米ウォルマートが、持続可能な環境保護に貢献する新ジュエリーブランドを満を持して販売開始! | 【スゴい★PR】PRの本場アメリカ発 最新情報&事例

【スゴい★PR】PRの本場アメリカ発 最新情報&事例

今、戦略的にPRに取組む企業が売上を伸ばしている!
ということでPRの本場アメリカを主に海外メディアに取り上げられた最新PR事例を中心にブランディングやマーケティングの成功(時には失敗)事例をお届けしています。

メラメラ【今週のHOTニュース From the USA】


 米ウォルマートが、「Traceability(トレーサビリティ)」をキーワードに新しいジュエリーブランドの販売をスタート。
小売最大手のチャレンジ、真の狙いは何!?



【今週のサマリー】時計時間の無いアナタはここだけチェック!


 世界最大手のスーパーマーケットチェーンの一つ、米ウォルマートが新しい自社PB(プライベートブランド)のジュエリー販売を開始した。自社の定める環境基準に合致したパートナー企業だけを選び、商品を製造。ジュエリーが鉱山から店頭に至るまで、徹底的に「環境にやさしい」を貫いた商品である。
 また、購入した商品の生い立ちを簡単にオンラインで追跡できる業界初の面白いシステムを消費者に提供した。ジュエリーの各製造工程・場面が持つ環境・社会問題までを合わせて学ばせることを通して、社会に対しての啓蒙・教育活動までも行ったのである。
 業界の雄であるウォルマートが、単純に消費者に対しての商品PRを行っただけではない。取引企業・ジュエリー業界全体をも巻き込んだ、企業規模を生かした思い切った仕掛けであり、企業PRである。


↓↓↓さらに詳しいニュースの裏側はコチラ↓↓↓


【ニュースの裏側目


 米ウォルマート(Wal-Mart Stores, Inc.)と言えば、アーカンソー州に本部を置く世界最大のスーパーマーケットチェーンである。
設立は1962年、創業者はサム・ウォルトン(Sam Walton)。現在、世界147ヶ国に2980店舗(2006年時点)を展開し、従業員数はなんと210万人(2008年)にのぼる。日本では、2005年に西友を子会社化したことでも話題となった。そんな、存在感・影響力共に絶大なウォルマートが、ウォルマートストア及び同グループの会員制マーケットチェーン、サムズクラブ(Sam’s Club)の店舗及び両者のオンラインストアのみで購入可能な、ジュエリーブランドの販売を開始した。
 
 ※Wal-Mart Company website: http://www.walmartstores.com/


もちろん、ただ単に「ジュエリーの新ブランド」の投入であれ、毎日どこかでいくつもの新ブランド、コレクション、ラインの取り扱いがスタートしている。では今回はそこにどのような仕掛けがあったのだろうか?


‘’Saving people money, so they can live better’’


ウォルマートの有名なキャッチである。「ウォルマートが消費者に対しリーズナブルな商品を提供することで、消費者は節約でき、そこから生まれた余裕を、より豊かな生活のために投資できるため、人々の生活は
より良くなる」ということである。

 しかし、ともすればこの「安売り大手」は、消費者や社会からマイナスの側面を捉えられがちであるし、またその
規模ゆえに、企業活動が社会や環境に与える負荷も大きなものとなることも事実だ。だからこそ、ウォルマートでは数年前から「企業イメージの向上」に力を入れてきた。その主軸の一つが、「Sustainability(Environmental
Sustainability,(環境の)持続可能性)」に貢献することであり、今回の新しいジュエリーのコンセプトもここに端緒がある。

 

新ラインの名称はそのものずばり、「Love, Earth」。
私達の住む地球を誇りに思い、大切にし、守ることをブランドのベースに置いている。ジュエリーは金・銀を用いており、またそのデザインは、「Recycle, Reduce, Respect(リサイクル・減少・尊敬)」の指針に基づいた地球上の要素をシンボル化したものになっている。

また、同ラインのHPにはこのような文章が掲載されている。


「私達の日常の全ての選択は、他の選択にインパクトを与える。Love, Earthの一員となること(同ラインのジュエリーを選択すること)は、美しい地球を誇り、守るための第一歩なのです」。


つまりは、同ジュエリーを選択し購入し身につけるプロセスを通して、消費者の環境意識向上を促そうという狙いがあるのである。しかし、それだけではどこにでもある商品にメッセージを付けても同じである。
では、どこが違ったのか?


 ※Love, Earth Brand Website: http://www.loveearthinfo.com/home.html


先述の通り、ウォルマートでは「環境の持続可能性」への貢献をキーとした企業活動に大きくシフトしてきている。ジュエリーの分野においても、ウォルマートで販売される商品の生産に関わるあらゆる工程の企業や鉱山に
対しても、ウォルマートの掲げる環境基準や指針に合致することを求めており、それら関連パートナーに対して啓蒙と指導を行ってきたのである。
今回の「Love, Earth」ブランドのジュエリーは、鉱物の状態から店頭に並ぶまでに通過する全ての工程に関わるパートナーが、ウォルマートの環境基準に合致しているのである。
ウォルマートでは、ジュエリー部門での「環境の持続可能性への貢献」の目標を設定しており、その最終目標は、ウォルマートで販売される全てのジュエリーが、ウォルマートと「Sustainability」の精神を共有し、基準に
適ったパートナーの手のみを通り商品化され、販売することにあるとしている。


※「Love, Earth」のパートナー

Aurafin http://www.aurafin.com/
Richline group http://www.richlinegroup.com/
Rio Tinto http://www.riotinto.com/
Newmont Mining Corporation http://www.newmont.com/
Conservation International http://www.conservation.org/
Historic Futures Limited http://www.historicfutures.com/



さらに、ウォルマートでは消費者を巻き込む面白い取り組みを行っている。
消費者は、自分の購入した商品が辿ってきた足跡を、商品のタグ番号をオンライン上で入力することにより、簡単に辿ることができるようになっているのである。どこで鉱物は採掘され、どこで純粋化され、商品化されてきたのか、場所をたどり、取り扱った企業を知ることができる。
 また、その企業はどのようなポリシーにより企業活動をしているのか、さらには辿ってきたエリアにはどのような環境・社会問題があるのかということまで学べる仕組みになっているのだ。

 ウォルマートのジュエリー部門では、2010年までに少なくともウォルマートで販売されているジュエリーに使用されているダイヤモンド・金・銀の10%を、そのルーツから店頭に至るまで、その足跡を追跡できるようにするという目標を設定している。

今回の取り組みはジュエリー産業界の中でも、新しい試みであり、またそれを行ったのが「米ウォルマート」という小売最大手だったことに、そのスケールインパクトがある。
消費者に対し、ジュエリーを、「デザインや、石の大きさ、ブランド」で選び購入するのではなく、「環境を守り維持している商品、環境に対する意識の高い鉱業者の手を経た商品」であるから選ぶという選択肢を提供したのだ。
 また、鉱業・ジュエリーの両産業界に対しても、「ジュエリーが持ちうる新しい価値を提唱し、消費者に認知させる」ことにより、警鐘と啓蒙活動を行ったのである。


 日本でも多くのスーパーマーケットチェーンがPB商品(プライベートブランド商品)を展開し、昨今の物価上昇もあり、そのリーズナブルさから、人気と注目度が高まっている。今回のウォルマートのジュエリーも言うなれば
PB商品である。「リーズナブルだが、質も保たれている」ことはもはや消費者にとって当然である。そこに唯一の価値を付加したことで、消費者に、そして産業界にもインパクトを与えたのである。 


 ウォルマートは、自社HPから閲覧・ダウンロードが可能な、「環境の持続可能性」に対しての行動指針の中で、下記のようなフレーズを前述の自社の有名なキャッチをアレンジして掲げている。


‘’Environmentally Friendly Products Help Customers Save Money so they can Live Better’’


 どこまでも、「消費者の懐事情を助ける」ことを徹底してうたい続けているウォルマートの潔さと徹底ぶりにも、座布団を進呈したい。



【PRの切り口】


 環境問題に対する企業の取り組みは、このメールマガジンでも以前に紹介したことがある。地球全体の大きな関心事だけに、人々の関心も高く、また様々な手法を駆使し、その活動をPRしている。今回のウォルマートの取り組みは、さすがの規模と力を利用し、徹底的にやりきったところが圧巻である。
 また、消費者に対しては「啓蒙・教育」を行うことにより同ブランド商品の認知と購入意欲を喚起した点。また産業界全体に対しても、気付きと新しい価値を与えたという点で、ウォルマート単独の利己主義なPR活動の側面だけにとどまらない、企業規模を生かしたPRだったところが面白い。 
 
 

【今週の目ウロコ度】


4ウロコ

フグフグフグフグ

「鬼に金棒」科目
 


【編集後記】
 
【スゴイ★PR】編集担当の秦泉寺(じんせんじ)です。

 実は、私自身はあまりウォルマートに対してプラスのイメージを持っていませんでした。巨大な利権を持ち、社会をコントロールする力があり、しかしそれをあまり有益な方向に使っていない…そのように思っていました。
実際に、業界でのあまりの影響力の大きさから、マイナスの作用を与えたり、利己主義的なイメージを持たれてしまうことも多いのだとは思います。
 しかしながら、大きな影響力があるからこそ、それを一度社会全体に対して有益な方向へ使い始めると、そのプラスの効果もすさまじいものになりますよね。今回のウォルマートの取り組み、そういった意味では面白いのではないでしょうか?
 でも、いつまでも私達「消費者の家計の味方」でありながら、企業イメージのアップと社会貢献活動を続けて欲しいな…などと自己中心的な思いを持ってしまいました。
 
 ※ブログも好評(?)更新中 http://ameblo.jp/sugoipr/
 


【PR会社のPR】


○/ 「社長さ~ん、PRですよ~」
<□
/> 「良い商品なのに思うように売れない。どうしたら売れるのか?」
「会社のブランド力を向上するために何ができるの?」
    「せっかくの新商品、雑誌やTVで紹介してもらいたい!!」
           
     →企業と社会、人のコミュニケーションを創造しています
       「総合PRサービス、マーケティングサービス」はコチラ
        http://www.interbreed.co.jp