藤ノ木優の作品。
現役の産婦人科医である。
2023年に新潮文庫から刊行。
本作は確か、「本の雑誌」で紹介されていて知った。
主人公は、入局5年目の産婦人科医・北条衛。
東京の大学病院に勤務し、婦人科の腹腔鏡手術を専門にしていたが、突如、伊豆の周産期センターへ異動することになる。
初日から緊急の対応を迫られ、東京の病院とは違う人手不足と患者の病院頼みを実感する。
「歓迎会」で連れて行ってもらったお店で伊豆の名物を堪能し、北条は伊豆のことを少しずつ知っていく。
北条以外の登場人物も個性豊かで、物語をぐいぐい引っ張る。
特に、10年以上医師として働く城ケ崎塔子は、伊豆のことをこよなく愛し、グルメや観光のプレゼンが上手い。
なぜずっと伊豆に居続けるのか、その事情は後半になって明かされる。
本作は6つの話が入っていて、連作中編小説でもある。
「ひよっこ」の北条の成長物語でもあるが、1つ1つの話はそれぞれで読みごたえがある。
「命が生まれるのは、こんなにも尊いことなのか」と思わされる。
解説は書評家の杉江松恋が書いている。
本作の魅力を存分に書いているので、物語を読み終えた後に読むと「確かに」とうなずく。
シリーズ化しているようなので、他の作品もぜひ読みたい。