【再投稿】フランス・第2の故郷 エクサンプロヴァンスVol.33 | すいらんぶろぐ

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フランス・第2の故郷 エクサンプロヴァンスの続きです。


 

フランスで芸大の学生になって1年目だったと思いますが

フランスの初年度に語学学校で同じクラスになった

週末フェットを一緒にやっていた親友ヒロシが

エクサンプロヴァンスから

北東フランスのナンシーという街に

引っ越しをする決意をしていました。

 

芸大に入るきっかけになったAさんやOさん

特訓をしてくれたIさんなどとも、ヒロシもよく

一緒に食事代をかけて麻雀をしたり

簡単なキャッチボールを芸大の校内でしたりして

よく遊ぶようになり、

一緒にご飯を食べて、僕が歌をうたって

その時の悩みや不満、将来の夢を語っていました。

 

ヒロシもそんな僕らの姿を見ていて、

”自分も熱くなれること”

”皆と語り合えるような、何かをみつけなくては”

と思ったらしいのです。

 

 

そしてもともと料理やワインに興味のあったヒロシは、

ナンシーにある公立の料理学校か

あの田崎真也さんも通ったソムリエの学校に入学しようと

ナンシーに移ったらしいのですが、

公立の料理学校は年齢制限があって、入学は24歳未満。

彼はすでに25歳だったので、

結局そこには入学することが出来ないことが分かり、

ある日、突然僕の住むエクサンプロヴァンスの

アパートに彼からの手紙が届いて

 

”日本に帰ることになった” と。

”短い付き合いではあったけど、

エクサンプロヴァンスでは、

ともにフランス語を習い、ともに飯を食い

一緒に唄って、一緒に麻雀をして・・・”

という内容で。

 

でも、彼はあまり人に対して執着しないタイプ

どちらかと言うと「一匹狼」

 

そして僕も本能的に

”きっと、今彼に会わないとこのまま縁が切れるな~” と

直観的に思って、

手紙をもらった次の日に

初めてナンシーへ向けて、

電車に乗って行ったのを今でもよく覚えています。

 

当時、僕のアパートには電話はないし

勿論彼のアパートにだって電話はないので

何も連絡を取りようがないので、いきなり・・・。

 

エクサンプロヴァンスから確かグルノーブルまで行って

乗り換えてナンシーまで行ったような気がします。


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初めての東フランス。

 

とにかく南仏とは風景が違うし 建物の様式も違う

フランス人もどことなく外見も雰囲気も

プロヴァンスとは全然違っていて

また異国に来たような感じでした。


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ナンシーの駅について

早速インフォメンションセンターに行って

ナンシーの市街地図をもらって

ヒロシのアパートの住所を伝えてその場所を示してもらい

いざ徒歩で彼のアパートまでテクテクと・・・。

 

 

初めて行った町、それも冬で思ったより寒い

 

”けっこう駅から遠いな~・・・” と

 

やっと彼のアパートの建物を見つけて

外側にある大きな扉の横のブザーを 

 

”ブ~~~”

カチャ 

というと その大きな扉を押しあけて

薄暗く急な階段を上がっていくと・・・

何階だったのかは忘れてしまったけど

やっとの思いで登って行って、

今度は部屋の扉のブザーを

 

”ブ~~~”

”ウィ? キエ~ス (はい 誰ですか?)”

”僕だよ~”

 

カチャっと扉が開くと

”どうしたの~? 一人で来たの?” と

豆鉄砲くらったような顔で・・・。

 

僕は胸が熱くなって ウルウル

彼はポカ~ンとしながら、

”まあ とにかく寒いから入って” と。

 

約半年ぶりの再会でした。

 

本当に寒かったので、早速部屋に入ると

やっぱり南仏と違って寒い地域の部屋だから

本当に暖かい。

全室セントラルヒーテイング!!

彼が借りていた安アパートでもこれだから、やぱり地域に寄って

違うんだな~と思いました。

だって、南仏の僕の部屋よりずっと暖かかった~・・。

 


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で、早速ヒロシ "ホント、よく来たね~・・・"

"これからちょうど友達が沢山来てみんなでご飯食べるんだよ~"

 

”コーキも一緒でいいんだよ~、

別にホテルとかとってるわけじゃないでしょ?!”

 

って感じで、ついて早々のお邪魔虫

でもまあ学生のころはこんなものかもしれませんね・・・。

 

突然の友の強制訪問にも関わらず、

快く受け入れてくれて

それから僕らは親友としてずっと

今も大切な友となっているのです。

 

でもその時にそこに集まった人は

フランス人にアルジェリア人に

他にも外国人がいたような気もしますが

それに日本人。

 

ヒロシが僕に一人の女性を差して

”彼女、こう見えても 東大出身なんだよ~!”

”でも、全然世間知らずでさ、

ずっと部屋で勉強してるんだよ~”

”せっかくフランスにまで来ているのに、

全然出かけないの・・・”

みたいなことを言っていて、

南仏にいた時は、とても穏やかで

ちょっと色々と自信をなくしていたせいもあるかもしれないけど

全く強気なところがなかった彼が、

あまりにも強気で、彼女に説教までしているから

 

なんか ”へ~~~~”

人って変わるんだな~・・”

と。

 


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でも 彼曰く"エクスでみんな目的をしっかり持って

貧乏でも必死で頑張っている人たちを見て

あ~俺も目標をちゃんと見つけて頑張らなくちゃいけない"

ってやっぱり思ったらしく。

そんな人たちと、

”僕みたいに目標も見つからずに

ただフランスに語学の勉強 

という口実だけで来た人間にとっては

エクスでみんなと一緒にいるのはとても辛かった” 

と。

 

そして、

密かに将来の自分の方向が見えてきていたその時

それだけ、強気になれていたのか

と思ったわけです。


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そして彼にいつ日本に帰るのか聞いたら

”もうすぐ帰ろうかな~ 

で直ぐ帰るわけじゃないよ!”と。

 

”え~、だって直ぐにでも

帰国するような内容だったのに・・・・”

 

”僕、知っての通り文章下手だし、

そのほうがいいかな~ と思って”

 

”なんだれ~・・・”

って感じでした。

 

それから数日間

ナンシーの彼のアパーとに泊めてもらって

エクスに帰り、また数か月後にナンシーに

ドイツを一緒に旅するために

やってきんでのですが・・・。

 

つづく