装丁が可愛らしくて読んだ。
作者は野中柊で、作品を読むのは初めて。
2009年に角川書店から刊行。
「野生時代」に2007年から2008年にかけて掲載した7作品を順番に収録している。
主人公はパティシエの女性。
「パティスリー・ルージュ」というお店で働く。
店主の柳原、同僚の近藤とともに、お店を切り盛りしている。
7作品全て、お店で作るお菓子が出てくる。
話は主人公の目線で進むが、お菓子についての描写はとても美味しそうで、読んでいると甘いものを欲する。
「ノエルの翼」というクリスマスケーキについての話が、一番印象に残った。
ケーキ屋で働く人の大変さも伝わって、一年で一番忙しい時期なのだなと思った。
登場人物がみな個性的で、お店のオーナーである紅子を取り巻く人たちが面白い。
パティシエを目指す人、お菓子が好きな人、きゅんきゅんした話を読みたい人にお勧め。
最後が「どうなるの?」という終わり方だったので、続編があるのだろうか。
また他の作品も読んでみたい。