先日、当方所有のCD-α917XRをお譲りした方から不具合のメールをいただきました。
不具合の内容は、トレイが勝手に開いてしまうという症状。
このモデルに多い症状の一つですが、ピックアップASSYが上下することで、トレイが開閉をする機構なので、ピックアップASSYが上がらずに、CDをクランプすることが出来ないと、センサーが働かないので、トレイがまた出てきてしまいます。
上がらない原因は、ピックアップASSYを固定しているネジから軸が外れてしまうことがあり、それによってASSYが上がってこないことがあります。以前、このブログでもその修理については書いていますので、今回もそれが原因だろうと、修理を引き受けました。
お譲りしたプレーヤーは、トレイベルトも交換していますので、少なくともベルトの劣化で起きている症状ではありません。
プレーヤーが届いて、動作確認をしたところ、正常にトレイは開閉します。
あれ??勝手に開くことはないぞ。。。(?_?)
何度OPENボタンを押しても、勝手に出てくることはありません。
その旨をお伝えしたところ、どうも頻繁に起きる現象でないとのこと。正常に動作するときはするが、突然勝手に開いてしまったり、時にはトレイが開かなくなることもあるとのこと。
サンスイのプレーヤー全てに言えることですが、基本的に717も617も同じメカを使用しているので、同じ現象が起きます。ある意味、サンスイ病とでも言いましょうか。
とはいえ、何度動作確認をしても、トレイの不具合は起きません・・・(;^ω^)
数日後、再度動作確認をしましたが、やはりトレイの異常は見られません。なんでやねん!と半ばやけくそで、高速にOPENボタンを押しまくったところ、ガタン!っといって、勝手にトレイが出てくる不具合が発生しました!
\(^o^)/・・・・不具合が起きて喜ぶなんて初めてですが、これで不具合が再現できました。
高速(正常に使用しているときは絶対にしないであろうスピード)で動作確認をすると、10回に1回程度、不具合が起きることが分かりました。確かに、トレイが勝手に開いてしまう時とトレイが出てこなくなることがあることが分かりました。
さて、その原因ですが、少なくともベルトが原因ではありません。不具合が起きた時に、ピックアップメカを取り出して、確認をするも正常にしか見えません。何事もなかったかのように普通に上下するようになります。
真ん中にあるらせん状の溝が彫ってある白いカムのグリスの問題かと思いグリスアップして、動作確認をしましたが、やはり症状は起きます。
カムを駆動しているプーリを取り出してギアの欠けがないか確認しましたが、欠けやひびなどのはありません。当然、カム側のギアも欠けなどの不具合はありません。
ただ、確実に言えるのは、ピックアップASSYが下がりきったときや上がりきったときにASSYが何らかの原因で固定されてしまうという現象が起きることで、それがなぜ起きるのかが分かりません。
同じような現象が起きるプレーヤーは、パイオニアのPD-3000やPD-5000で、このプレーヤーの場合は、クランパーを駆動しているウォームギアが噛んでしまうことで動かなくなり、勝手にトレイが開いてしまうという不具合が発生します。
おそらく、同じような現象がこのサンスイのプレーヤーにも起きていると推測でき、プーリーの剛性がとても脆弱で、容易に変形しまし、加えてネジでの固定がやや緩いので、おそらくカムが回りきったとき、ASSYが上がりきったときあるいは下がりきったときに、その反動でプーリーが瞬間的に歪み、ギアが噛んでしまうのだと思われます。
ということはプーリーの剛性を高めることが必要ですが、こればかりは部品を調達ができず、致し方なくたまたま所有したいたCD-α717DEXからメカごと移植をすることにしました。
その後、高速にOPENボタンを押しても、トレイが勝手に開いたり、突然開かなくなったりすることはなくなりました。やはり、717DEXのプーリーの方が剛性が高く、変形することがないので、ギアを噛むことが発生しないのだと思われます。
マランツのCD-34やティアックのVRDS-10などもトレイの開閉機構のギアが、加水分解でボロボロに割れてしまうために、トレイが開かなくなる不具合が起きます。ギアを介して駆動するメカ部分は、どうしてもギアの破損が不具合の原因になりますので、そのギアの素材が経年劣化しやすいものの場合は、要注意です。
マランツの場合は、奇跡的にギアを製作している修理業者があるので、ギアの交換で復活することが出来ますが、その他のメーカーは、それがないので、ギアが破損してしまったら、同じピックアップメカを移植するしか方法がありません。
サンスイもギアの問題が起こりうることが判明して、今回の修理も非常に良い経験となりました。