医師の働き方改革により、今後の医療はどうなるか | 酔竜の館 新館

酔竜の館 新館

ゴルフ(100叩き)、バリトンウクレレ、医療介護ネタがメインです。運動オンチのためのクラブセッティングの裏技など上手な方が扱わないネタをよく書きます。車・バイクネタはcarviewの酔竜の館みんから版、カープネタはFC2ブログ「カープの間」でやっています。

この4月から「医師の働き方改革」がスタートするようです。残業時間を年間960時間以下に制限することになり、つまり月あたり80時間、1週間あたり20時間弱です。これ例えば週に1回16時間当直する場合はぎりぎりOK、その他の日の残業が常態化していればNGになる数字です。

 

三次救急をしているような病院などはどうやってクリアするのだろうか心配になります。ただでさえそういう病院にはいざという時に転院依頼をしても、冬場だとほとんど断られてしまいますが(県外への搬送は珍しくありません)、さらに拍車がかかりそうです。救急車の受け入れも当然今より悪くなるでしょう。かといってそれ以外の病院でも、高次病院が転院を受け入れてくれないなら救急車の受け入れは慎重になります。

 

今までの抜け穴として、当直は労働時間に含まれないという解釈があったのですが、きっちりしたこのご時世ではほとんど寝られない当直がそういう解釈をしてもらえるはずはありません。労働時間でない当直中に救急車の受け入れを打診されても断ればよかったじゃないかとでも言うつもりなんでしょうか、ってことです。

 

今まで日本の医療は低コストで良質でありましたが、それにはいくつか理由がありました。人口あたりのベッド数が多く稼働率をあまり気にせずよかったこと、きっちり化への労力が少なかったこと、クレームが少なかったこと、この3つはかなり大きいです。

 

現状はベッド数が削減され、その削減されたベッド数で上限オーバー不可のため、いざという時の受け入れ体制がかなり狭いです。一般病院がそうだと高次病院にあふれた患者さんが回ってしまい、そこもオーバーワークになります。医師も看護師もその他スタッフも書類仕事に追われてヘトヘトです。そこにクレームなんかあったらモチベーションなんて保てません。

 

今後どうなるかというと、病院の集約化は進むでしょう。高次病院はもっと人員を増やし、救急車は断らない体制が必要です。残りの病院は慢性期医療に特化、時間外に救急車を受け入れてもかかりつけ患者さんのみで、翌日に検査と治療を開始するくらい。当直医は入院患者さんへの指示出し程度の業務。そのようにしないと今の医療の質は維持できないと思います。

 

一番簡単なことはクレーム対策です。受付でわめきちらす輩には相応のペナルティが必要です。感情的なクレームはもってのほか、なるべく直接病院スタッフに言わずに文書で病院幹部宛に提出し、よほどの落ち度がない限りクレームは認めないという態度でいいんじゃないかと思います。薄利多売でそこそこの医療をしているのにクレームなんてあり得ません。

 

あとは救急車はもう有料化するしかありません。1回あたり1万円でもいいので(安すぎますが)。それから高齢者の3割負担(例外なし)、高額療養費制度の限度額大幅アップ(勤労世代は小幅でもよい)、認知症患者さんへの高額医療禁止、延命治療としての経管栄養(胃瘻など)や経静脈栄養の禁止、年金/生活保護費の使い込み対策、このあたりは検討が必要ですね。もちろんそうやって削った分をまじめにやっている病院や介護事業所に振り分けるといいです。