先週の『虎に翼』は
直道の戦死から始まった。
慟哭する花江の横で
寅子はどんな気持ちだっただろう。
兄を亡くした悲しみと
優三が存命であることの罪悪感と
死んだのが優三ではなかった安堵と
その安堵への罪悪感もあっただろうか…
寅子が留守の間に届けられた
優三の死亡通知を受け取った直言は
写真立ての裏に隠していたが
直言が病に倒れた時
寅子に見つけられてしまった。
こんな形で
優三の死を知ることになるなんて…
感情を表に出さないままの寅子に
花江は言った。
「ね、やっぱりお義父さんがやったことはとんでもなくひどいと思う」「優しくする必要なんてない。怒ってもいい、罵倒してもいい!トラちゃんはきちんと伝えるべきよ」「お父さんとは生きているうちにお別れできるんだから」
直言にも寅子にも本気で怒ってくれる。
花江が家族にいてくれて本当に良かった。
寅子と和解した直言は
それから間もなく亡くなったが
寅子はまだ
優三の死と向き合えていなかった。
見かねたハルが
直言の形見のカメラを売ったお金を
寅子に渡し「明日は、これをもって出かけてらっしゃい」と言った。
それでも受け取らない寅子に
「必要なことです。あなただけじゃない。私や花江さんもどうしようもなくなった時、内緒で贅沢しました」「心が折れて粉々になる前に、立ち止まって。ゆっくりでもいいので優三さんの死に向き合いなさい」と諭した。
花江が若い頃に寅子に言っていた
「したたかに生きる」というのは
なにも策略的なことだけでなく
こういうことでもあるんだなと思った。
理不尽で不条理な
「どうしようもないこと」には
立ち向かわずやり過ごすしかない。
時間を掛けてでも
悲しみと向き合わなければならない。
真っ直ぐな寅子だからこそ
ハルさんははっきりとした言葉で
示したんだろうな。
闇市に向かった寅子は
焼き鳥とどぶろくを頼んだが
食べずに店を出てしまった。
すると女将が追いかけてきて
新聞に包んだ焼き鳥を持たせてくれた。
韓国訛りの女将は
「もったいないから持ってお帰り。しっかりするんだよ、ねっ」と言った。
戦後に施行された日本国憲法では
韓国出身者は「国民」から外された。
この後この女将の人生は
どうなったのだろう。
意味のあるシーンだったと思う。
※長文なので一旦ここまで
次回に続きます。