群ようこのエッセイ。
2023年に新潮社から刊行。
「小説新潮」に2021年から2023年にかけて掲載されていた。
数年前の「本の雑誌」で本作がベスト10入りしていたので、読むことにした。
彼女が約40年、原稿を書き続けた日々を振り返っている。
前に別の作品を読んだ時は、1つの項目でページ数が多いと感じたが、本作はちょうどよい長さだ。
出版業界のあれこれや、編集者との関係、物を書く時の姿勢など、話は多岐にわたる。
最初は手書きで一生懸命書いていて、ファックス、タイプライター、パソコンなど、時代が進むにつれて媒体も変わってくる。
彼女が「本の雑誌」に勤めていて、そこから物書きになったのは知っていたが、最初の就職の話は知らなかった。
詳しく読むと、女性の就職がいかに大変だったかわかる。
マスコミ系だと、さらに狭き門だったのだろう。
群はたまたま書く機会を与えられ、色々な出版社から原稿の依頼が来て、専業物書きになった。
時代の波に乗れたという運もあるだろうが、自分を客観視して、物事を冷静に見ている。
一文がもう少し短いと読みやすいというのは、読者のわがままか。
最後のあとがきで、亡くなった目黒考二のことを書いている。
彼は、「群ようこ」と名付けた人だった。
そんな彼が急に亡くなり、群も、目黒の死を整理するように書いていた。
若い時から仕事を一緒にしてきた彼女だからこそ、書ける内容だったと思う。