【再投稿】フランス・第2の故郷 エクサンプロヴァンスVol.32 | すいらんぶろぐ

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フランスの芸大に留学してたのに

”歌をうたっていた”

とか、”レストランでのバイト” の話とかばかり

このブログに書いている

と言われそうなので、

今回は、たまの休みによく言っていた 「カシ」とか「カシス」 

って呼ばれる場所のお話を少々。


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最近はこのカシスも随分観光化されて、

日本人も沢山行くようになったみたいですが、

それでもまだまだ車がないと、

ちょっと行きずらい場所なので

なかなか知らない人の方が多いかもしれません。

 

以前は、シトロエン2CVを修理する

工場なんかがあったので

日本のシトロエン好きな人には、

けっこう有名だったみたいです・・・。

 

まだ芸大の1年生が終った夏の頃だったと思いますが、

いつも なぜか年下の僕に付きまとうNさんという

背の高いやせ型の、でも少林寺拳法をやってる

ということで、ちょっと筋肉質な22,3才くらいの男性。

 

当時僕はもう既に、

あまり日本人とは一緒にいなかったのですが

このNさんが僕の家によく訪ねてきていて

”な~お金を出すからさ~

○○作ってくれない???” とか

良く日本食をせがまれて、

まあ僕もお金に余裕があったわけではないので

いやいや食費の足しに と思い

”仕方がないな~Nさん、何が食べたいの?”

って感じでたまに作ってあげていたんですが、

いよいよNさんも、1年の語学研修が終了して、

日本の伊勢志摩とタヒチにある真珠の加工メーカーに

就職が決まり、まずは帰国することになって

ある日彼が、

 

”ね~カシスに行ってみたいんだけど・・・”と

僕は

”行ってくれば~・・”

すると

”ね~連れて行ってくれないかな~、お昼おごるからさ~!”と

”それと、出来れば一度 ヌーディストビーチに行ってみたい!”

ということで結局彼の粘りに押し切られて

ある日僕の赤いホンダのバイクCB125に

またもや男が二人乗りしていざカシスに。

 

このカシスは、マルセイユから車で

30分くらいのところにある

地中海に面した、

ヨットハーバーなんかもある小さな港村??

 

このカシスの港の近くには、カランクという

ちょっとこの世のものとは思えないほど

美しい海の色をまとった入江があるんです。


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この入り江には、ハーバーから有料の船で行ったりするんですが

僕はお金がないのと、まあ途中の景色もきれいだし

Nさんにちょっと苦労させようと思って

山越えしながら崖を降り約1時間くらいかけて、

案の定、Nさんの

”ね~まだつかないの???”

”まだ先~・・・”

というわがままな疲れた声を聞きながら

この入り江のビーチにいったんです。

 

そして近くの、ヌーデイストビーチにも・・・。

Nさんは、本当にみんな一糸まとわぬ姿で

日光浴をしているのと、そこに立ち入る暗黙の了解事項は

必ず自らも一糸もまとわぬこと が条件なわけですが

 

”ゴメン、やっぱり 俺恥ずかしいから もういいわ・・”

ってことになってそのエリアから退場。

 

”あんたがここに来たいって言ったんだろ!”

と僕は内心あきれていました。

 

まあ、でもとにかく海の色が美しい!!

”海には罪はない”


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海の底が白い石灰岩なので、

透明度が無茶苦茶高い海水と地中海の光で

それだけ美しく見えるのだそうですが

その入江のビーチで、のんびり一日いるだけで

全てが無になるほど心地よい、

天国にいるような気分でした。

 

そして港沿いに移動

殆どのレストランは、観光客相手のレストラン。

 

ここに来たら必ず「スープ ドウ ポワソン」という

地中海で捕れた魚をサフランで煮込んで漉した

なんともワイルドで濃厚なスープを頂くのですが、


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もう少しお金がある人は、ちょと高級なブイヤベースを注文。

まあNさんに、ブイヤベースをおごってもらうのは

少々気が引けたので、ブイヤベースは頼みませんでしたが・・。

 

そして、ここカシスは実はワインの産地でもあり

美味しい白ワインが製造されているので

白ワインをグラスで。


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生産量が少ないので、

フランスでも希少価値の高いワインですが

とても上品でサラっとした美味しいワインです。

 

ちょっと高めですが、どこかで見かけたら試してみて下さい。

 

 

そしてスープドゥポワソンの前に

初めて食べるというズッキーニの

ベニエ(天ぷら)も頼んだのですが

Nさんは”このてんぷら うま~・・・”と

白ワインとともに結構よく食べていました。


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おなか一杯になって、Nさんはワインも入ってすっかりいい気分

”あ~フランスのいい思い出になったな~・・”

”ヌーデイストビーチにも行けたし・・・”

と満足顔。

 

でもビーチにはその光景に圧倒されたのか、

10分もいなかったと思います。

 

そしてエクスへの帰路に。

ちょっといい気分で南仏の地中海の風を切りながら

オートルート(高速道路)をいい気分で飛ばしていたら

突然、”パン!” と大きな音。

 

”あっ、ヤバ” 

何とうしろのタイヤがパンク!! 

時速110キロで飛ばしていたところでのパンク。

 

咄嗟にちょっと身長の高いNさんが、かかと高めの

ブーツを履いていたこともあって

”ガッ” と両足でバランスをとって

 

 

僕は必死にハンドルがぶれないようにブレーキを掛けつつ

何とか転ぶこともなく間一髪で停止。

 

Nさんも

”あ~よかった少林寺で体を鍛えていて・・”

と訳の分からいことを言ったと思ったら

”やっぱり、良からぬ気持ちでヌーディストビーチに行ったから

バチが当たったのかな~・・・・”とニヤニヤ半べそ。

 

まあでも本当に命拾い。

しばらく高速道路の側道を数キロ歩いて、

日も暮れはじめ、ガソリンスタンドに到着。

応急のパンク修理をなんとかやってもらい、

夜には何とかゆっくり走り無事帰宅した、

命拾いの夏の思い出です。

 

今思えば、あの貧乏だけど

波乱万丈なやんちゃな毎日も

実に贅沢な日々でした~・・・。

 

つづく