【今週のHOTニュース From the USA】
高級万年筆で知られるモンブラン社が、ネルソン・マンデラ氏の90歳の誕生日にお祝いを贈った!
その贈り物とは…「46664バングル」を、全米の自社店舗(および世界の主要店舗)で販売するというパートナーシップだった!?
【今週のサマリー】時間の無いアナタはここだけチェック!
モンブラン社が、全米の自社店舗(および世界の主要店舗)を、ある「バングル(腕輪)」の販売のために無償で開放した。
そのバングルとは、ネルソン・マンデラ氏が主催する、「46664 Fight Against HIV/AIDS」の団体が企画・製作・販売をするものである。
このバングル「46664 バングル」の売り上げは全て、同団体の今後のエイズ撲滅のための活動資金となるのだ。
モンブラン社が今回のパートナーシップを決めた理由は、自社のブランド哲学に適った行動であり、価値ある社会貢献につながるという点。また「46664バングル」プロジェクトの意義・目的に「Craftsmanship(職人魂(職人芸))」という同社との明白な共通キーワードがあったためである。
モンブラン社のブランドロゴである「ホワイトスター」は、「良質なヨーロピアンクラフツマンシップの最高品質であること」を象徴しているのであり、ブランドとしての誇りを示しているのだ。
手当たり次第に良さそうな社会貢献活動に対し、スポンサーとなったりパートナーとなるのではない。きちんと、自社の理念や商品哲学に適った活動を一貫して行っていくことで、ぶれの無い「ブランディング」を一貫して
行うことが可能になるという、好事例である。
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【ニュースの裏側】
去る7月18日、高級万年筆で知られるモンブラン社は一つの重大な発表を行った。それは、「46664 バングル」の販売を米国の自社店舗にて開始するという内容だ。
聞きなれない「46664バングル」。これは、モンブラン社の新ブランドラインなのか・・・?そうではない。モンブラン社がその販売のチャネルとして、自社の店舗を提供したのである。では、なぜモンブラン社はこの「46664バングル」の取り扱いを決定し、大々的に発表したのだろうか?
そこにどんな戦略を描いているのか?
※46664バングル 商品Web site: http://bangles.46664.com/
「46664」この数字にぴんときた方もいるかもしれない。
ちなみに、英語での発音は「four,double six,six four」となる。
この数字は、ネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領の収監番号なのである。ネルソン・マンデラ氏(Nelson Rolihalahala Mandela)は、反アパルトヘイト運動の中心人物であった。1964年に反逆罪で逮捕され、ロベン島に収監された。ロベン島の刑務所では、囚人が名前で呼ばれることはなく、彼らは皆、囚人番号+収監年の番号で呼ばれていた。
マンデラ氏の場合、囚人番号が「466」それに、収監年1964の下2桁で「46664」なのである。マンデラ氏は出所後、アフリカ民族会議(ANC)の議長を務め、その後1993年にはノーベル平和賞を受賞、1994年に第11代
南アフリカ大統領に就任した。
その後、ネルソン・マンデラ氏は南アフリカのHIV/AIDSの深刻な状況を憂慮し、「Fight Against HIV/AIDS」をスローガンに、様々な活動をスタートさせた。活動の中心母体である非営利組織の名称でもあり、またその活動のシンボルともなっているのが、この「46664」という番号なのである。
マンデラ氏はなぜこの番号を使用したのか。
それは、「何人たりとも単純に数字化されるべきではない。人間はみな等しい。HIV AIDSに冒された人も、それとともに暮らす人々も、皆同じ権利を持っているし、等しく接せられるべきだ」というメッセージなのである。
「46664」は非営利団体であり、その意志に賛同する多くの人々のサポートによって活動を展開している。南アフリカを中心とする世界中の多くのセレブリティ(アーティスト、スポーツ界、映画界、政治家など)が公式大使として活動を支え、イベントに参加し、また今回のモンブラン社のような企業パートナーによっても支えられているのである。
※「46664」Official Web Site: http://www.46664.com/
ではなぜ、モンブラン社は今回、「46664」への自社販売チャネルの提供を決めたのか?無論、「46664」の活動への賛同があり、企業の社会貢献活動としての側面がある。
かといって、手当たり次第に社会貢献活動と称して、様々な団体と提携し、活動をサポートするには企業パワー、資金的にも限界がある。また何よりも、「下手な鉄砲も数撃てば当たる」ではないが、企業側のきちんとした意思無く、手当たり次第に活動を行っているようにも見えかねない。
企業を取り巻く人々に、「さすが!」と思われるには、やはりそれだけの意思と理由が説明されるべきなのである。今回のモンブラン社の「意思」はどこにあったのか?それには、「46664バングル」の背景を知らなくてはならない。
「46664バングル」が作成された目的は、ネルソン・マンデラ氏を中心にこれまで行ってきた「Fight Against HIV/AIDS」の今後16年間の活動を維持・継続するために必要な基金を、団体の存在意義や活動目的に適った手法で集めるためである。団体は、「ネルソン・マンデラ基金」の資金を有効活用し、様々な活動を行っている。
今回の「46664バングル」プロジェクトは、2010年までに毎年25万個(!)のバングルを世界中で販売することを目指している。また、このバングルを購入した人は、自分たちが支払ったお金(=基金)がどのように使われたのかをネットを通して確認することができる仕組みになっている。
消費者に対しても、ただバングルを所有し身につけるという行為だけでなく、それを通して社会に属する一人一人に対して、自身が持つ「責任の確認」を行って欲しいというメッセージが含まれている。
HIV/AIDSの悪循環を断ち、ひいては根絶を目指したいとする同団体の思いを、バングルの販売を通じて世界中に訴え、それにより目的を達成するための活動資金を得ようとしているのだ。
今回のバングルは、南アフリカの「フェア・トレード」を行う貴重な金属の供給者からの原材料を利用し、南アフリカの素晴しい「技巧 Craftsmanship」を持った職人達によって手作業で仕上げられている。商品のラインナップは全4種類、サイズSとLが用意されている。
・18K Gold 6424.67$
・24K Gold 7866.67$
・Platinmum 15866.67$
・Silver 233.33$
※「46664バングル」商品ウェブサイト: http://bangles.46664.com/BuyNow.aspx
またそんな彼ら職人のほとんどは、南アフリカの路上で彼らの技巧を生かした商品を販売するなどしてその日の収入を得ている。また、彼らの多くは、HIV/AIDSと共に生活をしている人たちなのだ。
きちんとした教育を受けていたわけではないが、デザインのセンスと技術があり、商品に仕上げる技巧を持った人たちなのだ。 彼らに、この「46664バングル」を製作する機会を与えることにより、彼ら自身が、
コンスタントな収入を得られ、また成長の機会を獲得できることになるのだ。
そしてその良い影響がどんどん伝播していく…。
南アフリカにおける、HIV/AIDSの感染拡大につながる悪循環を断ち切るために、このような「プラスの循環」に転換する一つのきっかけとして、「46664バングル」プロジェクトは展開されており、「46664」の活動は行われているのである。
実は、この「Craftsmanship」と、「プラスの循環」を生み出そうする団体の動きが、モンブラン社の精神と通じているのである。
モンブラン社は1906年にドイツで設立され、万年筆、時計、ジュエリーやかばんなどを圧倒的な品質の高さ…デザイン、使用素材、技巧などの精度の高さで、他に類するもののないブランドを築いている。言わずと知れたブランドロゴ「ホワイトスター」も、「良質なヨーロピアンクラフトマンシップの最高品質であることを象徴するものであり、ブランドの誇りを示している」と同社のHPに示されている。
そう、「Craftsmanship」はモンブラン社のキーワードなのである。
※モンブラン社 Official Website: http://www.montblanc.com
モンブラン社はこのように、今回のネルソン・マンデラ基金とのパートナーシップについて述べている。
「「Craftsmanship」は、モンブラン社の「コア」とも言えます。だからこそ、我々の世界中にあるブティックのネットワークを、アフリカのクラフトマン達に提供し、またそれにより彼らの作品を世界でも有名なストリートで人々に
認知してもらう手助けができることが、とても嬉しいことなのです。」
今回のモンブラン社のパートナーシップは、「46664バングル」プロジェクトにおいて小売販売としては初めてのものである。今回の販売で、モンブラン社に販売手数料などが入るわけではない。全ての売り上げは、直接「ネルソン・マンデラ基金」と、「46664チャリティー」に送られる。
無論、同商品の取り扱いにはニュース性がある。必然的にモンブラン社とその店舗には注目と関心が集まる。また、店頭で実際に販売することにより、多くのカスタマーの来店を期待することもできるであろう。
より直接的に言うなら、来店したカスタマーが「46664バングル」だけでなく、モンブラン社の他の商品に興味を持ち、購入するかもしれない。また、そこに至らないにせよ、「モンブラン社」の名前をより多くの人に好印象として残すことにはつながるのである。
社会貢献の一端としての企業PR活動であるが、結果販売促進やブランド力の向上につながる好事例である。
また、このパートナーシップ契約の発表を、ネルソン・マンデラ氏の90歳の誕生日の日に発表したというのも、印象的である。あくまでも、モンブラン社の「46664バングル」プロジェクトに対する共感と、ネルソン・マンデラ氏への尊敬から生まれた今回のパートナーシップであると発信したのである。
それらはまた、世界のトップブランドたる企業が持つべき善意と社会的責任に裏打ちされた活動であると、社会に対してリーダーシップを取ったのだ。
「ヨーロッパ最高峰の美しいモンブラン」の名に恥じない、何とも清々しい印象を受けるPR活動である。
最後に、モンブラン社のブランド・フィロソフィーの一つを紹介したい。
今回の活動はこのフィロソフィーの実践である。
「Helping others gives success true meaning」
【PRの切り口】
ブランドの優位性を確立し、自社の商品を選んでもらうためにはどうすれば良いのか?今回のモンブラン社の取り組みは、自社のブランドを商品のみならず、背景にあるブランド哲学まで人々に理解してもらうことに成功した好事例である。
結果として、モンブラン社の企業活動に対する評価と、ブランド・商品に対する認知・理解度も高まったのである。
世の中にはたくさんの物があふれ、ブランドも無数に存在する。また、技術や性能、能力には大差が無い中で、多くの競合とシェアを取りあう場面も存在している。また、高額な商品には、その金額を出すに足る理由が必要とされる。
これらの場面において、「ブランド力」は大きな影響力を持つ。
モンブラン社は、「他者を助けることは、真の意味での成功をもたらす」という、ブランド哲学に基づき、「Craftsmanship」の共通項を持つ、ネルソン・マンデラ氏とその団体のPJをサポートしたのであり、それにより「モンブラン・ブランド」のブランド力向上という真の成功を得たのである。
自社のブランド哲学や会社理念は確固としたものであるべきり、そのフィロソフィーに適った企業活動や、社会貢献活動を適切に選択し、実行を続けることにより、「強いブランド」づくりが一貫して行えるのである。
【今週の目ウロコ度】
4ウロコ
「渠成って水至る」科目
【編集後記】
【スゴイ★PR】編集担当の秦泉寺(じんせんじ)です。
モンブラン社と言うと、その精緻で完成されたアイテムを思い浮かべます。万年筆では言わずと知れたトップブランドであり、他の追随を許さないほど。
しかしながら、万年筆の今後の需要を予測すれば手放しに明るい未来を描けるような状況ではないのでしょう。同社は、万年筆だけではなく、時計、革製品なども展開していますが、きっとそれら取扱い商品すべてに対して、強い「モンブランブランド」を付加し、競争力と優位性を高めたいのだと感じました。
現状に甘んじることなく、あくまでも自社のブランドフィロソフィーに忠実により向上していこうとする姿勢に、同社に対する信頼感をおぼえました。
私達の世代の何%が、万年筆を利用する場面も現在持っているのでしょう…?
でもいつか、哲学に共感し、また同製品を使うに足る自分自身に成長できたときには、是非選んで使用してみたいと、そう感じさせられました。
※ブログも好評(?)更新中 http://ameblo.jp/editorsayakajinsenji/
【PR会社のPR】
○/ 「社長さ~ん、PRですよ~」
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/> 「良い商品なのに思うように売れない。どうしたら売れるのか?」
「会社のブランド力を向上するために何ができるの?」
「せっかくの新商品、雑誌やTVで紹介してもらいたい!!」
→企業と社会、人のコミュニケーションを創造しています
「総合PRサービス、マーケティングサービス」はコチラ
http://www.interbreed.co.jp