韓国の研修医一斉退職事件 | 酔竜の館 新館

酔竜の館 新館

ゴルフ(100叩き)、バリトンウクレレ、医療介護ネタがメインです。運動オンチのためのクラブセッティングの裏技など上手な方が扱わないネタをよく書きます。車・バイクネタはcarviewの酔竜の館みんから版、カープネタはFC2ブログ「カープの間」でやっています。

韓国で医学部の定員の大幅拡大に対して、研修医が大量辞職して抗議しているようです。現代ビジネスの記事によると、一時期定員が3253人まで増えたものの、2000年にストライキがあり結果3058人にまで減ったようです。そして今回2000人増員という大胆な数字を出したところ、研修医の半数が辞職したようです。

 

なお韓国のシステムは大学6年、専門のない研修医1年、専門を決めた研修医3-4年、らしく、この専門を決めた研修医が今回の主役のようです。

 

2019年のOECDのデータですが、先進国の医師数の平均は人口1000人あたり3.5人、日本も韓国も2.5人とかなり少ない方です。その他はドイツは4.4人、フランス3.2人、イギリス3.0人、アメリカ2.6人。ヨーロッパは医療アクセスがあまりよくないので、日本は少ない医師数で頑張っていることになります。韓国の事情についてはわかりませんが。

 

朝鮮日報の記事では韓国では勤務医の平均年収は20万ドル(3000万円)、開業医は30万ドル(4500万円)らしいです。開業医は開業形態でかなり差が出ますが、勤務医で比較すると日本の2倍くらいですね。医師数が増えると年収が減るとかそういう懸念は当然あるでしょうけど、果たしてそれだけなのかと思います。

 

現在の劣悪な労働環境への抗議という面はあるようです。日本でも一時期の研修医は、特に内科や外科などでは昼夜問わず病院にいて、睡眠不足は当たり前の状態での勤務が当たり前でした。その後研修医の当直業務が禁止となり、今年からの働き方改革も合わさってかなり改善されたはずです。韓国はそういう待遇改善は今までなかったのかもしれません。仕事が楽な科に集中して、小児科や産婦人科で医師が足りていないのは日本とそっくりのようです。

 

果たして落としどころはどこなんでしょうか。医療需要が多い2月にこういう騒動があると、医療崩壊どころじゃないような気がします。話し合いが決裂する前に「10兆ウォンをかけて内科・小児科・産婦人科・応急医学科など必須診療科の報酬を上げる内容の必須医療支援策を提示」したようですから、日本より頑張っていると言えるのかもしれませんが、信用されなかった可能性はあります。

 

日本でも同じように、なり手が少ない科の医師の報酬を増やすくらいのことはしてもよさそうですが、今回の診療報酬改定でも0.8%というインフレ率以下のプラスですから、どうにもなりません。