がり、二代目横綱若乃花誕生となる。

三役は関脇玉ノ富士が9勝したが、新関脇蔵間は大敗。元大関魁傑も8場所連続三役の荒勢も陥落となった。空いた枠に滑り込んだのは、期待の尾形ではなく、三賞を受賞した琴風、そして千代の富士だった。

三賞

殊勲 琴 風②  1横綱2大関破って12勝

敢闘 千代の富士 初 貴から大関戦初勝利。5枚目9勝で新三役へ

技能 該当者なし

 

上位の活躍力士は少なく、玉ノ富士は最後に連敗して二桁届かず、金星の大潮、高見山も負け越した。ピカイチだったのは琴風で、9日目に勝ち越すと以後連日の上位戦も互角以上に取って12番。W受賞でも良かったくらいだ。11勝の麒麟児は10枚目なら当然と見送られ、成績は微妙ながら新進気鋭の千代の富士が敢闘賞に。貴乃花戦はじめ、大技に頼らず正攻法が目立った。当時の選考委員の眼力は高い。