ま、今日も気ままにいきましょ。

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本、映画、ライブ、食べ物などの感想を徒然に書いていきます。

2021年に中央公論新社から刊行。

 

自閉症の息子を持つ、父親による作品だ。

 

父親は、読売新聞の記者をしている。

 

自閉症のことを知りたいと思って、本作を手にした。

 

息子の障害は重く、意思疎通が出来ない。

 

じっとしていられず、外に出かけた時、急にいなくなることもある。

 

息子は32歳で、学校を特別支援学校にするか、普通校の特別学級にするかは、大きな分かれ目だった。

 

と言っても、当時は特別学級がなくて、息子のために新しくできた。

 

健常児がいる中で教育を受けられたのは大きかったという。

 

息子の他に、2歳違いの次男と、11歳違いの長女がいる。

 

親亡き後のことも考えていて、それから大きく関わるのは、弟妹だろう。

 

巻末に、小児外科医の松永正訓と著者の対談がついている。

 

「大変だけどフツー」と題した中には、それだけではとても語れない苦労も多かったはず。

 

これからも大変なことが多いだろうが、なるべく伸び伸びと、自由に過ごせる社会であってほしい。

小倉崇の作品。

 

2016年に本の雑誌社から刊行。

 

本の雑誌で出している書籍一覧を見て、「面白そう」と思って選んだ。

 

著者は、もともと出版や広告の仕事をしていた。

 

農業に少し興味を持ち始めたころ、東日本大震災が起きた。

 

原発事故の被害が心配で、恐怖を覚えた。

 

「食べ物を作っている人が強い」と感じ、全国の農家を巡るようになる。

 

米、ほうれん草、お茶、人参など、作っている物は様々だ。

 

有機農法で作っているので味が自然で、「土から生まれた」とはまさにこのこと。

 

知り合いをたくさん作り、仲間ができた著者は、渋谷のビル屋上で野菜を作ることになる。

 

ようやく、タイトル「渋谷の農家」にたどり着く。

 

色んな人を紹介したい思いはわかるが、もう少し、渋谷の農家についての話が多くてもいいと思った。

 

普段当たり前に食べている物を、違った視点で見られる本でもある。

 

作っている人がいて、その人たちの生活や人生があって、私たちは毎日の食を豊かにできる。

 

農業・食に関心のある人、農家を志す人、有機や自然食に興味のある人におすすめ。

尾﨑英子の作品。

 

2018年に角川書店から刊行。

 

ホテルにまつわる小説を読みたくて、本作を手にした。

 

「くらげホテル」という、フィンランドにあるホテルが舞台。

 

「異次元の世界に行ける」場所で、4人の日本人が導かれて来た。

 

異次元に行きたい理由はみなそれぞれで、その事情が作品では描かれる。

 

著者は脚本も書いている人で、なるほど、本作でも会話文のテンポが良い。

 

筆致はわりと淡々としているので読みやすく、最後の方は「異次元だな」と感じるくらい引っ張られる。

 

フィンランドならこういう場所があるかも、と思わせてくれる。

 

ホテル以外の場所は森くらいしか出てこないが、フィンランドの食べ物(パイなど)は出てくるので、北欧っぽさを感じることもできる。

 

書き下ろし作品。