勝ち越しのかかる両者。十両筆頭大錦が左差し速攻で、魁輝をあっさり土俵の外へ。幕内復帰有力に。
谷嵐、頭で当たるも、大觥にいなされて踏み込んだ足が流れ、送り引き落としのような形で尻もち。決まり手突き倒しで、大觥新入幕勝ち越し。
栃赤城右で突いてから、右下手。半身気味から下手投げ。前に出てきた十両・琴乃富士を俵伝いに回り込んでかわし、3場所ぶりの勝ち越し。対する琴乃富士は勝ち越しお預け。すでに幕内12場所経験しているが、この年は初場所筆頭で7−6から負け越すと、西3枚目となった春場所から4場所連続勝ち越しながら、西筆頭までしか上がれず。九州では7番止まりと不運な一年となる。この一番勝っていれば。
十両影虎、懸命に突き押しで攻め、堪える若獅子を投げで後ろ向かせて送り出した。若獅子いまだ1勝。九重部屋には珍しい千代でも富士でもない四股名の影虎、十両3場所目で東筆頭、7敗してから連勝とし、このまま粘り切ってワンチャンスで新入幕を果たす。絶不調の相手と当てられた幸運を生かした。琴乃富士とは対照的。
頭で当たって突き放した三杉磯。すぐに左四つとなって右上手から投げで脅かし、北瀬海が下手投げで反撃するも、上手投げに返した。
麒麟児が高速回転の突っ張りで、一方的に黒姫山を押し倒した。どアップのカメラワークも得意技を狙いすましている。
右深く差して返した玉輝山、青葉山に上手を許さず寄り切った。
突いた黒瀬川。下から押し上げる播竜山。左四つになってから少し突っ張って黒瀬川。再び左四つに組むと、引き付けて半身になった相手を寄り切った。新入幕が9勝目。播竜負け越し。
上手早かった豊山。遅れて出羽の花も上手を引いたが、吊り寄りで先手必勝。
右へ動いて素首落とし。尾形が残すところを更に叩き込んだ金城、白星先行。
右固めた双津龍、富士櫻も左固めて当たり、突き押し。応戦しつつも組み止め切れない双津龍、下がって土俵際突き落としたが、既に土俵の外だった。
頭で当たって得意の左が深く入った大潮、そのまま一気に煽って出て、青葉城を圧倒。
右へ飛んでの突き落としは不発だったが、右下手引いた増位山、機を見て下手捻りを決めた。内無双にも見えたが見えたが手が触れていなかったか。術中にはまった荒勢は二桁黒星。
舛田山の突き押しをうまくいなした魁傑、泳ぐところをすかさず押し出した。
突いて出た高見山。蔵間も長いリーチで突き返すも、馬力で圧倒されてこちらも10敗目。
左前ミツの早かった隆の里だが、玉ノ富士が左おっつけて圧力をかけ、切れた廻しを探る相手を突き落として9勝目。
有名な一番。千代の富士が貴乃花に初挑戦。低く当たって左前ミツを掴み、頭をつける。右はおっつけられてなかなか入らなかったが、体を左に傾けてねじ込むと、大関が極めようとするのを堪えて抱きつくように深い両廻し引きつけ寄り切った。入門時にはだった憧れの人を破って勝ち越し。NHKでは「千代の富士、今日は緻密な相撲です」と実況杉山アナに褒められた。「今日は」と普段のサーカス相撲ぶりを匂わされているが、この場所は割と堅実な取り口を続けている。
3敗同士。右おっつけ左のどわから、左四つ右上手取ってがぶった琴風が、大関三重ノ海に馬力勝ち。
1敗若三杉は、4敗と脱落している横綱輪島に挑む。相四つの両者、立ち合いすぐに若右上手。輪島左下手半身。これは予想通りの展開。土俵中央動きが止まる。若、一度寄り立てて残されるが、頭をつけた。そして再びの寄り。ついに腰の伸びた輪島を寄り切った。
旭国が左前ミツ。右も上手前ミツを引いてここぞと出たが、重い北の湖は両廻し引いて堪えた。息つく間も与えず反撃に出ると、体格差は歴然。盤石の寄り切り。13連勝で単独トップを守った。
全勝 北の湖
1敗 若三杉
両者譲らず、1差並走。