宿舎に向かうために準備をしていると
今日がバレンタインデーだということに気がついた。
(持っていかなきゃだよね…)
大きな紙袋の中にはメンバーに渡す用のチョコと
彼に渡す用の別のチョコが入っている。
あの女性が頭の中をチラチラする。
忘れようとすればするほど気になってしまい
宿舎へ向かう足取りが重くなる。
宿舎に着くとやはり前に数名のファンがいた。
きっとメンバー達が出入りするのを待っているのだろう。
出待ちしているファンの目を盗み駐車場へ入り、
地下からエントランスへ向かう。
ピンポーン…
インターホンを鳴らすと出たのはソンミンだった。
ソンミン「どうぞー♪」
いつもと変わらず明るい声で機嫌が良さそうだ。
何だかこっちまで嬉しくなる。
エレベーターに乗り玄関へ向かい
インターホンを鳴らすと勢いよく彼が飛び出してきた。
玄関が開いたのと同時に抱きしめられ
反動で体が浮き上がるほどだった。
「なっ…どっ…どうしたんですかッ…」
息が出来なくなるほど強く抱きしめられたので
ここまで言うのが精一杯だった。
後ろからリョウクがクスクスと笑いながら歩いてくる。
腕を組んだまま玄関に仁王立ちで彼に言った。
リョウク「ほらっ!ヒョン!とりあえず中入って!」
リョウクに引き剥がされた彼を見ると
少し赤い目をしていて、気を許すと今にも泣き出しそうだった。
体は引き離されたものの手だけはしっかりと握っている。
リョウク「すあごめんね?とりあえず中入ろうか?」
リョウクに促され部屋に入る。
彼に握られた手は離される事なく
離すどころか力いっぱい握り締めたまま離してくれそうにない。
いつもと違う彼に少し戸惑いながらも
久々に感じる彼の体温に緊張していた。