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ま、今日も気ままにいきましょ。

本、映画、ライブ、食べ物などの感想を徒然に書いていきます。

宮島未奈の作品。

 

2024年に新潮社から刊行。

 

「成瀬」シリーズの第2弾だ。

 

5つの話が入っている。

 

前作では中学2年生だった成瀬も、高校3年、大学1年と時を進めている。

 

成瀬は前作で様々な活動をするが、今作も負けていない。

 

行動範囲という意味では、今作の方が広い。

 

どの話も印象的だが、「びわ湖大津観光大使」になった「コンビーフはうまい」は、成瀬の指針を感じられる。

 

地元への愛を感じるし、同じ大使になった篠原かれんのキャラも良い。

 

最後の話「探さないでください」は2025年から2026年になる大晦日の話で、今を感じた。

 

今作で出てきた登場人物が、いなくなった成瀬を懸命に探す。

 

成瀬に一番会いたかったのは、島崎みゆきだろう。

 

大学進学を機に東京へ行った彼女は、成瀬とすれ違いで滋賀に帰ってくる。

 

大晦日の風物詩に登場した成瀬は、年越し目前に帰ってくる。

 

そこで島崎と久々に再会するが、そのシーンはじんとくる。

 

次作で成瀬シリーズは最後だという。

 

「成瀬ー!」と叫びたくなるが、成瀬がいくつになるまで描かれるのか、楽しみだ。

 

大使の制服を着て、腕を組んで堂々と立つ成瀬のイラストが装丁。

 

 

新川帆立の作品。

 

2025年に角川書店から刊行。

 

「小説 野生時代」で2023年から2024年にかけて連載していたものに、加筆修正した。

 

新川の作品を読むのは初めてだ。

 

映像化されている作家のひとりとして認識していたが、どんな作風なのかは全く知らず読む。

 

予想していたのと全く違ったので、どーんと突き上げられたような思い。

 

話は、犯罪を起こした少年の墓から始まる。

 

彼は、被害者の母親に殺されてしまった。

 

少年院に入っていて情報を守られている彼が、なぜ被害者の母親と接することができたのか?

 

同じ時期に少年院に入っていた者たちの話が続いていく。

 

殺された少年も含めて6人いるが、みなそれぞれ、罪を犯している。

 

罪の内容は、少年犯罪らしいなと感じるものもあれば、「そんなことを…」と思ってしまうものもある。

 

少年院を出た後の生活も様々だが、話を読んでいると、反省しているところはあまり見られない。

 

そして途中、話を聞いているライターの女性の素性が明らかになり、「被害者の母親へ密告した」真相もわかる。

 

タイトルは、被害者から加害者への思いそのものだ。

 

最後は、ライターの女性から被害者の母親への手紙で終わる。

 

少年犯罪という重いテーマを扱っているので、楽しく読む作品ではない。

 

読み終わってすっきりするものでもない。

 

展開の仕方も、難しかったのかなとも思う。

 

文章自体は読みやすいので、作品に没頭しやすい。

 

タイトルが縦に大きな字で入った装丁も印象的。

吉田修一の作品。

 

角川書店から、2024年に刊行。

 

産経新聞に2024年4月から9月に連載していたものに、加筆修正した。

 

吉田の作品を読むのは久しぶり。

 

『国宝』を読むことも考えたが、「最近の本を読もう」と思い、本作を選んだ。

 

タイトルになっている「一万年愛す」は、宝石の名前だ。

 

長崎・九十九島を舞台に探偵・遠刈田が、ある老人の謎に迫る。

 

老人は家族が集まった場で翌日に行方不明になるが、その理由は?

 

自室に残されていた3本の映画の意味は?

 

歴史をさかのぼり、戦争孤児のことが後半かなり出てくる。

 

それに加えて、人間の冷凍保存。

 

SFっぽいなあと思った。

 

最後は、吉田自身が文中に登場する。

 

文章は読みやすく展開も様々なので、どんどん読める。

 

読み終えると、「一万年愛す」の意味をぐっと感じる。