昭和53年夏場所14日目 1差対決 若、一世一代の大勝負 | 三代目WEB桟敷

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幕下の土俵から

幕下6枚目・6戦全勝長岡と十両最下位で7敗の吉の谷の入れ替え戦。デビュー以来無傷の新星に対し、ベテランがやや左に動いて屈み、右足を取って高く持ち上げると一気に土俵の外へ運んだ。当時は角界の江川くん、のち大関朝潮、プロ初黒星で連続優勝は逃して自力昇進はのがしたが、最速タイの所要2場所で新十両を果たした。

 

幕内全取組

入れ替え戦。おっつけてから右差しの出羽の花、前に出つつ、豪快にすくい投げ。十両大豪を圧倒した。幕尻が粘って7勝7敗。十両5枚目は二桁に乗せられず。

 

十両筆頭大錦、左を前に差し身を狙いつつの押し相撲で谷嵐に圧力勝ち。西最下位の12枚目谷嵐を負け越しに追いやりつつ9勝目で再入幕を確実に。

 

突いて、引いて、右差し狙いの十両大竜川。若獅子おっつけて防いでいたが、叩きから右上手に切り替えての寄りに屈した。昭和45年に早くも十両落ちしてからは十両を主戦場としてきたベテラン、十両上位で推移していたが、この場所はすでに負け越し。1年後に土俵を去る。

 

体当たりの十両琴乃富士に対し、低く当たって両差しの北瀬海だが、左からの大きな上手投げを食った。残留が苦しくなる10敗目。2枚目琴乃富士は勝ち越した。

 

低く当たって右下手の金城。青葉山に上手を引かれると半身に構えたが、下手で振るも効果なく、より切られた。

 

左に交わした千代の富士、上手は取れなかったが、向き直って突っ張る舛田山に対して下がらず、左前ミツ掴んで寄り切った。

 

張り差しの魁輝、突っ張った豊山。魁輝も突っ張り返しながら左差しを狙い、嫌われると右から入った。突き放そうとするも果たせず、右をコジ入れた豊山だったが、魁輝が右四つのまま前に出て寄り切った。

 

青葉城、立ち合い右へ開いて叩き込むと、玉輝山バッタリ。絶不調相手に二桁に乗せられなかった。

 

播竜山左肩から当たったが、高見山が左へ動いて叩き。向き直るところを押し出した。注文相撲で意表をついた。

 

おっつけから右差し狙う増位山だが、黒瀬川が差し勝って左四つ。前に出たが、差し手を抜いてひらりとかわした増位山、追撃してくるのをさらに回り込んで送り出し。好調の新入幕を熟練の技で捌いた。

 

立ち合い突いてから左を深々と差した尾形。そのまま出て栃赤城を圧倒。

 

両者激しいぶちかまし。黒姫山左が返らず、大潮の左差し速攻を許すも、素早く下がって、引き落とし。

 

負け越しているとはいえ前頭筆頭の意地。富士櫻が両手突きから猛烈に突っ張っておいて叩き込み。新入幕大觥に貫禄勝ち。

 

当たって二本入りかけた麒麟児だが、すぐ思い直して突っ張り。苦手魁傑を圧倒し二桁勝利。3場所ぶりに三役復帰の魁傑は負け越した。

 

右四つに組み合い、双津竜が左上手から振ったが、荒勢が重心を低くして腰をぶつけるように詰め、巨漢を吊り上げ寄り切った。

 

蔵間の突っ張りをあてがって右、左と前ミツ取った隆の里。右下手を深く掴み直し、捻り気味に左上手投げを決めた。7勝7敗と持ち堪える。

 

琴風の突進を立ち合いで叩いた貴乃花。思いの外頭を下げなかった新鋭の出足を呼び込んで大失敗。「軽量ながら常に真っ向勝負」にも例外はある。というより案外飛んでる、とは誰にも言わせないのが花田ファミリー。琴風11勝。

 

ケレン味なら任せなさいと三重ノ海、玉ノ富士の手を払ってから、相手に組ませずに突き出した。二桁をかけた大関関脇戦を制した。

 

さあ、今場所白眉の大一番。両雄の1差対決は、随分角度をつけて左肩から当たった北の湖が、勢い良く右上手つかもうとするが、掴み切れずに切られた。角度をつけた分下手は深い。若三杉は右上手取るも深め。北の湖右前腕で再三差し手を絞って攻めようとするが、若堪える。さらにおっつけて上手狙う横綱だが、仕掛けるほど若三杉の形が良くなり、北の湖の下手投げに乗じていよいよ前に。さらに下手から振られて上体が引っ張られたが、強靭な足腰は土俵に根を生やしていた。踏ん張って右上手投げで土俵下へ放り出した。両者1敗で並び千秋楽へ。これで対戦成績も五分に。王者にも強い若三杉、横綱を手中にしたと言っていいだろう。ただ、北の湖最後の抵抗に、硬く締めた廻しが若三杉の胴体には食い込んで、甚大なストレスが...

 

突っ張っては左を覗かせる輪島。旭國が嫌って右差し果たすが突き放され、いなして右上手を取ったものの、捕まえれば横綱。うるさい相手を少し吊って土俵の外へ。お得意様破って3連敗でストップ。

 

14日目を終えて

1敗 北の湖、若三杉

 

場所前の予想通り、花のニッパチ同士のデットヒートの末に、相星で楽日へ。それぞれ輪島、旭國が相手。水を開けられた年長の横綱・大関、一矢報いるか。